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102/102

第102空間 いつもの方針策定会議3

 心配するような襲撃は起きず、三ヶ月が経過していく。

 その間に求めるレベルに到達する者達もあらわれ、全体の底上げが進んでいった。

 成長した者達が20人近くになり、防衛の懸念はある程度払拭される。

 その間にトモキ達も貢献度を貯め、燃料代を稼いでいく。

 再びモンスターが増大してる地域に赴き、その先を目指すために。

 何故あそこで急激にモンスターが増大したのか、その原因を探っておかねばならない。

 どのみち、先に進む必要はある。

 この場所何があるのかを確かめるために。



 人もどうにか集めていく。

 危険な奥地へ出向くとあって、賛同者はなかなかあらわれない……と思っていた。

 しかし、意外な事にそれなりに志願者が出てきて、トモキ達についていくという。

 敵が多い事も強力なものが出てくる事も伝えてあるのだが、それを承知で参加するという。

「このままここに居ても、ってのはありますから」

「先に進まないとどうしようもないし」

 彼等の意見は概ねそんなものだった。

 今の状況に満足してるわけではない、何かが分かるなら先に進んで確かめたい、といったところであろうか。

 だからこそ危険を承知で乗り込んでいく事にしたのだろう。

「それに、もっと稼いでおきたいし」

 そんな要望もある。

 敵が多ければそれだけ貢献度を手に入れやすくなる。

 強い敵は手に入る貢献度も多くなる。

 なので、そちらも目的になり得たようだった。

 この世界、弱いままではいられない。

 少しでも強くならねば生き残る事が難しい。

 加えて、多少なりとも便利な道具を手に入れるためには多くの貢献度が必要になる。

 稼ぎを多くするというのが理由になるのも当然であった。



 ただ、その為の準備も必要になる。

 長大な移動距離を走破するためには車輌はどうしても必要になる。

 それを調達するために、居住地全体の強力が必要になった。

 車輌を手に入れるために貢献度を稼ぎ、燃料を手に入れるためにモンスター退治に赴く事になる。

 人数を増加させるので、当然その分の車輌が必要になる。

 調達するための貢献度稼ぎも必要になってくる。

 運転や整備の技術も含めれば、必要な貢献度はうなぎ登りになってしまう。

 出来るだけ最小限で留めようとしても、どうしても調達に時間がかかってしまう。

 三ヶ月の間でどうにかそれをこなしはしたが、当然無理はどこかに生じていく。



「やはり燃料が足りぬでありますか」

「900カ所も進まなくちゃならないからな。

 単純に考えて4万5000キロはあるし、それだけの燃料となると簡単に手に入るわけもないから」

「やはり、途中で確保して先に進む形になるでありますか」

「それか、もう少しこの近辺で稼ぐかだね」

「そうした方が無難でしょうね」

 どうにか手に入れた物と、どうしても足りない物で差が出て来る。

 それを埋め合わせるために何をどうしていくかを考えていかねばならない。

 燃料に限らずその他の部分にもそれらは出ている。

「レベルも、足りないって言えば足りないしね」

「さすがにレベル10以上の人間なんてそうそう揃ってるわけでもないでありますし」

「レベル5でいいって言ってくれてるからそこはありがたいけど。

 でも、本当にそのくらいで大丈夫なの?

