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捨て石同然で異世界に放り込まれたので生き残るために戦わざるえなくなった  作者: よぎそーと
三章

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第38空間

「まず、人数を増やさないと駄目だと思うでござる」

 カズアキは全体の人数比率を大きく変える事を考えていた。

 物陰の多い方──仮に1番地とする──は人数が少なくても奇襲でそれを補う事が出来る。

 なので、それ程多くを割り符らなくても良い。

 しかし、新たに見つけた二つ目──二番地と安易に名付けられた──はそうではない。

 隠れる場所も少なく、見晴らしも良い。

 ある程度森まで引きつけるにしても、そこに至る前に戦闘になる可能性が高い。

 ならば、少しでも人数を増やして正面からの戦闘に備えた方がよい。

「ただ、人数を増やすだけではどうしようもないであります。

 何らかの備えも先に作っておくべきでありましょう」

 すぐに出来るとは思わないが、やれるだけの事はしたいところだった。



「まあ、見晴らしがいいならボウガンで狙う事も出来るからね」

 テルオが補助的な発言をしていく。

 森の中などでは使いにくいが、見晴らしのよい平原であるならば遠距離武器が大きな力を発揮する。

 長柄の武器などであれば、遠間から攻撃が出来るので、接近戦であっても優位性を確保しやすい。

 特に射撃武器であるならば、一方的な攻撃が出来るようになる。

「命中率と連射が出来るかどうかによるけどね」

 問題点としてはそこである。

 ボウガンで狙うにしても、命中精度が高くないと効果を発揮しにくい。

 それに、接近してくるまでに可能な限り損傷を与えておきたい。

 手数というか射撃回数も増やしたいところだった。

 一撃必中は期待出来ないなら、撃てる数を増やす事で対処するしかない。

 ボウガンという連射に不向きな武器ではどうにもならないが。

「そこを解消出来たら、接近戦になっても有利になるだろうし」

 とりあえずボウガンを出来るだけ持っていく事で対応するしかない。

 その分1番地における数は減るが、そこはしょうがないと納得するしかない。



「落とし穴に柵とかも、出来れば作りたいであります」

 平野で戦闘をするならば、そういった設備も欲しくなる。

 地形を利用出来ないなら、自分達に都合のよいものを作るしかない。

 だが、やはり人手も材料も足りないのでまず無理であろう。

「穴くらいは掘れるかもしれませぬが、さすがにすぐにってわけにも行かないでありますし」

 時間と人手が必要だった。

 いつ出て来るか分からないモンスターの動向を考えると、そうそう作業に集中してるわけにもいかない。

「作業の時だけ人を集めて、一気に作業をしちゃおうか?

 あれば便利なんだし」

「でも、行って帰って来るだけで一週間はかかりますし。

 その間モンスターの相手がほとんど出来ないとなると、貢献度の確保が難しくなるであります」

「まあ、そこが一番の問題だけどね。

 でも、何の備えもない危険な状態でよる事を考えたらね」

「初期投資と思って我慢するしかないでござるか……」

「ある程度貢献度を稼いでから出発……ってそんな余裕もないか」

 今も貢献度はそれほど余裕があるわけではない。

 一度戦闘以外の作業で出向いて、貢献度がろくろく入らない状態を何日か続けるとなると、死活問題になりかねない。

 戦闘以外の、モンスターを倒す他の行動でも貢献度は手に入る。

 それは分かっているが、食事の消耗を補う事も難しいくらいである。

「今はこのままやっていくしかないんだろうね」

「少しでも何かが出来上がってれば、戦闘の負担も少なくなるのでありますが」

「それを作ってるだけの余裕がそもそもないからね」

「諦めるしかないでありますな」

 残念そうではあったが、カズアキもそこは諦めた。

 無理が出来る状況でないのは彼自身がよく分かっている。



 出向く者達の人選が始まっていく。

 カズアキとヒトミがそれらを率いて新たな場所に出向く事になった。

 トモキとテルオは残る事になる。

 カズアキはトモキと違い、戦闘技術を上げてきている。

 斧を使った戦闘でならばこの中の誰よりも強い。

 命中させる事が難しいはずの斧であるが、今ではかなり器用に扱い、動いてるモンスターにすら簡単に命中させる。

 レベル5に到達した斧の技術は、まさしく一撃必殺となっている。

 障害物のない場所で正面切ってモンスターと渡り合うにはどうしても必要な人材だった。

 ヒトミはボウガンの扱いをのばしており、レベル3ではあるが、射撃においてはやはり上位にいる。

 そして、レベル2程度であるが、『発見/察知』も身につけている。

 少しでも早く敵を見つけ、遠くにいるうちに射撃を行う為である。

 モンスターの発見や接近を察知するためにも必要だった。

 トモキが出向けない事で生じる穴を埋める貴重な要員である。

 この二人を中心に出来るだけの人と武器を集めていく。

 特にボウガンはほとんどを持ち込む事になる。

 その分トモキ達の方は少なくなるが、それも仕方が無い。



 公平に半分こ……とはいかない。

 というより、公平さを考えるならばどこに何がどれほど必要かを考えねばならない。

 どちらも同数というのは平等ではあるかもしれないが公平とはとても言えない。

 状況や状態を全く考えずに均等に分けるのは平等であろう。

 しかし、公平は何がどこにどれだけ必要なのかを見極めて分ける事であるはずだ。

 でなければ無駄なものを抱えてしまう事になる。

 だからこそトモキは一見不利になる配分を納得して承諾していった。

 話し合いでも出たが、やはり森の中ではボウガンを使いにくい。

 これは開けたところで遠くの敵を狙ってこそ真価を発揮する。

 これから森の中で戦っていくトモキ達ではもてあます。

 一応2つは手元に残す事になったが、それ以外はカズアキ達で用いる事になる。

 他にも、人数を多く連れていかれる事などもトモキは納得していた。

 自分の目で見て感じた事だが、第二のトンネル周辺のように開けた場所では人数が多くないと危険である。

 モンスターを取り囲み、少しでも有利な状況を作るには人数が必要になる。

 なので人も出来るだけ多く割り振る事にした。

 そうでもしないとカズアキ達が死ぬ確率が高くなる。

 一見カズアキ達に有利なように配分されてるように思えるが、実際にはそうでもない。

 人数も武器も出来るだけ多くもたせておかないと、カズアキ達の方が危険なのだ。

 今もこれだけで大丈夫なのかと思うくらいに不安がある。

 出来るなら人も物ももっと持たせてやりたいくらいだった。

 現時点での持ち合わせでは決して出来ない事である。

 それ程トモキは、第二トンネル付近である2番地に向かう者達が心配であった。

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