22 いつの間にかの戦闘終了
読んでくださり有難うございます。
「その程度で勝ったなんて思わないで欲しいな。
仮にも僕は亜界貴族だからね、亜力解放くらい使えるさ。」
そうザルクネルが言う、また痛みが迸る。
「亜神よ、我に力を貸し給え、『亜力解放Ⅰ・常闇』!」
叫ぶザルクネル、消える視界、息苦しくなる俺。
先程の攻撃の衝撃に震える頭で必死に考える。
恐らく、あの亜力解放は厨二病的な力を解放する技で、数字があるってことは続きがあるってことだろう。
そしてこの『常闇』の中身は予測できる。
本当の闇だ。1mm先や自分の身体さえも見えない。
全く見えないザルクネルに、駄目元で聞いてみる。
「お、おいザルク…ネル!常闇って…」
途中で途切れた。
その理由は簡単。また頭を激痛が襲ったからだ
。
「うっ…」
首筋にひんやりとした液が滴る。
触ってみると少しベタついて居たが、手が見えないから判断出来ない。
「う〜ん、君ももうじき死ぬだろうし、折角だから教えてあげるよ。
この常闇はね、亜力解放した時だけに現れるパッシブスキルみたいな物、所謂余剰亜能ってやつの1つ。
効果は所詮オマケって何処だね。ドゥンケルハイト・スモッグの軽い上位互換って感じ。
ちなみに言うけど、この亜力解放のメリットは…これ。」
そう言った瞬間、先程とは比べ物にならないどころか、比べるのも気が引けるほどの衝撃が腹に広がる。
何かが口に込み上げてくる。
何だ、気持ち悪いこれは。
この世のそれと思えない苦痛と共に何かを吐き出してしまう。
意識はもう殆ど無い、ただザルクネルの声が聞こえる。
「あーあ、内臓吐いちゃって…。
片付け大変なんだよ?」
その声が終わると共に、何かの糸が切れた。
「んん…」
眠い目をこすり…って何回目だこれ、流石にこのあとの展開分かるぞ。
どうせあれだろ、また女神が出てきてなんか次の世界にでも行くんだろ。
「えーっと、起きました?グレゴールさん。」
そんな期待(?)というか呆れを裏切るように、若々しい聞き慣れた女性の声の声が俺の耳に響く。
「って、おい、距離感忘れんなって。」
後ろを向くと殆ど零距離で立っていたのはあの受付嬢。
「いや、回復魔法はできるだけ近い方が回復効率が高いじゃないですか。
常識でしょう?
あ、もしかして私が回復魔法使えること知らなかったんですか?
嫌ですねぇ。これでも昔はガランスベルクの守護者・デアスって言われたんですよ?
一応これでもキングクラスですし。」
なんか急に語りだしたぞこの人。
にしても、この人こんなか弱そう、と言ったらちょっと酷いけど、この見た目でそこまで強かったのか。
ところで、最強事務員ってそれ褒めてるのか…?
いや本人が誇らしげに言ってるんだから褒めてるんだろう。
「いや、あんたの事はわかった。
とりあえず状況を説明してくれ。」
彼女に説明されるのは何回目かは分からない。
いやまだ二回程度か。
「私の経歴は無視ですか…。
まぁ良いです。状況ですね。
まず、なんで私が此処に居るかです。
今回グレゴールさん達が戦った相手は亜界男爵のザルクネル・アレクサンドリアです。
所謂アレクサンダー派の一味ですね。
ご存知かとは思いますが、アレクサンダー派の亜界貴族は武闘派かつ好戦的。
他の派閥の男爵であれば別にジェネラルクラスが数人居れば倒せる範囲なんですが、アレクサンドリアの姓を持つものは特別。
キングクラスでも勝つのは容易では無いのです。」
いやそれ本当なのか?
だとしたら俺、勝てるはずもない敵に挑んだど阿呆じゃないか。
「そして、そこまで脅威となるような者であれば、探知にも力を入れているのも事実。
未だに通常戦闘程度の亜力を感知し、断定するのは難しいですが、亜力開放までされるともうすぐに分かります。
さらに今回は裏市、どんな罠があるかも分かりませんからガランスベルクの支部直属部隊を率いて来たんですが、あなた達が削った影響もあるでしょうが、アレクサンダー派とは思えない弱さでした。
部隊はもう撤退しましたし。」
そ、そうか、俺等が戦った相手ってあんまり強くなかったのか。
にしてもすごいな技術。
流石にあれは圧が凄かったけど、かなり離れたギルド支部から感知できるとは。
そして、裏市のことはギルドも認知しているそうだ。
野放しにしているのは、何か裏があるのかこれから撲滅するのか。
「まぁ、騒動の処理は終わりましたし、怪我も殆ど治りましたのでこの先の行動はご自由に。
ただ1つ言っておきます。亜界貴族が絡むような案件は必ずギルドに相談して下さい。
いいですね?」
「お、おう。」
あまりの剣幕にちょっと詰まる返事。
「では、私はこれで。
あ、そうそう、ザリニラさん達と人質はギルドに居ますから、何かあったらギルドまで。」
ザリニラ達が居ないと思えば、そういうことか。
俺が一人で納得しているうちに、いつの間にかデアスさんは居なくなっていた。
て、おい、俺どうやって帰ればいいんだよ。
金無いんだけど。
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