 さすがにきついと思うけど」

「向こうに着いたら戦闘ばかりだから嫌でもレベルは上がりますよ。

 こっちにいるよりよっぽど効率が良いくらいです」

「でも危険じゃない?」

「それなりの人数がいれば大丈夫ですよ。

 レベル5なら4人もいればいけるんじゃないかと」

「強さ自体はこっちとそれほど変わらないのがほとんどらしいですからな」

「たまに強いのもいるのは確かだけどね。

 一応レベルの高いのも加わってもらう事で、そこら辺はどうにかしたい」

「それでもだいぶ厳しいことになるでありますな」

 対処できるくらいの強さであったとしても数が多ければてこずる。

 だからこそ対処方法を考えねばならなかった。

 その一つを口にしていく。

「先の事になるけど────銃も手に入れる事も考えてるよ」

「はい?」

「銃を?」

「ああ。

 奥地のモンスターには強力なのがいる。

 追跡してきた奴もそうだった。

 だから、対策として銃器も手に入れておいた方が良いと思うんだ」

 実際に戦ったからこそ出て来た考えである。

 ボウガンすら効果が薄い相手である。

 ならば、より強力な武器を手に入れるしかない。

 レベルを上げるのも手段の一つだが、時間がかかるのが難点だった。

 銃器の入手とて手間は手間なのだが、手に入れれば長く使える。

 車輌とそこは似ている。

 整備や修理が必要で、燃料に弾薬と言った消耗品も手にいれねばならない。

 それでも、誰でも使えるという利便性と、効果や威力が大きいという利点は無視出来ない。

 車輌によって行動範囲が広がり、移動速度の増大が必要な時間の短縮を促したように。

 銃器も一定の戦闘力を素人に与える事が出来る。

 射程が長く、威力も大きく、誰でも使える。

 ボウガンも似たような利点があったから弓よりも利用者が多い。

 今だって弓を用いる者はほとんどいない。

 弓道をたしなんでいた者が、保有していた弓の技術を伸ばす形で使ってはいるが、それとて片手で指折り数える程度である。

 銃器の威力はそのボウガンを軽く上回る。

 発射音の大きさという問題はあるが、威力と射程を考えれば問題は無いだろう。

 もし発射音を気にするなら、その時はボウガンなどを使えば良いだけでもある。

 一番の問題は入手もそうだが、維持・運用の費用が高い事だろう。

 まともに動くように整備するにはそれなりの技術と道具が必要になる。

 銃弾を手に入れるのに必要な貢献度も高い。

 そのため、どうしても費用対効果の面で今までは問題が出て来ていた。

 だが、これからは違う。



「あれだけ強力なモンスターが出て来たし、用意しておいた方が良いと思う。

 下手すりゃ全滅の可能性もあるからな」

 追跡してきた敵の強さを考えれば、対処方法として銃を用意するのは当然とも言えた。

 入手も維持も運用にも手間と貢献度が必要だとしてもだ。

 それでも命には代えられない。

 出費は痛いが、その出費で壊滅を免れるなら小さな損失である。

 それに、追跡してきたもののような強力なモンスターはそれ程いないようでもある。

 トモキが帰ってきてからの数ヶ月の間に再びあらわれた事もない。

 そうであるなら、銃を使う機会がそれほど多いわけでもない。

 それほど頻繁に使わないなら、負担が大きくなる事も無い。

 むしろ、最悪に備えて用意しておくべき必需品であると言えた。

「こっちに来るかは分からないけど、念のためにね。

 あれば役立つ事もあるだろうし」

 備えあれば憂い無しである。



「でも、気力を込めた矢とかでは効果が無いでありますか?」

 カズアキがトモキに尋ねていく。

「ゲームみたいにエンチャント……威力強化が出来たら多少は改善出来るんじゃないかと思うでありますが」

「ああ、試してみたけど、それほど良いもんじゃない」

 現在、居住地で数少ない超能力を使える一人として、実際に行った結果を伝えていく。

「手持ちの武器とかなら気を注ぎ混み続けられるけど、飛び道具はそうはいかない。

 相手に当てる物に気を込めないといけないし、それもそう長くは続かない。

 ある程度効果時間を長くするようにしておかないといけないけど、そうなると威力がどうしても落ちる」

「攻撃を当てるまで効果が続くようにしなければならないでありますか」

「そうだ。

 当たるかどうかは別としてね。

 それに、矢なら一本一本に気を込めないといけない。

 手持ちの武器なら持ってるものに気を注ぎ込み続ければいいけど、矢だと撃ち出すもの全部に気を込めないといけないし」

「一つじゃ済まなくなるのか」

「それが結構大変なんですよ」

「ボウガンに気をこめても意味はないという事でありますか」

「目立った効果はないね。

 ボウガン自体の耐久力とかは上がってるかもしれないけど」

 射出するための道具であるボウガンに操気法で気を込めても意味が無い。

 少なくとも、射出される矢の威力が上がる事は無い。

 鈍器としてボウガンを使えば、何らかの威力向上が確かめられるかもしれないが。

「もしかしたら、射出する時の速度とかが上がってるかもしれないけど。

 でも、それほど大きな差があるようには思えなかったよ」

 試しに樹木や岩などに向けて矢を放ってはみた。

 ボウガンそのものに気を注ぎ込んだ後で何かしらの違いが出るのかと確かめるために。

 だが、結果はさして違いはなかった。

 樹木に突き刺さるにしても、それは気を込める前と変わらない。

 岩に当たれば矢が壊れるのはどちらも同じだった。

「気を込めればそこは変わったけど」

 どういう作用なのか分からないが、気を込めた矢の方が威力は上がった。

 樹木にはより深く突き刺さり、岩の表面を穿つくらいにはなった。

 その為に必要な準備に手間がかかりすぎる。

「効果はあるけど、あまり当てにしない方がいい。

 それよりは、手軽に使えるものを用意した方が早いよ」

 何せ銃なら誰でも使える。

 確実に当てられるようになるには技術が必要だが、使い方自体はそれほど難しくはない。

 弾丸を込めて、引き金を引くだけである。

 この簡便さが大きな利点である。

「たぶん、超能力とか使えるようになるまでは、銃とかを使った方がいいと思うぞ」

 いずれ逆転する日が来るにしても、今はまだ便利な道具に頼った方がよい。

 将来的な強さや成長は、今をどうにかしないと手に入らないのだから。



 防衛だけではない。

 これから敵地に挑んでいくにあたり、トモキも銃の入手を考えていた。

 敵の数が多くなれば、対処するのも手間がかかる。

 その場合、連射が出来て長距離からの攻撃を仕掛けられる銃は便利に思えた。

 そうそう簡単使えるわけでもないが、緊急時には役立つはずだった。

 すぐには無理でも、なるべく早く用意しておきたかった。

(あとは)

 もう一つ用意しておきたいものもあった。

(手榴弾とかあればいいんだけど)

 その他、地雷に爆薬などなど。

 対戦車・対物用のロケットランチャーやグレネードランチャーはともかく、手近にいる敵に投げつけるための爆発武器は欲しかった。

 敵が集団で襲ってきた場合に役立つはずである。

(迫撃砲とかはさすがにいらんだろうけど)

 今の段階では必要無いし、今後も使う機会がないよう願いたいところだった。

 人が携行出来る支援攻撃用の兵器であるが、そんなものが必要となるとそうとう敵が強烈であるという事になってしまう。

 圧倒的な火力で敵を制圧するにしても、現状ではそこまで必要はない……と思っていたかった。

 だが、敵が一気に増えた事を考えると、いずれ必要な場面に出くわす事も考えられた。

 まさかとは思うが、思いも寄らない事がここでは起こる。

 特に敵の出方は想定外になる事が多い。

 こちらが思いもよらない事をしでかしてくる事を常に念頭におかねばならなかった。

(やんなるな)

 懸念が懸念だけで終わってくれるよう願いつつも、そうはならないだろうと思ええてきた。

 なんとなくこんなのも書いてみた。



「ふたつの国のお話」

https://ncode.syosetu.com/n2330ej/

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