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灰皿の一輪挿し
灰色の灰皿に
ひとつ赤が映え
愛だかを伝えそびれて
煙に巻かれる
花束の一部だろうか
そうあってくれ
だからって僕に
関係ないけど
五分が経っていた
薔薇を呑んだ
この場から消すように
棘が僕の内側を刺すけれど
花束に置いて行かれた
君をさらって帰ろうか
この僕といっしょに
紅い血でも流そうか
川底の指輪、ひとり観覧車
ホームのワイングラス
犬の遠吠え、苔むした墓標
花を咲かせない灰
薔薇を呑んで帰ろう
藍色の夕空に
鴉、影が映え
鳴き声ひとつ咳して
風に吹かれる
灰皿の隅の花びら
そこにあったのか
だからって僕に
関係ないけど
時間が経っていく
薔薇を呑んだ
その色を消すように
棘が僕の内側を刺す限り
この星に置いて行かれた
君をさらって帰ろうか
この僕といっしょに
紅い血でも流そうか
月の裏の旗、螺旋の背骨
廃墟のボロいソファー
枯れた花束、火星の地表
一人月を見てる夜
薔薇を呑んで帰ろう




