「平穏な日々」
「起きろ!!この馬鹿ユウ!」
スパンッ、と良い音が聞こえた時と同時に頭に痛みが走った
ゆっくりと頭を上げると雑誌を纏めた女の子が腕組をしながら俺を見降ろしていた。
「杏子?」
「やっと起きたか・・・この馬鹿」
俺はクシャリ、と前髪を上げる
「うるせぇな・・・別に良いだろ?」
「先生激オコだったっつーの」
「あー・・・」
「で?何かあったの?」
怪訝そうな顔をしながら杏子は前の椅子に座った。
コイツはガキの頃からの腐れ縁、つまり幼馴染という関係だ
短い黒髪、前髪にはイチゴのピン止め
ごく普通の女の子だ
そんなことを想っていると頬を抓られた
「悪かったわね?ごくフツーで」
「人が考えたこと読むなよ!」
「アンタが口に出したんでしょ!?」
そう言い杏子は俺の頬を抓むのを止めたが、痛みは残っているため頬を擦る
「で?どんな夢見たの?」
「は?」
「アンタ寝言言ってたわよ?『火、水、山、風』って」
「・・・忘れた」
「あっそ、意味分かんない寝言言わないでよ?うるさいから集中出来なかったじゃない」
文句を言うと杏子は目の前の席から立ち上がり自分のグループに戻って行った。
それを見送り俺は窓の外を見上げる。
自分でも良い席を引いたと思う・・・
顔を上げれば空が見えるのだ。
空は何があっても変わらずただ流れている。
そして俺の人生もただ流れて行く。
それだけだ・・・
でも・・・懐かしいばあちゃんと過ごした日々
俺は・・・
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