第一話 登場! カリブタン!
さて、第一話の更新です。よく考えたら漫画なら二話なんですよね(笑)
今回はどういうキャラかを中心に書いてみました。
轟は困惑しながらも状況の突飛さに逆に冷静な状態になっていた。
目の前に腕を組んで立っている少女の姿を見る。
透き通るような淡い青色の髪に白雪のように白い肌。
この世のものとは思えない可愛い女の子だと思った。
「えっと、ありがとう……。おかげで助かったよ」
轟は笑みを浮かべてお礼を言う。
「ふん、素直ないいやつじゃな。ところでお前様よ、家に帰りたいという願いを聞いたはずじゃが、ここは物置かの?」
どこか満足げな顔を浮かべて、辺りを見まわたしてから少女は轟に聞く。
「あ、ここは僕の家です。狭いけど……」
「そ、それはすまんかったの。うむ、住めば都というやつじゃな」
「ははは、そうなんですよ。あ、名前まだ言ってなかったですね。僕の名前は轟俊介。死ぬところを助けてくれてありがとう」
「轟か、良い名じゃな! 我が名はカリブ。カリブ海の女神じゃ」
状況が状況じゃなければ信じられなかっただろうが、今は疑う事はない。
「カリブ様。えっと、お礼はどうすればいいですか?」
「お礼などは良いが……。そうじゃな、しばらく日本に住みたい。妾の執事にならぬかの?」
「勿論喜んで、この命を貴女のために」
轟は膝をついて、カリブの手を取ってそう言葉にする。
轟にとっては嬉しい言葉だった。
仕事を失い、借金まみれの身に、舞い降りた幸運だと感じた。
「中々に重いの。あと、妾の事はカリブたんと呼んでよいぞ?」
「え?」
その言葉に轟はひいてしまう。
「人間たちは可愛い物の事をたん付で呼ぶのじゃろ? じゃからお主もそう呼ぶがよいぞ」
偏った知識、それもアイドルに向けるやつじゃないかなと? と轟は思いながらもそれを胸にしまう。
「分かった。カリブたん、これからよろしくお願いします」
「うむ、よろしくなのじゃ」
かくして、女神と少年の共同生活が始まるのだった。
・・・・・・・・・・
「と、とりあえず。まだ学校やってるから行ってくるね」
そう、この主人公真面目ちゃんなのである。
「む? ああ、童の集いか。うむ、気をつけてまいれ」
「ありがとうございます。行ってきます」
轟の背中を見送りカリブは息を吐く。
「あの小僧……。轟はどれだけ強メンタルなのじゃ」
カリブは内心貯めていたものを吐き出すかのように口にする。
それもそのはず~。自分が生きていることに喜びつつもこの業況で学校に行くのだから、頭がヤバい認定されつつある。
「と、とにかく掃除でもするかの。このままでは住みにくいし」
轟の家は汚いわけではないが、壁や天意に穴が開きおまけに錆びだらけここは主人公のために言っておく~。
「いでよ、カリブ海。すべての汚れを洗い流すのじゃ」
カリブの背後から勢いよく水が飛び出す。
全ての壁と天井が吹き飛んだ。
「ありゃ……」
カリブのおバカのせいで轟は一夜にして家、家族、お金を失ってしまうのだった。
「誰がおバカじゃ! 不届き者め! しかしマズいのじゃ。このままでは顔向けができぬのじゃ」
そう、このカリブさん。轟の純粋な目を見て、カッコいい所を見せたかったのである。
「む~。よき案を思いつかねばなのじゃ」
目の前には瓦礫。上を走る車の音が異様にうるさく響く。
「えっと。カリブたん。これは何事ですか?」
そして静かに帰宅する轟。
「あ、いやこれはそのじゃな……」
果たしてカリブタンお運命やいかに。
無事更新。次の話から物語は大きく進みます! 次回も楽しんでもらえたら嬉しいです。