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第10空間 今出来る範囲

 翌朝。

 朝と言って良いのか分からないが、周囲が明るくなってきた頃にトモキ達は起き出した。

 途中、見張りを交代したマキ達三人は大分眠そうである。

 食事を購入してそれを食べてから、三人は少しだけ横になる事になった。

 このまま行動しても決して良い結果には繋がらない。

 気休め程度であっても休んでもらい、多少なりとも良い状態になってから活動を開始していく事にした。



 明るくなってからどれくらい経っただろうか。

 時計がないので時間の経過が分からないが、それほど経過はしてないはずである。

「おはよう」

 あらためて挨拶をしてからトモキ達は歩き出していく。

 今日もモンスターを探して倒さなければならない。

 食い扶持を稼がねばここでは生きていけない。

 上手くモンスターと遭遇出来るよう願いながら歩いていく。



「足跡とか見つけられるといいのであるが」

 出発に際してカズアキが言ったとおり、何らかの痕跡があれば良いのにと思う。

 あっても見つけられるかどうか分からないが、何らかの手がかりが欲しかった。

「行動パターンを見つける事が出来れば、効率良くいけると思うのでござる」

「それもゲームの話か?」

「まあ、そうでありますな。

 ネトゲならモンスターの行動に規則性があるので。

 ここのモンスターにそういうのがあるかは分からぬでござるが、生き物なら多少はそうしたものがあるはずでありますし」

「まあ、動物ならそうかもしれないけど」

 ここにいるのはモンスターである。

 普通の動物と同様に扱ってよいのか疑問である。

 ただ、なんらかの規則性があるなら、それを早く見つけ出しておきたかった。

 それが分かれば相手の裏をつけるかもしれない。

 出来るだけ早めに発見したいものだった。

 モンスターの痕跡も含めて。



 ただ、それ以前の問題として、このあたりの事が分かってないというのがある。

 どこに何があるのかという土地勘がない。

 標識になりそうなものもなく、どこをどのように歩いてるのかが分からない。

 何らかの目印があれば良いのだが、目立った物があるわけでもない。

 たとえば巨大な岩とか巨木とか、他に比べて極めて目立つ何かがあれば、それが目印になりうる。

 しかし、今のところそういったものも見つかってない。

 その為、闇雲に動き回るだけとなってしまっている。

 もう少しどうにかならないものかと思うが、解決策を思いつくわけでもない。

 探索のためにあちこち動き回るにしても、これでは効率が悪い。

 色々と改善が必要なのを感じていく。



 それでもモンスターとはそれなりに遭遇していく。

 出発からしばらくして一体。

 昼前に一体。

 昼食をとって暫く歩いて更に一体。

 なんとか三体を倒して、最低限のノルマは達成出来た。

 まだ日暮れまで時間があるから、もう少し探してみようという事になり、モンスター退治が続く。

 稼ぎは多い方が良い。

 戦闘を繰り返すことによる疲労と、どうしても増える死傷率は怖いが、余裕を少しでも作っておかねば今後に響く。

 今日は上手くいってるが、明日も上手くいくとは限らないのだから。

 あと一体倒せば、更に貢献度に余裕が出来る。

 その余裕が、一食分の働きでしかないにしても十分である。

 その一食の為に無理をしなくて良くなるのだから。

 今はその一食の為に無理をしてるようなもので、本末転倒と言える状況ではある。

 だが、ここは多少の無茶や無理をしてでもやるべき事をこなさねばならない。

 モンスターを探す探索は、まだしばらく継続される事になった。



 戦闘そのものは階数を重ねるごとに改善がなされていく。

 土を使った目つぶしと、可能な限り挟撃するという戦闘方法。

 相手の動きを奪ってから、斧による強力な一撃によるとどめ。

 それらを効率よくこなしていく為の動き方。

 更に言えば、枯れ木などを投げてモンスターの注意を逸らす事による、最初の一撃の成功率増大。

 戦闘の階数だけ反省点が生まれ、変更するべき部分に気づく事で次の戦闘が楽になる。

 戦闘に参加する三人が適切に動く事で、楽にモンスターを倒していける。

 武装の関係で戦闘には参加してないヒトミとテルオも、周囲の警戒という形で全体に貢献している。

 戦闘に入れば、トモキ達三人は周囲の事を見てる余裕がなくなる。

 その隙をヒトミとテルオが補う形になる。

 今の所、戦闘中に別のモンスターが乱入してきた事は無いが、それでも周囲を見張ってる者がいてくれる事は安心感につながる。

 目の前のモンスターに集中する事が出来るから、危険もそれだけ減る。

 三人がかりであっても、やはりモンスターは危険だ。

 振り回す腕が当たれば、無傷では済まないだろう。

 そんなものを相手にしてる時に他の事に気を回してる余裕などない。

 全力で目の前の敵に当たらねば、代償を支払うのは自分達である。



 この日、日暮れまでに五体のモンスターを倒し、合計500点の貢献度を手に入れた。

 食事をとっても十分なお釣りがくる。

 その事に安堵して五人は一日を終えようとしていた。

 だが、就寝までの時間でトモキは、五人に考えていた事をぶつけてみた。

「このまま闇雲に歩き回っているのもどうかと思うんだ」

 今はこれでも良いかもしれないが、少しは何かを変えていきたかった。

 妙案があるわけではないが、何か改善出来ないだろうかと思いはする。

「それで、目印になりそうなものとかを作ってみたい」

 どれほど効果があるか分からないが、そういうものも出来ないだろうかと皆に提案してみた。

 話を聞いた四人も、それを悪くは受け取らない。

 反応はそれぞれ違うが、トモキの考えに色々と感じるところがあったようだ。

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