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捨て石同然で異世界に放り込まれたので生き残るために戦わざるえなくなった  作者: よぎそーと
三章

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第28空間

<ここまであらすじ>


 仮面の男が連れてきた新人たちのうち、何人かはここで必要な作業に全く貢献してなかった。

 不平不満を口にして、モンスターとの戦闘は全く手をつけない。

 そんな使えない新人たちへの憤りを誰もが抱いていった。

 また、そんな彼らも食事にすらありつけないことに不満をいだいていった。

 貢献度を稼げないならそれもやむをえない、そもそもとしてまともに戦おうとしなかったことによる自業自得でもあった。

 さすがにこんな状態ではまずいと思ったのか、ある日の戦闘で戦い方を無視した行動をとってモンスターへと向かっていく。

 当然戦闘になるわけもなく、ほとんどが一撃で吹き飛ばされていく。

 その中で致命的な一撃から彼らを守ろうとしたマキが重症を追う。

 何とかモンスターは倒したが、治療手段もない中でマキは息絶えていく。

 憤りを覚えたトモキは、マキが死んだ原因になった者達を殺していった。


<以上、大雑把なあらすじでした>

 翌日、モンスター退治はいつも通りに始まる。

 マキを埋葬した翌日であるが、いつまでも悲しみや不安に耽ってもいられない。

 今日も稼いでおかないと、明日からの食い扶持がなくなる。

 危険なのは承知で、出来るだけモンスターを倒しにいかないといけない。

 いつも通りの事をいつものようにやっていかなければならなかった。



 トモキとテルオの所には、新しく3人が入ってくる事になった。

 前線に立つ為に男が2人。

 後ろで周囲の警戒に当たる女が1人。

 戦力としては頼りないが、これでやっていくしかない。

 マキがいない穴はかなり大きい。

 出来ればもう少し人数を増やしたいところだが、カズアキの方もこれ以上人数を減らすと結構つらいという。

 ここはこれで納得するしかなかった。

 入れ替わった新人達と共にモンスター退治に出向いていく。

 カズアキのところでやり方を身につけたようで動きは悪くない。

 優良優秀とまではいかなくても、最低限こなして欲しい水準は超えてくれている。

 長茶髪こと問題児共が酷すぎただけであろうが、人によってこれほど違いがあるのかと驚いた。

 また、人柄によってここまで雰囲気が変わるのかとも思った。

 特段能力が高くなくても、人間として接する事が出来ればそれらもさして気にならなくなるのがよく分かる。

 一人一人の能力が高くなくても、他の者と同時にあたる事ができればそれほど問題にはならない。

 相互の連携がとれていれば、それがなくても互いに相手の事を気遣いあえればどうとでもなる。

 それが無かった今までとは違いがはっきりと感じられるほど、それはとても大きな結果をもたらす。

 少なくとも戦闘で仲間への不満を抱えて苛立つ事がない。

 モンスターにだけ集中出来る。

 それはとても大きなものだった。



 危ない所もなく、誰がかが極端な負担を抱える事もなくモンスター退治は進んでいった。

 一日が半分を過ぎたあたりで4体のモンスターを倒す事が出来た。

 あと幾らか倒せば十分な成果になるだろう。

 それが出来るくらいに新たに加わった者達の動きは良い。

 それにつられたのか、今まで一緒にやっていたテルオと同年代の男も好成績をおさめている。

 全体としての戦力は以前と比べてもそれほど劣るものではなかった。

 ただ、だからこそマキのいない穴が目立つようにも思えた。

(いたらどれくらい変わってたんだろ)

