プロローグ 借金抱えて異世界転生! 残念、これは現実です?
ゆるっとした小説が書きたくて書いてみました!
読んでいただけると嬉しいのです
「どうしますか、社長! このままだと今日のプレゼンは終了、我が社は終わりです」
「安心したまえ、世界最速の男に手配してある」
スーツ姿の中年二人が会社の前で荷物の到着を待っていた。
坂の上からローラーブレードを付けた青年が向かってくる。
「お、お待たせしました~」
そう言いながらも青年は止まらず勢いのまま壁にぶつかって、頭から血を流しながらリュックの中身を差し出す。
「あ、だ、大丈夫かね?」
「はい、丈夫なことが取りえなので。ここにサインお願いします」
「う、うむ」
「助かりましたね、社長。早く戻りましょう」
部下の男が荷物を持って、会社に入っていく。
「ありがとうございました!」
本作の主人公、轟俊介《とどろきしゅんすけ》は二人に頭を下げて見送る。
「さて、僕も会社に戻って学校に行かないと」
俊介は頭の血を拭って、会社に戻った。
・・・・・・・・・・
「轟君、君は今日で首だ」
会社に戻って、社長の所に行くと渋い声でそう言われてしまう。
「え? なんでですか?」
「君、年齢偽っていただろ? 残念だよ、まじめでいい子だと思っていたのに」
「その、どうしてそのことを?」
「君の両親が来たんだよ。今月分の給料はちゃんと、両親に渡したからな」
轟はその場で膝をつく。
「そんな、そんなことしたらパチンコで全部とかされちゃうよ」
「おいおい、そんな人間がいるわけないだろ」
「いるんですよ!」
轟はそう言って、バイト先を飛び出して家に帰った。
・・・・・・・・・・
家の中は暗く、人の気配はない。
轟はカーテンを開けて、日光で部屋のの明かりを確保する。
轟の家は橋の下にトタンで作ったプレハブ小屋で電気は自作の太陽光パネルで賄っているものの、あまり長くはもたないので日中はこうして灯りを取り入れていた。
「封筒?……」
部屋のちゃぶ台の上に置かれた自分あての封筒を手に取り開く。
若いうちに試練はつきものだ。
私達の自慢の子なら大丈夫!
母と父のメッセージが書かれた一億五千万の借用書だった。
「どうも、取り立て屋です! カバチ、ゲン、やるぞ」
「うっす!」
「ひゃっは~」
突然ドアが開き、男が三人入ってくる。
「え? あ、それじゃ!」
轟は危険を察し、窓から飛び出して逃げだす。
「待ちやがれ!」
男たちも轟の後を追って、とびだしていく。
「ふ、僕の必殺速度には誰もついてこれないはず」
轟はそう言って、住宅街に逃げ込もうとする。
「ちっ、なんて逃げ足だ! ゲン、撃て」
「ヒャッハー!」
ゲンと呼ばれた男がパチンコを構えて、ドングリを轟の足に撃ち込む。
「痛い、じみにいたい」
轟は動きが止まってしまう。
「カバチ、今だ!」
「うっす」
カバチと呼ばれたお男が轟を両腕で抑え込む。
「手間を駆けさせやがって……。いくぞ」
「まって、どこに行くんですか?」
「ボスの所だよ!」
こうして~主人公、轟は命を落とすのだった~。
「ちょっと、ナレーションで殺さないでくださいよ~」
「おい、何言ってんだ? これからショーの始まりだぞ」
「え? あれ? 河川敷じゃない? ここどこですか?」
「ずっと気を失ってたから仕方ないか、エーゲ海だぞ」
「早く血の海を見せてくれよな!」
黒服の男が説明をしていると椅子に座った小太りの男がそう声を出す。
「いやいや、僕十五歳ですよ? そもそも借金の返済義務はないじゃないですか?」
「いや、義務とか関係ないから。払えないなら、ショーを見せてくれよ」
「くっ、因みにショーってどうする気なんですか?」
「簡単だよ、ここから飛び込んでサメに食べられる簡単なお仕事さ!」
黒服は淡々とそう言い放つ。
「いやいやいやいや。死ぬ~」
「カバチ」
「うっす」
轟は簀巻きにされていて逃げることができないまま海に投げられてしまう。
「はっはっはっはっは。イッツショータイム!」
かん高い男の声を聴きながら轟は思った。
僕はこんなところで死ぬのか?
両親が作った借金のせいで……。
こんなきれいな海で死ぬ……。
轟は息を思いっきり吐きだして、気を失ってしまう。
「おいおいおい、浮いてこないぞ?」
「ボス、すみません。これじゃぁ、血の海は見れませんぜ」
崖の上でボスは海を見ながら、膝を落とす。
・・・・・・・・・・
「あれ? あれ? ここは?」
突然の浮遊感の後地面の硬さが腰にきて、轟は目を開く。
轟が目にしたのは見慣れた自宅の風景だ。
「気まぐれで助けてやったぞ、感謝せよ! 人間」
声の方に視線を向けると、八重歯をみせる腕を組んだ見知らぬ少女が立っていた。
どうだったでしょうか? 感想欲しいな? さて、ギャグマンガ表現って小説だと難しいなと感じつつ書きました(笑)休みがある限りは週一更新の予定です。まぁ、息抜きに使ってもらえると嬉しいのです!
それではまた次回!お会いできることを願って!