第50空間
モンスター退治を続けレベルアップに勤しんでいく。
新人のレベルを上げて戦力を強化し、次にやってくる新人を受け入れられるようにしていく。
受け入れ側のレベルが低いと、新人が入ってきてもそれを守りきる事が出来ない。
少しでも生存者を増やすためには、先にやって来た者達のレベルを上げねばならなかった。
同時に堀と土塁も増やしていく。
5人しかいないので進みは遅いが、何ヶ月もあればそれなりのものになっていく。
次に新人が入れば、これも一気に増やせるようになるだろう。
そうなるまではひたすら慎重に事を進めていく事になる。
最後の止めをさせるよう、モンスターを適度に痛めつけていく。
それが出来るだけの強さがなければとうてい叶わない事だが、トモキと他の2人ならそれが出来る。
堀と土塁が増えていく毎にそれはさらに簡単になっていく。
日々の努力に時間を掛け合わせて出て来た成果は、着実にトモキ達に還元されていく。
優先的に貢献度をまわされた新人達は、二ヶ月にも満たない時間でレベルを一つあげる。
続く二ヶ月未満の時間で更に一つ。
まだ物足りないものはあるが、もう少しすれば更に一つレベルを上げる事が出来るだろう。
その頃には新人が入ってきて、一人当たりの貢献度も減ってるはずだが、レベル3は目前だ。
手間はそれほどかかる事もない。
新人達の先輩に当たる者達も、レベル4やレベル5になっている。
彼等が中核になれば、次の新人達を受け入れてもどうにかやっていけるだろう。
装備の方も少しずつ増やしていく。
新人にとって最も扱いやすいボウガンを、余裕が出来た時に入手していく。
やはり遠距離から攻撃が出来るというのは大きな利点である。
こちらは一方的に攻撃出来るが、敵の攻撃は絶対に届かない。
命中させる為の腕がなければ成り立ちはしないが、レベルが上がればそこも解消出来る。
それに、装填の手間は装填済みのボウガンを大量に用意する事で補える。
一発撃って次のボウガンに持ち替え、それが終われば次のものを、とやっていけばある程度の連射が出来る。
最初に手にしていたものを含めて、今はまだ8挺しかないが、それだけでもモンスターへの攻撃には十分な威力を発揮してる。
攻撃回数が増えればそれだけで敵を倒す機会は増えていく。
ボウガンが増えた事で、出現するモンスターのほとんどに確実に一撃を入れる事が出来る。
ここにレベル上昇の恩恵もあり、運が良ければ急所に当てる事が出来るくらいになってきている。
あとはトモキの奇襲が入り、他の二人による突撃が止めとなっていく。
今までは最初の足止めや、軽くでも手傷を負わせる事が目的であったボウガンであるが、数が増えた事でその役割も変わってきている。
また、これならば次にやってくる新人達も安全にモンスターを倒せるようになる。
あと幾らかボウガンを増やし、火力を増加させていきたかった。
ただ、止めの決めてとして接近戦闘も必要である。
矢の装填の事もあるのでボウガンだけに頼るわけにもいかない。
どのくらい接近戦の担当者を増やすかも今後考えねばならなかった。
その前に、どれだけ新人を割り振ってもらうかを考えねばならなかったが。
「でも、社さん。
本当に行くんですか?」
次の新人がそろそろやってくるかという時期だった。
一緒にやってる者達の一人がそんな事を聞いてくる。
「トンネルの向こうに?
そりゃ、行こうとは思ってるよ」
質問に対して素直に答えていく。
隠すような事でもないので、そこはあっさりとしたものだった。
「危なくないですか。
何があるか分からないんだし」
「そりゃね。
でもさ、確かめなくちゃ何があるかも分からないでしょ」
「そりゃそうですけど」
「ここがどうなってるのかも知っておきたいし、分かればこの先何かが出来るかもしれないし。
今のままって訳にもいかなしさ」
「でも、何も分からないかもしれないですよ」
「そうだな。
何も分からないかもな」
その可能性も考えている。
「けど、だからってここにいても何かが変わるわけじゃないだろ。
行ってみて、それで確かめてみないとな」
それは行ってみないと分からない事だった。
だから行くしかなかった。
ここに留まっていても何かが手に入るわけではない。
「それに、今までそうだったけど、分かっていれば何かをやりやすくなる。
その手間を少しでも省いておきたい」
先行投資として、危険に挑まねばならなかった。
「良かったらそれに付き合ってくれると助かるよ。
お前らくらい腕がたつやつが射てくれれば安心だし」
「はあ……」
「まあ、それは……」
はっきりとした返事は来ない。
話はそのままうやむやになっていく。
それもそうだろうと思いながら、それでもトモキは誰かがいてくれればと思った。
未だに探険につきあおうという者は出てきてない。
さすがにもう無理なのかなと半ば諦めてはいる。
(やっぱり、1人になるのかな)
それも現実味を帯びてきた。
ギリギリになって同行者が出るなんて薄い期待を持つほど楽天的にはなれない。
最悪の事も考えていかねばならなくなってきていた。




