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岩を搾る
『ケラサスの使者』ダイより
金が欲しいから
絵を描いた
それしかなかった
音がなかった
心を売った
心が貧しいよ
感受性の賞味期限がくる
あんたらのために創ってるんじゃない
お金や名声で
この価値がわかるもんか
お腹が空いたよ
芸術を食べたい
美しさを知りたい
全然足りないよ
あなたの脳みそを直接ぶん殴るような
紙の上で僕は
跡もなく消えて
一枚の絵になりたい
時計を見ていた
長いようで
そうでもなかった
残り僅かだ
岩を搾った
何もない部屋で
色の出ないペンを握っていた
今までに打った点を繋いでるんだ
適当な食べ物で
この線が引けるもんか
一つでいいんだ
星座を描きたい
美しさが足りない
全然足りないよ
あなたの胸だけをひたすらに貫くような
それすらもいらない
僕だけのために
一枚の絵になりたい