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捨て石同然で異世界に放り込まれたので生き残るために戦わざるえなくなった  作者: よぎそーと
三章

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第41空間

 戦闘が目的ではあったが、いちおう溝の拡大拡張も進めていく。

 今の状態で完璧というわけでもないから、出来るだけ多く作っていく。

 トンネルの方もあるのでそれほど作業に集中出来るわけではないが、既に出来上がってる分があるので急ぐ必要も無い。

 今後はモンスターを待ってる合間に作業を進めていくようになるだろう。

 警戒を怠る事は出来ないが、それはいつもの事である。

 手を止めてるよりは、作業をして少しでも有利な部分を増やした方が得であった。



 待ちに待ったモンスターがやってきたのは、それから暫くしてからだった。

 溝が一つ出来上がるかどうかという頃である。

 待機をしていた者達が構えていく。

 溝掘り作業をしていた者達は即座に対応する事が出来ないが、それはやむない事であった。

 まずはボウガン隊が攻撃をして、モンスターに攻撃をしていく。

 矢が当たり、モンスターが周囲に目を向ける。

 すぐにカズアキ達を見つけ、そちらへと向かっていく。

 途中にある障害物は気にもしてないようだった。

 だが、溝の所にさしかかると、移動速度が落ちる。

 膝が入るくらいの高さと言っても、40センチから50センチくらいの深さがある。

 それだけの段差があれば、足がとららえるくらいでは済まない。

 また、溝から出ようとすれば、そこに積み上げた土嚢がある。

 高さ30センチ程度であるが、溝の深さとあわせれば最大で80センチの高さとなる。

 立ち上がれば3メートル近くになるモンスターであるが、さすがに簡単に乗り越えられるものではない。

 まっすぐ人間に向かっていこうとすると、どうしても邪魔になる。

 それを乗り越えても、ほどなく二つめの溝が待ち構えている。

 致命的な罠ではないが、障害物としてはなかなかに有効であった。

 その間に装填に時間がかかるボウガンも再度射撃が出来るようになる。

 動きを阻まれてるモンスターに、2射目からの攻撃は面白いように当たっていく。



「次──」

 決して大きくもない、むしろ淡々とした声が告げられる。

 それに応じて横から装填済みのボウガンが出された。

 受け取ったヒトミは、それを構えると次のモンスターに向かって撃った。

 溝に足をとられていたモンスターに命中する。

「次──」

 再び同じ事を言って、これまた同じように装填済みのボウガンを受け取る。

 ヒトミは再び狙いをつけて、別のモンスターに向けて引き金を引いた。

 撃ち終わったものは背後にいる者達が受け取り、弦を引っ張って射撃可能にしていく。

 射撃と再装填別に分けての作業である。

 連射がきかないボウガンであるが、射撃する者に数人ほど装填役を付ければある程度は解消出来る。

 先にボウガンを幾つも用意してないといけないし、人数も多く割かねばならない。

 だが、それが出来るならば、射撃速度は単発のボルトアクション・ライフルに近くなる。

 そして射撃を技術レベルの高い者が行えば、致命的な一撃を与え続ける事も出来る。

 この中で最も射撃能力の高いヒトミは、その役を淡々とこなしていく。

 急所に当てるほどではないが、確実に矢を命中させていく事で、モンスターの損傷を大きくしていく。

 次々に放たれる矢は、溝と積み上げた土嚢という障害物に阻まれたモンスターに突き刺さっていった。

 それでもモンスターは突進をやめない。

 二つ目の溝を超え、三つ目の溝に到達する。

 現時点ではそこが最後列になっている。

 そこを超えれば阻むものはなくなる。

 だが、そこでカズアキがモンスターに向かっていく。



 最後の溝に嵌ったモンスターが障害物を乗り越えようとする。

 積み重なった土嚢に手をおき、その上にのぼろうとする。

 だが、それより先にカズアキがモンスターの前に立った。

 モンスターもその接近に気づくが、障害物を乗り越えるために手をついてるので攻撃も出来ない。

 無防備な状態でモンスターは頭をさらす事になっている。

 しかも、段差の分だけ低い位置にある頭部は、斧で狙うには丁度良い高さだった。

 鍛え上げた一撃がモンスターに振りおろされる。

 モンスターは脳天を粉砕され、溝の中に横たわった。



 同じように他の場所でも似たような状況になっていく。

 溝の中にいるモンスターに向けて、剣や刀を振りおろしていく。 

 いつもならなかなか当たらない攻撃であるが、溝によって動きを制限されてるのでそれほど苦労はない。

 丁度良い高さに頭も狙いやすく、いつもは出来ない頭部への攻撃もかなりよく当たった。

 おかげで戦闘はほぼ一方的に進み、あらわれたモンスターはほどなく倒れていった。

 そこから核を回収し、モンスターを消滅させていく。

 とりあえずこの場所における最初の戦闘は、かなり有利に展開し、損害もなく終える事が出来た。



 その後も溝を拡大する作業をしつつモンスターを倒していく。

 土嚢はモンスターが移動する時に崩れたりするので、その都度なおしていった。

 やってきたモンスターは面白いほど簡単に溝に突入し、ボウガンの的になっていく。

 そうやって動きを阻まれ、損傷も負ったところで、カズアキ達による接近戦が始まる。

 ほとんど一方的な攻撃によってモンスター達は絶命していく。

 事前の準備に時間はかかったが、それだけの効果はあった。



「これなら、もっと拡大していくべきであります」

 戦闘初日の成果が出た後で、カズアキは仲間に今後の事を伝えていく。

「手間がかかるのは承知でありますが、効果はあの通り。

 もっと増やしていけば、これから先の安全につながるであります」

「ですな」

「まったく」

 賛同の声があがってくる。

 戦闘においてそれほど危険がなかったのは大きい。

 準備の手間も、安心と引き替えなら問題にもならない。

「モンスターを待ちながらでありますが、その合間にでも少しずつ作っていくであります」

 反対は誰もいない。

 皆、黙って頷くか承諾の声をあげていく。

 一日で26体のモンスターを倒したのだからそうなるだろう。

 森の中で戦っていた頃と遜色のない戦果である。

 カズアキとヒトミが確実にモンスターの命を削ってくれるからでもあるが、それにしても十分な戦果である。



 その後もカズアキ達は溝を追加していき、トンネル周辺を囲むようにしていく。

 作業自体はゆっくりしたもので、出来上がるまでに時間がかかる事になる。

 それでも出て来たモンスターを撃退するのに十分なものになっていった。

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