4.揺れる豚小屋
女子トイレ。それは悪口が空を舞う絶好の場だ。
「神谷さんさ、なんか調子に乗ってない?」
始まった。これからはフィーバータイムである。誰にも止められない悪口の嵐。ちなみにこう言っているのはクラスの女子リーダー的存在の江戸川真澄である。彼女は非常に傲慢で、気に入らない女子がいれば徹底的に排除しようとする。その一方で男子には媚を売りまくり、今や学年トップレベルのオス豚と言われている中居と付き合っているのだ。彼は隣のクラスであるためあまり関わりはないが、相当なモテ男らしい。ただ黒い噂も立ち込めてはいるが、、、
「そうだよね。そうだよね。私もそう思う。何か江嶋君といい感じなんでしょ?それで調子乗っちゃって、今まで私たちと一緒に行動してきてたのにさ」
そう同意するのは江戸豚グループがNo2。名前は千代美恵子である。
メス豚とう言うのは群れないと行動できないと言うので有名な話だが、彼女はその典型である。
常に江戸豚に付き添い、何か言われれば必ずと言って良いほど賛成をする。そして少し頭がいいからか、バカな江戸豚の考えをまとめるかのような意見を出し、自分の存在感を出そうとする高等テクニックを使っている豚だ。メス豚の中では相当能力の高い女性だと思われるが、未だその存在は霧のように掴むことができない。私をトイレに誘ったのも彼女だ。彼女は多分だが、他の豚とは違う。
そんなことを考えていると、髪を直しながら江戸豚がこちらに汚い目をむけて、傲慢に言い放った。
「私、神谷さんをいじめようと思うの。なんか少し泡をふかせたやろうって思ったの。だからさ、次の審査会でさ、ある程度のいじめを許容するような案を出して欲しいの。霧島さん。あなたならそれくらいできるでしょう?」
私は少しの間戸惑ったが、すぐに答えを出そうとしたーーーーーーーーーー
が、この問いに答えたのは私ではなかった。
「何やらくだらないことを考えているのね、あなた達。バカというのにも程があるわ。そんな低能なことをして何かあなた達が得をすると言うのかしら。それに神谷さんはあなた達みたいなバカとは違って、少しは使える人だとは思うわよ」
一つ鍵が閉まっているトイレがあるとは思っていたが、ツン豚こと冷川だったようだ。
勿論、江戸豚はこの発言に怒り、顔をツン豚に近寄らせ喧嘩腰になっている。
「誰よ。なんだ、ボッチか。どうせアンタは神谷さんのこと守りたいだけなんじゃない?」
「残念ながらそれはあなたのつまらない憶測よ。私は彼女のことをあなた達よりはマシと言ってるだけで、彼女を守ろうなんて一言も言っていない」
「アンタの言い方は神谷さんを守るような言い方だったと思うんだけど?それにボッチて言葉無視したわね?意外と心に刺さってたりする?」
江戸豚は人の悪い笑みを浮かべてそう言ったが、ツン豚は冷静に受け流す。
「そう?そのように聞こえたとしたら訂正するわ。ただ私はあなた達がバカすぎて少し助言をしてあげたくなっただけよ。それとボッチといったことに関しては特に何も思ってないわ。あなた達と絡むくらいならボッチの方がよっぽどマシだわ」
これに対し江戸豚は相当怒ったようだが、あのバカに言い返す言葉が浮かぶはずもなく黙り込んでしまった。それに対し、千代は「あの人口悪いよね〜」などと言って慰めている。そしてそのままトイレの外に出て行ってしまった。そして私もトイレから出ようとしたのだが…
「あなたもバカの一員だったのね。残念だわ」
といきなりツン豚に言われた。その能面のようなブス面にひょっとこのようなメイクをしてSNSで拡散してやろうかと思ったが、私は仏のような笑みで受け流した。ここで反対しても水掛け論になりそうだからだ。
というわけでそんなことは気にせずに少し重めの足取りで教室に向かう。
「キーンコーンカーンコンキーンコーンカーンコン」
いやー2月も近くなりました。寒いです。
これだから冬はなー
やっぱ春かなぁ
ってどの季節でも思ってしまうのはなぜでしょうか。とふと疑問に思いました。(どうでもよ)




