33 神風の森
見つけてくださり有難うございます。
「お、見えてきたぞ、あれが神風の森だ。」
そう言って、急にトルンパーー元の世界で言うところのトランプのようなものーーを床に置き、外を指差した。
その先には、今まで見たものとは比べ物にならないような密林。
遠目で見ても風に木々が酷く揺られている事がわかる。
先程の説明にもあった通り、強風が吹き荒れ、それが追い風、向かい風どちらかになることもあるそうだ。
森が段々と近づき、風も拭き始めたその時、ゲルニカは言った。
「じゃあ、案内はここまでだからここまでだから、俺は帰る。
迎えは無いから、自分で帰りな。
あ、最後に一言、お前に渡す金はねぇ」
そう言って、どこからか俺が持っていた筈の茶封筒を取り出した。
あれは、5000ルベアの入った今回の報酬の茶封筒。
つまり、俺は嵌められたようだ。
じゃぁな、といい問い返す暇も与えず去るゲルニカ。
シャイセ。
まぁもう良い、嵌められた分は仕方ない。
神風の森に行って、実力を得てから帰るしか無いだろう。
そうして、俺は吹き荒れる強風の中歩き出した。
森の中にまで来ると風が落ち着くかと思えば、逆に酷くなり、木に掴まったり影に居ないと立っていられない程になってきた。
カランカラン、と鈴の音が聞こえたと思えば、少し離れた方から大きな斧を持ったゴブリンが一人。
しかし、こいつはゴブリンどころじゃない。
目はあり得ない程に赫に染まり上がり、腕や身体は筋肉だらけ。
見るからに強そうである。
また、今現在こちらに向かっていることから、そこそこの索敵能力。
これは、勝ち目は殆ど無いと思っていいだろう。
と、なればやることは一つ。
逃げる。
俺が全力疾走を始めた刹那、ゴブリンは車のようなスピードで走り始めた。
「おいおい、速すぎだろ……。」
少しでも足止めしようと放った弾丸はもはや装甲と化した筋肉に阻まれ、ほぼノーダメージ。
成程、旨い話には裏があるとはこのことか。
確かに、簡単に強くなれるわけなんて無いもんな、これは俺の落ち度だろう。
最後の足掻きとばかりに、銃を放つ。
勿論、効果は無い、だが撃つ。
丁度撃ち切り、リロードを開始したその時、ここぞとばかりに距離を詰めてきたゴブリンは斧を振り下ろし、身体に酷く鈍い痛みが迸った。
刹那、消える視界。
最後に見たのは、嬉しげな表情で俺を食わんとしているゴブリンの姿だった。
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