32 出発
見つけてくださり有難うございます。
どこからか聞こえる鐘の音で、俺は目を覚ました。
昨日はあのあと結局、ソーセージやザウアークラウト、ピクルスなどの保存食と1L容量の水筒、3L分の水を蓄えた魔法石を買った。
打ち上げに関しては代金は向こうが持ってくれたので、思う存分とは行かなかったものの久しぶりに酒を自由に飲むことができた。
今居るのは城門前。
昨日の打ち上げの最後に、例の件の詳しい事情が聞かされ、その時に城門前集合と知らされたからだ。
集合時刻は6の鐘程度なのだが、緊張などからか、どうも早く起きてしまって、5の鐘の鳴る前にはもうそこに着いてしまっていた。
宿から全ての荷物を持ち出しーーといっても、元々あまり量は無かったがーーたため、そこそこの重さ。
両手は空くよう、できるだけリュックやポケットに入れているが。
まだ時間には余裕があるし、半鐘程そこらで二度寝でもするかと思ったその時、大通りの遠くの方からからゲルニカがこちらへと歩いてきていた。
あいつもなかなかに早い、これは約束を守るタイプの人だろう。
「グレゴールは早いな。」
やってくるなり一番にそう言ってくるゲルニカに、俺は笑いで返す。
あんたも大概だろ、という言葉は胸にしまった。
相手は殆ど荷物を抱えていない。
送るだけだからだろうか。
「グレゴール、出発するぞ。」
そのゲルニカの言葉と共に、城門を抜けた。
「まず、この先に馬車がある。
それに乗って1日程行けば、目的地である神風の森に着く。
分配金の方は飲みの時に渡したからな、それで俺達の関係は終わりだ。」
その案内と共に歩きだし、微かに鐘の音が聞こえる頃になると街道上に一つの馬車があった。
いかにもみすぼらしいそれに乗り込むと、有無を言わせず馬が駆け出した。
ザリニラの馬車と比べて、やけにスピードが早い。
〘それはこれが魔導馬車だからですね。
魔力で馬を強化しているので、高いスピードを出すことができるのです〙
なるほど、やっぱり魔法は凄いんだな。
子供並みの感想みたいだが、対象の強化まで出来たならそれは生物を兵器とすることも容易だろう。
それもまた、恐ろしいことではあるが。
そう思っていると、急にゲルニカがこちらへ向き直ってきて、俺に話しかけてきた。
「そうだグレゴール、今のうちに神風の森について教えておこう。」
おお、それはなんともありがたい。
なにより予備知識がないからな、どんな場所か位は知っておかないと色々不便が生じるだろう。
そんな優しい言葉に乗り、ゲルニカの案内を聞きつつ時を過ごしていると、平坦な道は過ぎていった。
そして、晴れていた天気はいつしか雲が重なり、曇となっていた。
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