ターボババアは眠らない•後日談 〜新世代の逆襲〜
※本作はフィクションです。実在の法律・人物・団体とは一切関係ありません。
原初のターボババアとの勝負から数時間後。第五世代ターボババアの棲み家。
電源コードをくわえ、充電に入る第五世代ターボババア。
給電原理が謎である。
「あのババア、くっそやべぇ…」
加速の鋭さこそ勝っていたが、それ以外で勝てる要素が無い。
技術はともかく、実はトップスピードでも負けていた事にショックを隠せない。
「こっちはターボに電動アシストまで付けてるってのに、なんてぇ速さだよ…。」
突き離しても突き離しても追いついてくる恐怖。
初めてターボババアの怖さを知ったターボババアだった。
「…とはいえ悔しいね。奴をギャフンと言わせる手は無いもんかねぇ。」
思案にくれる第五世代。
電動アシスト比率はすでに上限一杯の1:1。つまり自前の力と同じだ。
これ以上になるとEV(エレクトリック•ヴァバア)にクラスチェンジとなる。
原初のババアとの再戦は望めない。
「どうしたもんかねぇ…」
ふと、何気なしに付けていたテレビに視線が流れた。
そこに映る若者たちのかけっこ。箱根駅伝だった。
「正月早々ご苦労なこった。日本の未来も捨てたもんじゃないねぇ。
…ん、これは……!!。使えるね。」
何かを掴んたらしい第五世代がニヤリ。
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普段より明るい満月の夜。
峠を攻める走り屋の遥か後方に、その姿を現した人影。
第五世代ターボババアである。
しかし今夜の彼女はちょっと違う。
足下に光るスラッシュ。ナイキの厚底ランニングシューズを履いていた。
先ずはお得意のゼロ秒加速を決める第五世代。
「ほっほっほつ!!体が羽根のように軽いよ!足が勝手に前に進むよぉ〜!!」
ご機嫌な第五世代。
これで原初のババアの天下もこれまでさ!
…と思ったのも束の間。
「ぬおぉぉぉおっ!!?」ビダァァンッ
ちょっとの段差に躓き盛大にすっ転ぶ第五世代。
その後も、
「うおぁわぁ」ドガァンッ
←崖に激突
「ぐおっ」ゴキッ
←捻挫
「あれぇ〜〜〜」ヒューーーー
←コーナーを曲がりきれず崖からダイブ
…と、まともに走ることさえままならぬ。
「ハァハァハァ……おかしいねぇ。テレビの
坊っちゃん達は上手く走れてたのに。」
ただでさえ扱いの難しい厚底。しかも長距離用。峠を攻めるには不向きすぎる。
それに気づかぬまま、原初のターボババア打倒を胸に、めげずに峠アタックを繰り返す第五世代。
『ドジっ子ターボババア爆誕(笑)』
いつしか、彼女はそう呼ばれるようになった。
彼女が登場するたび、沸きに沸く沿道。
登場予想日になると付近に屋台が開かれ、遠方からも客が訪れる。
村おこしで潤った地元自治体は、彼女に【名誉村民】の称号を与えた。
ある意味、彼女は原初のババアに大勝利を収めたのだが、
彼女はそんなこと知る由もなく、今日も元気に峠を駆け抜けている。




