1.一時の安心
「全員席についたか」
「はい。全員います」
モテ豚と先生の会話。毎度恒例の会話なのだが、一限では無かった。それもそのはず、全員今回の件で頭の中がめちゃくちゃだったからだ。勿論私だってそうだし、いまだって頭の整理が追いついてない生徒も多いだろう。
だが、そうこう考えていても何にもならない。いま私たちにできる事は黙って従うことだけなのだから。
「それでは二限を始める。この時間に話すのはインフラについてだ」
これを聞いて教室中が騒ぎ始め、また一瞬で静かになる。先生の目が笑っていなかったからだ。
「物資の供給があるという話をしただろう。1日に一回のみ、配給が学校に届く。それらを皆でわけ、栄養を補給する。だが、配給というのも食料だけではない。」
そう言うと、先生は教室にあるテレビをつける。そして映し出されるのは、学校のプールだ。
「ここにある水が全員に配れ、また全員に供給される。勿論水道を渡ってくる訳だが、心配要らない。戦闘行為においてインフラ設備等への攻撃は禁止されているからだ」
だが、ここで黙っている事はできなかったのだろう。江戸豚が立ち上がる。
「先生。プールの水を飲むとか、信じられません。あんな汚いところの水を飲むのなんて…気持ち悪い」
その目は真剣そのものだったが、この意見に対する評価は二分されていそうだ。男子陣(主に運動バカ豚の2人やその周辺の豚)と女子陣(主に江戸豚グループ)では当然と言っていいのか、この意見への賛否両論はとても別れているようだ。特に江戸豚と運動バカ豚ver.1は犬猿の仲で、いまも睨み合っている。ある意味仲が良いが…
と、まぁ教室中でまた喧嘩が起こりそうな雰囲気だったので、先生も少し達観はしていたがすぐに返答した。
「その点は心配いらない。プールに関しては3ヶ月以上前から改造が施されており、上水道の設備と同じような設備になっている。それと、各家庭やお前らの寮の風呂も心配いならない。水と同じように電気ガスも整っている。問題点があるとしたら、ラジオやテレビなどの番組は聞いたり見たりできない。いまはインターネットや電話回線も使えるが、これはインフラ設備として登録されていないのでいつ使えなくなるかわかったものじゃない。だが、健康上ではいいことも多いだろう。気にせず励め」
とまぁ淡々と述べられたが、これに対し二つの意見が両方の耳から入ってきた。
「interessant。僕がまた輝いてしまいそうだよ。Mädchen」
「…大丈夫かなぁ…」
いや、失敬。片方からしか聞こえてこなかった、な。
雑魚豚は今回の県に不安を持っているようだ。まぁいきなり転校してこれじゃ無理もないか。
「大友君、どうしたの?」
私はここでも上目遣いを忘れず優しく包み込むように問いかけたわけだが、雑魚豚はドキリとしたのか体を震わせてこちらを見た。…と言うかなんだとてつもない汚物を見るような目は…
「…」
いや、違うな。これはあれだ。私の横にいる“存在しないはずのナニカ”を見ているな。私も何もいないはずの空間から凄まじい威圧を感じる。なぜだろうか。「僕に構いたまえ」などと言っているような威圧を非常に感じる。何もいないはずなんだがな。まぁ、いい。話題が進まないのでありもしない幻想を気にしないで、話しかけさせてもらおう。
「大友君。大友君っ。大友君ってばっ!」
するとやっと我に戻ったのかハッとした顔をしてこちらに振り向いた。
「あ、ご、ごめん。ちょっと無視しちゃってた、かな?」
「そんなことないよぉ〜。っていうようりもだよ?何か心配なことであるのかなっ?」
いまでもきゃはっと言いそうな可愛らしくまた幼稚さも感じさせる感じで聞いた。こうやって男を落とし、手駒にして行くのだ。
「あ、う、うん。じ、実はね。僕漫画書くの趣味って言ってたじゃん」
「うんっ」
「実は全部デジタルで書いて印刷してたんだ。それで、そのぉ、大丈夫なのかなぁとか思ったりしてたんだよ…」
誠にか弱く言っている。こいつ、まさか私と同じタイプではないだろうか。いや、ないか。
「そっかぁ〜それはとても不安だねっ。私に手伝えること並んでもうるからいつでも言ってほしい!」
とまぁ少し頼らせるように言ってみたが、
「う、うんありがとう‼︎」
なんか口車に載せられている気がする。こいつなんかやっぱり私に似ている気が。この母性本能をくすぐるようなキラキラした目の上目使い。やっぱこいつ…いや、ない。ナイナイ。私ほど崇高な考えなど持ち合わせていないはずだ。
ーーーーー豚を掌握し、世界をあなたの為の物にーーー
それが、豚だらけの世界に生まれた私の宿命。
『よりよい善の世界を作って…』
そんな言葉が脳裏をよぎる。
あぁ。わかっている。私が私として生きている理由も。だから心配しないで。すべてはあなたの望み通りに進行させる。あなたはただ、待っていればいい。あの約束の夢の中で。
●
霧島。また彼女のおかしな所きずいた。俺は彼女の名前を知らない。と言うよりかは、彼女の名前を口にしている生徒や先生を見たことがない。いま思い返して見れば彼女はクラスの自己紹介でも名字しか口にしていない。なぜだ?彼女のことを考えると疑問が深くなる、な。
これはあの人にも伝えねばならない。
場合によっては大友もろとも執行せねばならない。
そうするだけで、俺の願いは叶う。そう…雇われのしがない執行者として、ではなく真なる罰の執行者になる。そのために俺はあの人に従う。
ーーーーそして必ず、反旗を翻すーーーーー
『善なる罰の名の下に』
家でくつろぎながら食べるお菓子は最高ですねーー
こう考えてみると冬も悪くないのかも…
みなさんどう思いますかね?
私はやっぱり夏がいいかなっ!(やっぱりどうでもいい話題で…)




