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捨て石同然で異世界に放り込まれたので生き残るために戦わざるえなくなった  作者: よぎそーと
三章

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第48空間

「じゃあ、やろうか」

 トンネル前に陣取った仲間を促す。

 総勢5人という少なさだが、トモキに危機感はない。

 この人数でいけるという確信があった。

「あの木の後ろに隠れるから、そうしたらボウガンで攻撃してくれ。

 あとは、俺達で片付ける」

 新人二人にそういって、トモキは草の中を進んでいく。

 新たに見つかったトンネルの前における初の戦闘が始まろうとしていた。


 カズアキとテルオとの話し合いで、どれだけ人数を避けるのかを語りあった。

 まず、カズアキの方は作った防備があるので幾らか人数を割くことが出来る。

 それは食事担当に割り振られているが、あと1人か2人なら抜き出す事も出来るとの事だった。

 テルオの方も同様で、今の人数を削りたくないが、1人か2人なら抜いてもどうにかなるという。

 なので、双方から

1人ずつ出してもらう事にした。

 それと一緒に探険に出向いた2人とあわせた5人。

 これがトモキによるトンネルへの布陣である。

 人数においては他に比べてもかなりの不利を強いられている。

 だが、トモキはこれでどうにかなるという目算も立てていた。



 トンネルの近くにある木にトモキが移動する。

 あいかわらず潜伏技術の効果は高く、モンスターが気づいた様子はない。

 そんなモンスターに向けて、新人二人によるボウガンの攻撃が放たれる。

 距離はあるが狙いがつけやすいボウガンなので命中はする。

 急所への一撃にはならないが、胴体に矢を食い込ませるのには成功する。

 致命傷にはならないが、損傷を与える事には成功した。

 続いて、2人は新たなボウガンを手にとり、装填されていた矢を放つ。

 これで残りのモンスターにも傷を負わせる事が出来た。

 事前に何個かのボウガンを分けてもらっていたので、連続した射撃も可能となっている。

 とはいえ、手元にあるボウガンは4つ。

 これで新人は再装填に入る事になる。

 その間にもモンスターは接近をしてくる。

 新人達は慌て出すが、それをなだめて先輩2人が彼等の前に立つ。

 合計4体のモンスターを前にしても、彼等は全く怯えもしない。

 自信たっぷりにモンスターに向かっていく。

 そんな彼等の視界のすみに、トモキが隠れた木が入ってくる。

 すでにトモキの姿はそこにはない。

 おそらく、接近してくるモンスターがそこを通り過ぎた時には姿を消していただろう。

 それを見て2人は更に安心感を得た。

 これで勝てると。



 モンスターがすぐ横を通り過ぎていくのを見て、トモキは動き出していた。

 身を低くし、モンスターに接近していく。

 恐怖を多少は感じはするが、以前ほどではない。

 上がったレベルはモンスターと渡り合える段階に到達している。

 一度に複数の敵と渡り合うのはさすがに難しいが、不意打ちの一撃と、そこから続く攻撃で確実に2体くらいは制圧出来る。

 必殺まではさすがにいかないが、行動不能に陥らせるくらいならどうにかなる。

 そうすれば、戦力としての敵は一気に半分に減る。

 あとは仲間がうまく動いてくれればそれほど手間取る事もない。

 言い方を変えると、仲間と合流するまでに、敵をこちらの人数以下の戦力にしておかねばならない。

 それが出来れば簡単に事は片付くし、出来なければ壊滅の可能性もある。

 なのでトモキは、確実にモンスターを仕留めにいった。

 後ろからの不意打ちで剣をモンスターに深く突き刺す。

 次いで、すぐ近くのモンスターの足を切り裂く。

 レベルの上がった刀剣技術は、それらを確実にこなしてくれた。

 それを見た他のモンスターが、向きをかえてトモキに襲いかかろうとする。

 だが、それより先に仲間が駆けつけてくる。

