「この世界」
空から降った俺は出会った女、神無月に連れられ近くの集落に身を寄せた。
「七草島唯一の宿がある場所でな?此処のTKGはとても上手い」
「って・・・ただの卵かけご飯じゃねぇか!!!」
テーブルを叩き異議を唱えると口に卵かけご飯を掻き込む神無月の箸が俺に向けられてくる
「文句があるなら食うな」
「食べさせて頂きます。神無月様・・・」
そう言い俺はすぐに卵かけご飯を口に含ませた。
「うまい・・・」
ほのかに香る醤油の匂いと味
卵を潰した瞬間に米と絡み合い一粒一粒に卵の味が!!
「で?貴様は日本とか言う場所から来たんだな?」
俺がこの卵かけご飯に感動をしていると既に食べ終わっている神無月
今おかれている状況を理解し静かに茶碗と箸を机に置き手を膝にもっていく
「そうだよ・・・しかも七草島なんて知らねぇし・・・」
「見ろ」
彼女は深くため息をつくと持っていたカバンから古い地図らしきモノを出してきた。
「此処が私たちがいる場所」
テーブルに広げられた地図を見るとそれは世界地図に似ても似つかないモノだった。
大陸らしいものは四つに分けられそれぞれに赤い点と名前が書いており、中央に赤い点がついてあった。
「この小さな島が七草島。この国は風の国に属しているから安全だ」
神無月が指差したところは小さな小さな島だった。
「ま、待てよ!つまり、此処は・・・」
俺は信じられないモノを目にしている。
現実じゃない。
「そう貴様の話が本当だとしたら貴様がいた世界とは別の世界・・・私たちはアースレジェンドと呼んでいるこの世界に来たということだ」
彼女の言葉は信じられないのが当たり前だ。
だけど、今、この状況を見る限り地球ではないことは明らかだ。
「嘘だろ?」
「嘘ではない。今が貴様の現実だ」
「っ・・・」
「・・・帰りたいか?」
「あ、当たり前だろ!?まだ見てない映画とか、冷蔵庫にあるプリン食ってねぇし、学校はまぁ、良いけど・・・」
「半分は意味は分からないが、貴様が帰りたいのは理解した」
彼女は不敵に笑い俺を指差した。
「貴様をこの私が元の世界に戻してやろう!」
「は?」
「その代わり貴様には私の手伝いをしてもらうぞ?」
拝啓、おばあさま・・・
俺はとんでもない世界に来てしまい、とんでもない女に会ってしまいました。
どうか、俺を見守って下さい・・・
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