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捨て石同然で異世界に放り込まれたので生き残るために戦わざるえなくなった  作者: よぎそーと
三章

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第43空間

 会合を終えて元の日常に戻り、いつも通りにモンスターを倒していく。

 いつも通りの日常。

 いつも通りになった毎日。

 いつも通りにやらねばならない仕事。

 同じ事をやりながら、それでも工夫を重ねていく。

 何が変えられるか、何をそのままに残すか。

 考えて悩んで迷って、小さなしくじりをおかし、それでも前と変わらない程度の成果をあげていく。

 何も進歩のないままに、それでも確実に今日を乗り越えていけるようにしていく。



 時間の経過と共にあげていく貢献度はかなり順調に伸びていく。

 一日20体以上を倒しているおかげである。

 一人当たりの修得点数もかなり多い。

 特にトモキの伸びは大きく、一日で500点を超える日もあるくらいだ。

 当然成長も早く、一ヶ月余りでレベルを上げる事が出来る時もあった。

 その分戦闘で活躍し、モンスターと戦う事になっている。

 危険の対価としてそれだけのものを手に入れるのも道理であろう。

 その分他の者達の取り分が少なくなるが、文句を言う者はいない。

 多少の嫉妬はあるが、トモキがモンスターと渡り合ってるのを見ればそんな事言ってられなくなる。

 物陰からの不意打ちであっても、モンスターに突っ込んでいかなければならない。

 時にモンスターと切り結ぶ事もある。

 そこまでしてモンスターに深傷を負わせ、倒していくのだ。

 同等の報酬を手に入れるには、それらと同じ事をしなくてはならない。

 自分には無理だ……そう納得させるだけのものを見せられている。

 トモキが好んで見せてるわけではないが、やってる事を自然とこなしていくとそうなっていく。

 命がけのやりとりの実例をはからずも示していっていた。

 だからこそ周囲の者達も羨望はしても、それが反感や反発などにはならない。

 なりようが無かった。



 一緒にいる事で自分の手にのこる貢献度が多くなるのも理由になっている。

 トモキが引き込み、手傷を負わせ、自分達のいる所まで引きずり込んでくる。

 だからこそ安全に確実にモンスターを倒す事が出来ている。

 その余録として手に入る貢献度は多く、一日に200点以上を手に入れる事がほとんどだ。

 食い扶持にありつけるし、トモキほどではないが成長も早い。

 おこぼれであろうとも、得られる物があるなら不平不満など出る事も無い。

 あっても、それを押さえ込む事は出来る。

 追従する程では無いにせよ、それに似たような状態になっていく。

 卑屈なものではなく、一緒にやっていた方が効率が良いと考える。

 一緒にやってる者達も、それなりに努力はしてるので、トモキに頼り切りというわけでもない。

 最初に一撃はトモキにまかせるにしても、やってきたモンスターを倒すにあたって他の者達も努力はしている。

 不意打ちのような状態での攻撃であっても、モンスターに接近して攻撃せねばならない。

 ボウガンで距離を置いて攻撃するにしても、次弾装填までの時間を考えればほぼ一発勝負になる。

 その一発が決まらなければ、自分にモンスターが向かってくる事になる。

 何にせよ命がけになる。

 単にトモキより危険が少ないだけで、危険そのものが無くなるわけではない。

 一緒にいる者達も迫るモンスター相手に必死に対処していた。



 危険の度合いはレベルが上がる事で低くはなっていく。

 数ヶ月の間にレベルは一つ二つと上がり、その都度モンスターへの一撃は重く深くなっていく。

 確実に攻撃を当てられるようになり、モンスターを死に追いやっていける。

 トモキ達の次に来た者達は、モンスターとの戦闘を安定して行えるようになっている。

 一番新しい新人達も、危なげがなくなっている。

 この人数では不安はあるが、彼等だけでモンスターを相手にしてもやっていける下地は出来上がってきている。

 次にやってくるかもしれない新人達を加えれば、もう少し安定するだろう。

 何時、どのくらいやってくるのか分からないが。



「だいたいそろそろだと思うけどね」

 前回からの日にちを考えてテルオはそんな事に言う。

「こっちに来るか、あっちに行くかは分からないけど」

「半々に分けてきたりして」

「それもありえそうだね」

「それか、俺らとは別の所に放置とか」

「うーん、それはどうかな」

 笑いながら首をかしげる。

「あの仮面の口ぶりからすると、俺らに預けたいと思えるんだよね」

「みたいですね。

 何でか分からないけど」

「さすがにそこらに放り出すのは気が引けるのかねえ」

「だったら、俺らの面倒をもっとみてほしいですけどね」

「まったくだよ。

 そうしてくれてれば、もう少しどうにかなっていたかもしれないからね」

 保障や確証はない。

 だが、あまりにも情報が不足しすぎていた。

 何をやってどうすれば良いのかほとんど分からないで放置されたのを思い出す。

 カズアキがステータス画面から説明書というか覚え書きを見つけてなければ、今の今まで生きてこれなかっただろう。

 最低限の事前情報もなく、それで生き残れという。

 本当に死んでも良い、むしろ死んで欲しいというならそれも分かる。

 トモキ達からすればたまったものではないが、仮面の男の目的がこの空間に連れ込んだ者達の死亡なら考えられる事だ。

 しかし、その後も人を連れてきたり、その扱いをトモキ達に委ねてるのを見ると、どうもそれだけではないようでもある。

 死んでも構わないというのはあるだろうが、ただ死んでもらうわけにもいかないのかもしれない。

 だとして、それは何故なのかが分からない。

 いったい何を考え、どうしたいのかが不明だった。

「何を考えてんだか」

「本当にねえ。

 でも、それを知る為にも死ぬわけにはいかないよね」

 全ては生きてこそ。

 死んだらそこで終わりである。

 だから生きていくしかない。

 いずれ死ぬその時まで。

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