 この中に彼女がいたら……そんな事を考えてしまう。

 マキがいなくてもそれほど遜色なくやってはいる。

 だが、やはり微妙に何かが劣るのも感じていた。

 基本となる能力の違いもあるだろう。

 だが、それ以上にマキとなら呼吸があっていたのも感じる。

 一緒にやっていく中で自然と出来上がっていったものが、今はない。

 ここにいるのは彼女ではないのだから当然である。

 自覚のない寂しさをおぼえ、トモキはため息を漏らしていく。

 気づく者はいなかったのは幸いであっただろうか。



 良好な結果を得て帰還したトモキ達は、無事に帰還してきたカズアキ達と合流する。

 彼等は今日も被害らしい被害を出さずに成果を出すことが出来たようだ。

 一人が一日の食事ありつけるくらいには頑張っている。

 また、次はこうした方がよいのでは、という事も話しあっている。

 そういう空気も出来上がってるようだった。

 トモキ達も長茶髪達が来るまではそうしていたのだが、いつの間にかやらなくなった。

(あいつらが邪魔してたからなあ……)

 なんだかんだで長茶髪達が絡んでるのは確かである。

 一緒にいた期間は短かったが与えた不快感と悪影響は大きい。

 元の状態に戻るのにも時間がかかりそうだった。

 だが、既にいないからこれ以上悪くなる事もない。

 時間をかければ、いずれは変わっていくはずである。

 そう信じていたかった。



 それ以上に問題なのは、稼ぎの方である。

 やはり増えた人数を賄うだけの稼ぎを出すのは難しい。

 今は二手に分かれてるが、それでは稼ぎが足りない。

 今の人数でモンスターを今まで通りに倒していったら、食料と幾らかの余録だけで終わってしまう。

 成長は不可能に近い。

 今少し効率を上げるためには、もう少し少人数編成で行動するしかない。

 現在14人なので、これを3つくらいに分けるておかないと厳しい事になる。

 ただ、その場合の戦闘力の低下は深刻な問題になりかねない。

 戦闘系の技術を持ってる者がいれば良いのだが、今回の来た者達にはそういった者はいなかった。

 トモキやマキのような者はそれほど多くはない。

 ならばカズアキのように貢献度を稼いで育ってもらうしかないが、その貢献度が足りない。

 このままでは成長に必要な1万という点数を稼ぐ事は出来ない。

 レベルを1つ上げるのに1年かかってしまいかねない。

 なんとかして、もう少し効率良くモンスターを倒せるようにならねばならなかった。



「上手くモンスターをおびき寄せる事が出来ればいいんですが」

 カズアキが出した案はそれだった。

「こちらが有利な場所にモンスターを誘導し、出来るだけ一方的に倒せれば良いのでありますが。

 そうそう簡単にはいかないでありましょうなあ……」

「そんな場所もないしね。

 そもそも、モンスターを上手く誘い込むなんて出来るのかな?」

 テルオが疑問を口にする。

「こちらを見れば襲ってくるので、その習性を利用出来れば。

 ただ、モンスターの移動速度とかが絡んでくるので、そこはまずは見極めないといけませぬ」

「誰かがおとりになるってこと?」

 ヒトミが不安そうな声をあげる。

「さすがにそれは……無理かも」

「まあ、やれと命令するわけではないのでご安心を。

 そもそもモンスターを見つけるのも結構難しいのでありますし。

 見つからなければ誘い込みすらできませぬ」

「そうだね。

 あいつらがどこから来てどのあたりをうろついてるのかもよく分かってないし。

 集めるにしても、結構難しいだろうね」

 情報の不足が響いている。

 モンスターについては分かって無い事だらけなので、対策を立てる事が難しい。

 調べるにしても何をどうすれば良いのか分からない。

「行動パターンだけでも分かるといいのでありますが。

 今の状態だと厳しいでありますな」

 出会えば戦闘にならざるえない。

 食い扶持を手に入れるためにも、可能な限り倒すしかない。

「けど、少しくらい調べてみたいな」

 いつまでも今のままというわけにもいかない。

 どこかで区切りをつけて、少しでも何かを発見するようにしなくてはならない。

 でなければどこかで行き詰まってしまうだろう。

明日の19:00に続きを出す予定

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