砂城のナイト
この城は僕がいなきゃ駄目だ
なんて嘘なんだ
余白を愛して愛してるふりして
逃避行をした
持て余すほどの無駄から生まれた
この剣を
引きずって夜を更かして
朝を凪ぐ
夜を裂いて
君の最低な
春も咲いて
いつも最低限
白を割いて
僕の最低な
明日にサイダー
潜る彩虹歌
いたずらに時計を融かして
毒を飲む
途中で飽きた砂の虚城は
ただの山で
超えることも崩すことすら僕には
できないで
鎧を着たまま
錆びついた剣のまま戻って来る
城を守ってる
ただプライドを守ってる
風が吹いたら波が襲ったら
怒っていいはずで
この城がただの砂漠になったって
僕は元気だろう
持て余すほどの終着と呪いの
この剣を
引きずって夜を更かして
空を見る
月に酔って
君の最高な
城に乾杯
いつも最底辺
青を再生
滲む水彩の
中で泣いて
遠く哀悼歌
ひたすらに剣を磨いて
城守る
君が建てた砂の巨城は
本物で
超えることも崩すことすら僕には
できないで
離れられないまま
目を奪われたまま蜃気楼
砂浜に立ってる
ただ明日を願ってる
砂の城を守る騎士は、自分が城に必要ないことに気付いて逃避行をするが、さんざん時間を無駄にして結局城に戻ってきてしまう。剣も鎧も錆びついて城は崩れかかっているが、騎士には壁を作って直したり、逆に崩すことすらできなかった。騎士は自分にとっても城は必要不可欠なものではなかったと知る。剣は騎士にとって呪いだった。隣の巨城はずっと一心に剣を磨き続けた素晴らしい騎士が守っていた。それが蜃気楼なのかすら騎士には判別できず、明日を祈ることしかできない。




