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謎怪書記  作者: 庚颯
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追われる夢

※フィクションです。

 Uさんは愛妻家でした。

 愛する妻と幸せな家庭を作るために日々営業の仕事に精を出し、妻が恥ずかしい思いをしないようにと身体作りを欠かさず格好良い男でいる為に努力をしている。

 子供は男の子と女の子一人ずつ欲しいとか、家は小さくてもなるべく駅チカが良いだとか、将来について語り合うことも多かった。

 そんなある日、妻が亡くなってしまった。高齢者の暴走運転に巻き込まれての交通死亡事故でした。

 愛する妻を失ったUさんは悲しみに暮れ、会社を休み引きこもる自堕落な生活を送るようになった。

 来る日も来る日も遺影の前で呆然とし時には涙を流す。

 ふと、妻が生きていた頃の思い出が頭をよぎる。

「私は努力しているU君が好きよ。ひたむきに頑張る人って格好良いからね」

 妻の言葉を思い出しはっとしました。

 俺は一体何をしてるんだ。妻が愛してくれた自分というのは、こんな自堕落な生活を送る駄目な男ではなかっただろう。

 もう一度頑張ろう。妻が愛してくれた努力をするかつての自分を取り戻す。そう決意し、翌日からはきちんと仕事にも行き、身体を鍛え直し始めた。

 そんな生活が続く中、Uさんはとある夢を見るようになる。営業の仕事で街中を歩いていると、亡くなった妻が鬼の形相で何かを叫びながら追いかけてくる。だが、妻が何を言っているのかわかりませんでした。

 それから連日、妻に追いかけられる夢を見続けることとなった。

 生きていた頃に、妻のあんな表情を見たことがない。酷く罵倒されているような気がして心が荒んでいく。

 精神的に追い詰められたUさんは、同僚に相談することにした。

「最近、亡くなった妻が俺に凄い形相で叫びながら追いかけてくる夢を見るんだよ……」

「きちんと葬儀したのか?」

「当然だろ。はぁ……。俺、知らず知らずの内に恨まれることでもしてたんかな……」

「好意でやってたことが、実は奥さんを苦しめてたとか?」

 同僚に言われて今まで妻にしていたことが頭の中を巡った。

 憂鬱な気持ちで営業の仕事に出向くと、夢で見た景色と酷似した街並みが広がっていた。

 Uさんは驚き、いつも夢で追いかけられる場所を自然と探してしまう。

 あそこだ。大通りの横断歩道、そこで信号待ちをしていると妻が現れ叫ばれるのだ。

 横断歩道の前までたどり着くと、タイミング悪く赤信号に引っ掛かる。

 夢で見たままの出来事に、Uさんは酷く落ち着かない気持ちになる。正にこのタイミングで妻に叫ばれ追いかけられるのだ。夢なら横断歩道を渡らず歩道を逃げていく。そこで毎回夢から覚めている。

 追いかけられたその先に何があるのか。気になったUさんは歩道に沿って歩き出した。そのタイミングで横断歩道が青信号へと変わった。

 キキィィィィ!!

 車のブレーキが擦れる甲高い音と女性の叫び声が響いた。

 激しい音にUさんは足を止め振り返る。

 その直後、一台の軽自動車が横断歩道から歩道へと突っ込んでいきビルの壁に激突した。

 その光景にUさんの足は震え、涙を流した。

 あのまま信号を渡っていたら、あの軽自動車に轢かれUさんは重傷を負うところでした。ヘタをすれば死んでいたかもしれない。

 きっと妻が夢に現れて、俺が巻き込まれないように必死に伝えようとしていたんだ。

 亡くなってからも大切にしてくれる妻の愛情に、Uさんは感動し深く感謝したそうです。

夢系の怪談は多くありますけど、苦しめるものよりも救いのあるものが好みです。

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