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捨て石同然で異世界に放り込まれたので生き残るために戦わざるえなくなった  作者: よぎそーと
四章

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第59空間 いつもの方針策定会議

 探険は順調に推移し、合計3回の旅で二つ目の空間の外周は把握出来た。

 今度の空間には、トンネルが3つ。

 そのうち1つはトモキ達が出入りしてるもので、新たに発見されたものは2つ。

 いずれも移動距離から、ほぼ等間隔に配置されてるだろうと思えた。

 空間の中心から、それぞれ120度の間隔で存在する。

 外周を三等分する位置に存在するトンネルは、おそらくまた別の空間に繋がってるだろう。

 さすがにその先まで調べてる余裕は無い。

 行くとしたらトンネルをくぐるしかなく、途中でモンスターに出会った時の対処が難しい。

 カズアキが達がしてくれるように付き添いがあれば良いのだが、そこまで出向ける者はいない。

 いくとしたら、探険に出向く者達だけで対処せねばならない。

 その先にどれだけの空間がひろがってるか分からないが、トモキ達が出向けるのはここが限界である。



「それで、これからどうするかであります」

 久しぶりの会合で、カズアキ達と顔を向け合う。

「貢献度を稼ぐなら出向いた方がいいんだろうね。

 モンスターが少なくなってるって言うし」

 テルオの言葉にカズアキが頷いていく。

 それを聞いてトモキは意外に思った。

「少ない?」

「はい、トモキ殿が出向くようになってから、トンネルから出て来るモンスターが確実に減ってるのであります。

 おそらく、トモキ殿達が間引いてくれてるからであるましょう」

「そんなわけで、安全にはなってきたんだけど、おかげで貢献度が減っててね。

 どうにか打開出来ないかと考えてるところでもあるんだ」

 探険の途中でそれなりにモンスターを倒してる影響なのだろう。

 まさかそうなってるとは思わず驚くしかない。

「そこで考えるのでありますが、こちらで待ってるのではなく、トンネルの向こうに出向いてしまおうかと」

「え?」

「どうもここのモンスターは向こう側────トンネルのあっち側から流れ込んできてるようであります。

 なら、出て来るのを待たず、こちらから向こうに出向いた方が良いかもしれませぬ」

「引っ越しでもするのか?」

「近いものはあるでしょうな。

 トンネルの向こう側に陣地を構え、モンスターが入れなくするであります。

 そこを出先の拠点にして、隣の場所を探索するのであります」

「こっち側はどうするんだ?」

「モンスターが入ってこれないなら安全地帯。

 食事や修理の場所として使うであります。

 寝る場所も含めて」

「こっちにくるモンスターを完全に排除してからになるだろうけどね」

 だが、モンスターを気にせずにいられる場所が出来るのはありがたい。

「向こう側を塞げば、こっちに入ってこれるモンスターは確実にいなくなるであります」

「今でも夜中とかにモンスターが入ってくるのか、中で遭遇する事もあるしね」

「それを消す事が出来る機会であります」

 トンネルから流入してくるなら、それを止めればモンスターは消える。

 中に入り込んだものも、駆逐していけばそのうちいなくなる。

 空間そのものが安全圏になる。

 問題はそれだけの事をするために必要になる作業である。

 トンネルの出入り口を塞ぐためにはそれなりの設備が必要になる。

 それこそ壁をこしらえ門を設置していかねばならない。

 手間と時間がどうしてもかかる。



「その材料とかもどうするんだ?」

 それも問題だった。

 材料を購入するとなると、かなりの貢献度が必要になる。

 それを稼ぐのは大変な労力になる。

 その他人手や技術も必要になるが、入手の困難さという事では様々な材料も大きな問題だった。

「それについては、そこらにあるものを使ってみようかと」

 そういってカズアキは目を森に向ける。

「あれを切り倒せばそれなりに数は調達できるでござる。

 まずはそこからやってみようかと」

「なるほど……」

「斧はあるしね」

 武器として使ってる斧だが、本来は樹木の伐採道具である。

 幾つか切り倒す事で木材を調達する事は出来るだろう。

 ただ、使える状態に加工が出来るわけではない。

 あくまで切り倒すだけである。

 もっとも、荒く組むだけなら大した問題ではない。

 障害物を設置してモンスターを阻む事が出来れば良いのだ。

「まあ、まずは穴掘りと土嚢作りでありますが」

 今、一番手間がかからない手段がそれである。

 特別な道具も技術もいらないだけに、手軽に出来る。

 いずれはもっと堅牢なものを設置したいが、とてもそこまで出来る状態ではない。

「人手が欲しいであります」

「慢性的な人員不足だからねえ」

 こればかりはどうにもならない。

 半年に一度やってくる者達を待つしかなかった。



「あとは成長の方であります」

「なるべく早く貢献度を稼げるようにならないとね」

 その為にも、モンスターを倒して行かねばならない。

「トンネルに出向いてくるモンスターは多いみたいなので、たぶん、向かってくるのを倒すだけでも今まで通りにいくはずであります」

「そうならないのが一番だけど、確実にやってくるだろうしね」

 だからこそ探す手間をかけず済む。

 撃退が可能であるならば、モンスターは貢献度稼ぎの餌になっていく。

 油断は出来ないが、レベルが上がり、備えを作り上げた彼等にとってはそういうものになっていた。

 だからと言って油断してると足下をすくわれる。

 レベルが上がり、脅威としてはそれほどでもなくなてるのは確かだが、そこが落とし穴になるかもしれない。

 そうなる前に見直せれば良いのだが、人間というのはなかなかそれが出来ない。

 相手と自分の力量を正確にとらえるというのはとかく難しいものだ。

「まあ、新人が上手くやれるようにしておきたいな」

 懸念を抱きつつもトモキは口を挟む。

「俺らはどうにかやれるようになったけど、新人達には荷が重いし」

「そうでありますな」

「死なないようやっていけるようにしなくちゃね」

 カズアキとテルオも頷いていく。

 新人達はろくろく戦えないという事にあらためて気づきながら。

 その事を見失いそうになっていた事に愕然としていく。

 どうしても自分の見える範囲で、自分の感じる事を基準にしてしまう。

 それが何かを見落とす事につながっていた。



 トンネルの向こう側には早急に出向く事にしていった。

 時間をかけてもしょうがない。

 出来るだけ早く設備の建設にとりかかりたい。

 その分次の段階に早いうちに踏み出す事が出来る。

 トンネルからモンスターが出てこなくなれば、稼ぐ事が出来なくなる。

 そうなる前に次の段階に進んでいく必要があった。

 まだ他にある二つのトンネルの方は今まで通りであるが、それもまたこの先変わっていく事になるだろう。

 その第一歩をカズアキの所のトンネルで行う事になった。

 続きは22:00に

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