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捨て石同然で異世界に放り込まれたので生き残るために戦わざるえなくなった  作者: よぎそーと
三章

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第31空間

 やり方を考え、適切な場所を選定し、待機組とおびき寄せ組で分かれる。

 各自の連携をどうとるかなども考えて行動にうつっていく。

 何せ急ごしらえ、たった一日で考えた事である。

 穴や漏れなどいくらでもあるだろう。

 それでも、今後のためと考えてトモキ達はトンネルから出て来るモンスターを狙う。

 その先陣として、トモキを含めた数名がトンネルの方へと向かっていった。



 モンスターの出現に法則性らしきものはみあたらない。

 一定時間ごとにとか、なんだかの兆候があってからというようなのはない。

 観察してたのはここ二日三日というあたりなのも原因ではあるだろう。

 観測期間が短いから有効な事が何も分かって無いだけかもしれない。

 そうだとしてもやはり判明してないという事実が変わる事もない。

 トンネルの前に鎮座したトモキ達は、モンスターが出て来るのをひたすらに待つ事になった。

「暇だな……」

「そうっすね」

 そんなやりとりが何度か続く。

「暇つぶしの漫画とかあればいいんだけどな」

「ゲームとかもいいっすね」

「なんでしたっけ、戦争中にゲームやってたって話。

 あれって実話なんですかね」

「さあなあ。

 まあ、待機中はそうしてるしかないんだろうけど」

 余計な話が拡大していく。

「貢献度で漫画とか手に入ればいいんですけどね」

「さすがにそれは……無いとは言い難いもんがあるな」

「ステータス画面の品揃えって結構豊富ですからね」

「でも、手に入れるのにかなりぼったくられそう」

「むしろ高値を吹っかけてくるだろ」

 そうやって手持ちぶさたを解消していく。

 今のところこれが彼等に出来る最善の暇つぶしであった。

 退屈は待機における最悪の敵である。

 それと戦いながらトンネルに目を向け、その時が来るのを待つ。



 待ってる間の時間は長い。

 何もせず、やってくるのを待つ。

 その時を見逃さないよう、ある程度注視していなければならない。

 飽きるしだれる。

 苦痛ではないにしても、気持ちが萎える。

 張り詰めた緊張感とは逆の、ゆるみすぎた気持ちをもてあます。

 一分一秒がいつもの数倍以上に感じられる。

 何時やってくるのか分からない事も、苛立ちや惰気を催す原因になっていく。

 来るなら早く来いというのが待ってる者達の総意になっていく。



 そんな彼等の前に、待ちに待ったモンスターがあらわれる。

 トンネルから姿を現したのは4体。

 相手にするには多い。

 しかし、やらねばならない。

「やるぞ」

 声と同時に体を起こす。

 トモキの声に応じた者達が動き出す。

 そのうちの一人は、すぐさま森の中にいる仲間の所へとかけ出す。

 モンスターの登場を報せるために。

 それからボウガンを構えた者達が攻撃を仕掛ける。

 遠距離ではなかなか当たらないが、それでも構わなかった。

 相手がこちらにいる事を知れば良い。

 注目されない事には、おびき寄せる事も出来ない。

 幸い、二人の手によって放たれた矢はモンスターに当たった。

 トモキ達の方向にモンスターが目を向ける。

 それと同時にボウガンを持った二人も撤退する。

 先ほどの連絡に走った者と共に、控えてる仲間と合流する予定だ。

 連射のきかないボウガンではここにいても役に立たない。

 一度戻って再度攻撃が出来るようにして待機してもらっていた方が良い。

 そうして二人が撤退した直後にモンスターが接触してくる。

 おとりのように正面に立つトモキは、接近してくるそれを静かに待った。

 いつもと違い、身を隠しての攻撃ではないので緊張する。

 しかし、他に正面切ってモンスターと戦える者もいない。

 消去法でトモキはこういった役目を負うことになった。

 そんなトモキめがけて4体のモンスターが迫る。

 なかなかの迫力だ。

 正面でそれを迎えうつのはかなり厳しい。

 だが、これからの事を考えれば、ここである程度の処置をしておかないといけない。



 接近してきたモンスターを引きつけていく。

 攻撃なんて考えず、とにかく敵の攻撃を避ける事に専念する。

 数で上回る相手に正面からぶつかるわけにはいかない。

 それに、攻撃するのは他の者の役目である。

 出来るだけ引きつけておいて、物陰に隠れてる者達が攻撃をする。

 それまでどうにかして逃げていなければならない。

 4体相手にどこまで出来るか悩ましいが、やるしかなかった。



 幸い、他の者達の動きは悪くはなかった。

 トモキが引きつけていく間に、周りから何人も出てきて、モンスターの足を狙っていく。

 倒せずとも良い、とにかく移動を妨げる事が出来れば良い。

 そういう考えによる攻撃である。

 止めを刺そうなんてこれっぽっちも考えてない。

 出来るならそうしたいが、ここにいる者達の技量では難しい。

 まずは動きを止める、妨げる。

 そこに集中する。

 それは上手くいき、モンスターの足は次々に斬りつけられていく。

 動きが極端に遅くなり、ほとんどのモンスターが片足を付くか、腕で這いつくばらねばならなくなる。

 そこまでしてからトモキ達も後退していく。

 まだここまでは戦闘の前段階である。



 やはり習性なのか、モンスターはトモキ達を追いかけていく。

 怪我の程度によって移動速度はまちまちだが、それぞれがトモキ達を追いかけていく。

 先頭と最後尾で差が出来ていき、一体一体の間がひらいていく。

 トモキ達が移動すればするほど、その差は開いていった。

 それがある程度のものになり、それぞれが孤立するほどになっていく。

 見計らったようにその瞬間に、潜んでいた者達が動き出した。

「いまだ!」

 カズアキの声と共に、ボウガンの矢が放たれる。

 それらは、負傷が一番小さいものに向けられた。

 動きを更に鈍らせようと思ってのものである。

 矢が突き刺さったのを見て、

「かかれ!」

と次の号令が下る。

 一斉に攻撃出来る全員がモンスターに向かっていった。



 全員が手にした剣などをモンスターに突き刺していく。

 補修もされずにいたものがほとんどであるが、今回の場合にはそれで構わなかった。

 モンスターと切り結ぶのが目的ではなく、モンスターに突き刺すだけで良いのだから。

 左右から襲いかかられたモンスターは、それらにすぐに対処が出来ず、次々に体に刃を埋め込まれていく。

 悲鳴をあげようにも、胸や腹を貫通させられてはそれもままならない。

 時にカズアキなどは手にした斧で頭を一撃で粉砕する。

 ほぼ一発で絶命したモンスターに次はない。

 トモキも急所とおぼしき部分を狙って刀や剣を突き刺す。

 わずかレベル1であるが技術があるだけに多少は狙いをつけられる。

 そのおかげもあって、これまた一撃でモンスターを絶命させた。

 他のモンスターも、体中に鋼鉄の刃を突き刺されている。

 例え一撃で死ななくても、臓器を突き破られてしまったらどうにもならない。

 程なくモンスター達は全滅した。



 この日は同様の手段でいくつかのモンスター集団を倒していった。

 一日の成果は23体。

 今までで最大の結果である。

続きは21:00に公開予定

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