真実の愛
「他の男にとられるくらいなら・・・」
男は、台所にあった包丁をとっさに手にした
些細な喧嘩
よくある喧嘩だ
とにかくモテる彼女だ
男友達も何人もいる
昔からわかっていたこと・・・
でも。。。
それでも許せない
彼女が他の男と偶然二人っきりで会っている所を目撃してしまった男・・・
裏切られた
頭に血が昇る
押さえ切れない感情がこみあげてくる
ゆっくりと、一歩一歩彼女に近づいた・・・
彼女はそんな行動にも全くうろたえることなく美しく毅然として立っていた
「私にはあなたしかいないの。愛してる。」
「!!!???」
なんなんだ
なんて白々しいんだ
この後におよんで
そんないい訳なんて聞きたくない
どうせ、いつもいつも俺のことを見下していたんだろ
クソ
あまりの怒りで、包丁を持つ手が震えた
彼女の目線が包丁のほうへ向いたと同時に笑みを浮かべたのを彼は見逃さなかった
まるで「あなたは、本当に私をさせるの?自分では何も出来ないこの根性なしが・・・」
というような笑みを
・・・愛してるなんて・・・
そんな言葉・・・嘘だ・・・・
いつもいつも俺の事を馬鹿にして
下げずさんでみて
その人を侮辱したような微笑・・・
やっぱり嘘なんだ
糞くそ
なんでだよ
どうして俺を裏切るんだ
もうどうにでもなれ
そうだ 憎くてしょうがなかったんだ
俺は今・・・
はっきり気付いた
男の目がこれでもかというくらい見開いた
彼は、彼女の胸に包丁を突き上げるように刺した
思いっきり
深く
力いっぱい
彼女は、あまりの出来事に驚いた表情を見せた
まるで、本当に刺すなんて
といっているような表情だ
男にはそれがどうしようもなく滑稽で可笑しかった
「はははは・・・」
みたかよ
くくくく 殺せないっておもっただろ?
俺だってやる時は、やる男なんだよ
今まで散々馬鹿にしやがって
え?どうだ?惚れ直したか?もう遅いけどな
ざまあみろ
そうだ
これでいいんだ
散々我慢してたが
こんな女
俺を裏切るような女は死んで当然だ
死ねばいいんだ
男は包丁をさらに押し込んだ
全ての憎しみを込めて
「他の男にとられるくらいなら・・・」
そういうと彼は台所にあった包丁をとりだした
え?
何?どういうこと?そんなにまで私を愛してるってこと?
嬉しいわ
そんな本気な男あなた以外いない
「私には、あなたしかいないの。愛してる」
いい訳なんてしないわ
本当にあなたしかいないの
確かに数えきれないほどいろいろな男に誘われて、他の男と会ってたけど、本当にただそれだけなの・・・
送ってもらったり
奢ってもらって食事をしただけ
所詮はただの友達
他の男に会えば会うほどあなたが一番って気づくわ
あなたは、少し頼りない所があって、かなり優柔不断で
いつもうじうじしてて、根性なしとか、随分とひどいことも今まで沢山いってしまったわ
でも、やっときづいたわ・・・そんなあなたの優しさに
本当にごめんなさい
彼女はチラッと
彼の手にする包丁を見つめた
その手が微かに震えているようだ
彼女は、微笑んだ
ふふふ 可愛いわ 無理しちゃって
包丁で刺そうとするくらい
他の男に渡したくないって
そんなにまで、私のことを愛してくれていたなんて
ほんと、嬉しいわ
と、同時に彼女の胸に、包丁が突き刺さった
え?何?どうしてなの?何がおこったの?
どうして?私が・・・刺され???
これから二人で幸せになるんじゃないの?
前よりも、もっと・・・
結婚して子供を持って幸せな家庭を・・・
死ぬまで一緒?
何が・・・どう・・・???
自然と涙が溢れた。
わからない
な、ぜ、
胸があつい
これが究極の愛の形なの?
心中・・・
このあとあなたも私の後を追って・・・
永遠に?あの世で?
一緒?
?
彼の笑い声を聞きながら
彼女は薄れ行く意識のなかで答えを見出せずにいた
これが彼の愛なの?
終
読んで頂きありがとうございます^_^
またちょこちょこ更新していきます
応援よろしくお願いします。




