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捨て石同然で異世界に放り込まれたので生き残るために戦わざるえなくなった  作者: よぎそーと
三章

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34/102

第34空間

 21人によるモンスター退治はある意味楽に進んでいく。

 何せ頭数が違う。

 モンスターを囲んで倒すのもかなり楽に行う事が出来ていた。

 ただ、同時に再び以前と同じ問題が出てきていた。

 一人当たりの貢献度である。

 人数が増えた分、貢献度も頭割りになる。

 実際には与えた損傷などによって変わるようだが、一人当たりの手取りが少なくなるのは当然である。

 元になる貢献度の量が同じなら、どれほど活躍しても手に入る量は少なくなる。

 再びこの問題に突き当たる事になった。



「人が増える度にこの問題は出て来るだろうね」

 当然のことをテルオは口にする。

 そして、当然の事であるが、あらためてはっきり言われる事で問題を自覚していく。

「そうですよね。

 これから先ずっと人が増えていくなら、いずれ貢献度が足りなくなる」

「かといって、増えた分だけ殺すわけにもいないでござる」

「もっと、モンスターが倒せればいいんですけどね」

 今回の話は目先だけの事では無い。

 先々の問題もはらんだものだった。

 だからこそ先送りしていけるものではない。

 今すぐに対策を考えねばならない問題だった。



「出来れば貢献度に頼らないでいたいけど。

 あまり現実的じゃないか」

「食料にしろその他の者にしろ、ステータス画面からの購入で頼ってるでありますからね。

 とても貢献度無しではやっていけません。

 食料とかを自力で育てる事が出来れば別ではありましょうが」

「そうなると、田んぼや畑をつくっていくしかないけど。

 さすがにそこまで出来るかどうか悩ましいよね」

「小川があるから水はひけるでしょうが。

 確かにかなり厳しいでありますな」

「私、畑とか耕した事ない……」

 経験者がいれば別なのだろうが、それらがこの中にいるかどうか分からない。

 これもまた今はまだ現実的な手段ではなかった。

「結局、モンスターを見つけて倒すのが今は一番なのかもなあ」

「残念至極ながら、その通りかと」

 確実に稼げる、食料や物資を手に入れる手段としては、それが最も確実だった。

「だとしても、もっと稼げるようにならないとまずいよね」

 話が振り出しに戻ったが、結局はそこに向かっていってしまう。

 今の問題を片付けるには、それを解決するしかないのだから。



「とりあえず、前みたいにモンスターを探して倒すのも復活させてみますか。

 トンネルから出て来るモンスターを倒すのとは別に」

 カズアキがまずは提案してくる。

「5人くらいで探索しながら倒していけば、人数の釣り合いもとれるんですよね。

 これならあと少しは今の状態でやっていけます。

 その場しのぎにしかならないのは明白でありますが」

「さすがにそれだけじゃねえ……。

 もっとどうにかしないと」

 今の段階ではともかく、人が増えたら使えない手段である。

 もっと根本的な解決が必要だった。

「それより、人数を割くならちょっと調べてもらいたい事があるんだよね」

「なんでありますか?」

「トンネル。

 目の前にあるあれだけなのかなって思ってね」

「他にもあるんですか……?」

 ヒトミが不安そうな声を漏らす。

 モンスターが出てくる場所が目の前の一箇所だけではないとなれば、それは不安だろう。

 だが、ありえない話ではない。

「これだけの広さがある場所だし、他に道があってもおかしくはないか」

「たしかに。

 ここの事もまだ完全に把握してるわけではないでありますし」

「それがどれだけあるのか把握しておく為の探検で、人を割いた方がいいと思うんだ」

 その途中で貢献度を手に入れる事が出来れば儲けものでもある。

「でも、そう都合良くトンネルがあると思うでござるか?」

「思わないよ。

 そうそう都合良くいくなんて考えられないよ」

「じゃあ、なんで……」

「それでも調べておかないと分からないだろ。

 何かがあるのか、何もないのかなんて」

「それはそうでござるが」

「だったら、何かの機会に探検しておいた方がいいと思うんだ。

 知らないよりは知っていた方がいいからね」

 否定する要素は全くない。



 それからは誰にその仕事を頼むのか、という事になっていった。

 能力は高い方が良いし、この場所に慣れてる人間が望ましい。

 最低でも一人はトモキ達の同期から、残りはその直後にきた元新人達を中心にしたかった。

 さすがに来たばかりの新人達では荷が重い。

 また、新人達がここでのやり方に慣れるまでは探索や探検は保留にしておきたかった。

 彼等がある程度動けるようになるまでは補助などに回っておきたかった。

 そうなると出発まで多少時間を置くことにもなる。

 最低でも二週間は様子を見ておきたい。

 出発はそれからになる。



 探検に出る人員の確定もしなくてはならない。

 本人に承諾してもらわねば連れて行く事は出来ない。

 無理矢理連行しても、決して良い結果にはならないだろう。

 やる気のある者を選んでいかねばならない。

 たったこれだけの人数の中から選抜するとなるとかなり難しい事になる。

 探検隊の人数はそれほど多くはないが、参加者を集めるのは難しくなりそうだった。

 それでもなるべく声をかけて人を募っていく。

 予定人数は6人。

 安全性の確保も考えて、これが最低人数となる予定である。

 また、残ってモンスターを倒す者達の事も考えると、これ以上増やす事も出来なかった。

 気合とか根性が枯渇しており、明日明後日はお休みになるかと。

 うまくいったら、何とか出せるかもしれないけど、まず不可能だと思う。

 そんなわけで、しばらくお待ちを。


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