 4対3が一気に2対3の不利な状況に変わる。

 対処がままならないうちに、モンスターは体を切り裂かれて倒れていく。



「よーし、こっちだ」

 倒したモンスターの手足を切りつけ動けなくしておく。

 そうしてから新人達を呼び寄せた。

 ボウガンを手にした新人達は、呼ばれた場所にやってくる。

 その彼等にトモキは、

「それで頭を撃て」

と指示を出した。

 事前に決めていた事だ。

 新人達は緊張しながらも頷き、至近距離でモンスターを狙っていく。

 動く事もままならないモンスター達は、簡単に止めを刺されていった。

 戦闘が終了する。

 貢献度が各自に入っていく。

 また、核を切り取り、それを収納していく。

「じゃあ、確認しようか」

 そう言ってトモキは貢献度を表示していく。

 他の者達も同じようにそれを表示させた。

「やっぱり、止めを刺すと大きく入るな」

 入手した貢献度はそのような状態になっている。

 やはり行動不能を2体つくったトモキが一番大きいが、最初と最後の一撃を加えただけの新人達も結構入っている。

 接近したしての戦闘をこなしていた者達ほどではないが、確実に貢献度が入っている。

 新人にしてはかなりの儲けになっている。

 それがトモキの狙いだった。



 人数が少ないだけに、どうしても腕の良い人間の確保が必要だった。

 だが、そんな事簡単に出来るわけもない。

 モンスターに与えた損傷の大きさで手に入る貢献度に差が出るようだし、新人はそこで割を食ってしまう。

 だが、ある程度戦闘における役割を制御する事で、貢献度を新人が得やすくする事も出来る。

 そう考えたトモキは、新人に貢献度が入るように調整していった。

 一番貢献度が手に入るのは、モンスターを倒した時。

 それ以前にどれだけモンスターが傷を負ってるかにもよるが、なんだかんだで最後の一撃を決めた者には結構な貢献度が手に入る。

 だから、事前に可能な限りの手傷を負わせておく、可能ならば重傷にまでおいこんでおく。

 そうやって倒れ込んだところで、新人に止めを刺させる。

 これで新人の貢献度不足を解消していこうと考えた。

 止めも、ある程度離れたところからボウガンを撃つことで危険を極限まで減らす。

 最後の力を振り絞ったモンスターが何かをしでかすかもしれなかったからだ。

 このやり方のおかげで、新人達もトモキ達と大差のない貢献度を手に入れる事が出来た。



「じゃあ、暫くはこれでやっていこう」

 そう言ってトモキは仲間を見渡す。

 4人は「はい」と素直に返事をした。

 誰もが新人のレベルアップは必要不可欠なのを理解している。

 貢献度の優遇による不平や不満を言う者はいない。

 そんな事言ってる場合で無いのは彼等自身が十分に理解している。

 仲間が弱ければ、その分のとばっちりが自分に襲いかかってくる事を。

 自分が手に入る報酬を減らしてまで仲間を優遇する理由は、それだけで十分だった。

 情けは人の為ではない。

 自分自身の利益に最終的になるからかけているのである。



「じゃあ、次が来るまで穴掘りをするか」

 そういってトモキは、所持品からスコップを取り出す。

 カズアキの所ほどではないが、平原が広いこの場所では、障害物を自作しないといけない。

 モンスターがいない時は、基本的に穴を掘って土嚢を作る事になる。

 それが今後のモンスター退治を楽にしていく事にもなる。

 人数が少ないのでカズアキ達の所ほど作業速度は早くはない。

 それでも確実に少しずつ積み重ねる事で、将来はそれなりの物が出来上がる。

 積み重なれば何かしら達成する事は出来るのだ。

 自分達の安全を手に入れるためにも、そうした努力は何一つ惜しむことは出来ない。

 土を掘り返し、袋に詰め込み、一つ一つ確実に自分達の優位性を確保していく。

 どれほど小さなものであっても、その小さな積み重ねをおろそかには出来なかった。

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