9 復讐
見つけてくださり有難うございます。
尚、今回は少し過激です。お気をつけ下さい。
あの決意から、大体4回寝た。
勿論、身体は何処も痛まないし、銃にはあの犬っころの血肉もついてない。
まさに、復讐のやり時と言えるだろう。
雌伏の時で蓄えたこの体力を今、吐き出そうと思う。
水を飲んで、勢い良くテントから飛び出る。
復讐するにも、まずは偵察だ。
この前戦った辺りまで、ゆっくり音を出さないように進む。勿論、そこに犬が居るとも思えないが。
そして、そこから少しずつ歩いて探していく。
何分、道具などは無く、頼れるのは自分の眼だけかつ夜のため偵察はこの上無くしにくいが、それも技術強化の練習を兼ねたあいつへの復讐だと思えば俄然やる気もでるというものだ。
…ん?
あそこに居る。
居ること自体はまだ血が毛皮に滲んでいて分かりやすいが、そいつがあの犬っころかは分からない。
取り敢えず殺ろう。判別はそれからだ。
よく狙って、撃ち切る。
反撃して来るかと思い、すぐさまリロードしたものの、全く反撃してこない。
銃を構え、引き金に人差し指を置いたまま近付いてみる。
と、犬は血を出して力無く斃れていた。
どうも味気ないが、殺したことに変わりはない。
この前戦闘した犬は、背中の方に酷い傷を負わせたが、今回の犬にはその傷は無い。
この4日の間に治るとも考えにくいし、これは別個体と考えて差し支え無いだろう。
俺にあの犬以外興味はない、リュックの中身だけ漁ってさっさと次に行こう。
お、レーションだ。ありがとな、クソ犬。
またしばらく歩いていると、洞穴が見つかった。
中からは僅かに物音がする。
「おいクソ犬!ここかぁ!」
そんな怒号と共に、乱射しながら中に入る。
と、自分の身を挺して子を守ろうとしている犬が居た。
くだらん、気に食わん。
「さっさと死ね」
と、同時に2匹とも銃殺する。
2匹とも俺の顰蹙を買った分、罰を受けたのだ。仕方の無いことだろう。
さらに奥へと進む。4匹ばかりの犬っころがある。
何食わぬ顔でさっさとそれらを撤去して、奥へ奥へ。
と、リロードを忘れてた。あぶないあぶない。
カチャカチャと慣れた手付きでリロードをして、また歩みだす。
それから、何匹も殺った。
途中から数えるのもやめた。ただ、言える事が一つ。
俺はあの犬なんてどうでも良くなったってことだ。
そうだ、俺はなんであんな犬に復讐心を抱いていたんだ。
別にあいつじゃなくてもいい、とにかく殺せばいいんだ。
結局、行き止まりまで進んだが別に何も無く、さっさと引き返した。
洞穴をまた歩むと、見るとこ踏むとこ赤黒い死体。死体。死体。
今はそれを見て愉快に思えるほどだ。
血生臭い臭いもファンファーレのように俺の勝利を祝っている。
洞穴の外から見える月光も、俺も煌々と照らしている。
テントに帰ってから気付いた。
俺の服も、リュックも、このMP40も、鈍い返り血を誇らしく纏っているのだ。
「さいっこうだな!ここは良い聖地だ!」
まだ水気のある返り血もそのままに、俺はテントに寝転んだ。
瞼を閉じると、あの女神が、哀しそうな目で俺を見ている。
ただ、じっと。じっと。じっと。
深淵に沈む俺を、見つめていた。
《スキル 狂気Lv 5を開眼しました》
《虐殺技術Lv 1を習得しました》
《職業 快楽殺害者Lv 5を習得しました》
《スキル 女神の哀れみLv 1を習得しました》
ー 一部の人にとって殺人という快楽は、何物にも代えがたい程の中毒をもたらす ー
アルバート・ウィンストン 真の快楽殺害者の前で呟いた言葉
読んでくださり、有難う御座います。
感想、ブックマーク頂けると有難いです。
(アルバート・ウィンストンは架空の人物です。
実在しませんし、こんな言葉吐いてません。)