20 裏市
見つけてくださり有難うございます。
急いで冒険者ギルドの入り口にいくと、すでに2人は待っていた。
「おう、ザリニラ。ちょっと用事が長引いてな、遅くなった。」
ザリニラは別にこのくらい気にしないという雰囲気だが、ガルシアの方は少し苛ついているようだ。
沸点低いのかもしれない。
「あぁ、このくらいなら別にいいさ。
俺達だってさっき着いたばかりだからな。
それより…アンタ、治療院の方から来たが、大丈夫かい?」
ザリニラはここに良く来ているのか?
長く住んでる人並みの地理把握じゃないか。
ちょっと怖いぞ。
「いや、ちょっとな。」
まさに濁す言葉。
大体相手は察して引いてくれる。
「ああ、そうかい。
じゃあ合流したし行こうかね。」
そう言って踵を返すザリニラとガルシア。
ガルシアが憎らしげに呟く。
「取引場所は裏市だ。
初見には入り口は殆ど分からないと言っていいから、ついてこい。」
裏市ねぇ…。
やっぱこっちにもブラックなものはあるのか。
全員がザリニラみたくお人好しってわけじゃ無いんだな。
俺ら一行が立ち止まったのは、街の硝子工芸店。
まさかここが裏市の入り口だとでも言うのか?
「ザリニラだ。ザルクネルの呼び出しで来た。」
そうザリニラが店主に話しかけると、店主はすぐにガラス製のワイングラスを持ってきた。
「ウェルカムコードを。」
そう言った刹那、ワイングラスが禍々しい赤色に染まる。
何か圧が増えた。気圧されるような。
これくらいなら我慢できるが。
「6128972lfpxwubヴェールスフェーア」
そうザリニラが言った刹那、ワイングラスの赤色は空気中に飛び出し、やがて1つの形に纏まった。
深紅の鍵だった。
「そちらのお手洗いの奥にある、硝子保管室へ入り、右奥の扉を開けて下さい。
そうすれば闇市に入ることができます。
HL区域へはHL行きのタクシーを使うと良いでしょう。なにせあそこは迷宮ですから。」
その言葉を聞いたザリニラとガルシアはゆっくり歩き出す。
トイレを横切り、硝子保管室へ。
硝子保管室という名なのにも関わらず硝子が1つも無いのは硝子保管室という名目の入り口だからか。
右奥の扉、といっても扉は入り口とここ以外無さそうだ。
扉を引くと、暗い煉瓦製の階段。
奥が見えないほど深い。
ふと、ザリニラの顔を見る。
緊張した顔だ。
いや、それはそうだろう。なんてたって子供が誘拐されたんだからな。
正常で居られる方がおかしいというものだ。
そうだ、今のうちにリロードしておこう。
流石に音が聞こえたのか、2人にチラリと見られた が、なんだ武器かとすぐ前を向いた。
少しずつ、奥の暗がりが無くなっていく。
さらに降りていくと、暗がりは明るい光となり俺達の道を照らした。
「もうすぐで裏市だ。」
そうガルシアに言われ、少し身構えながら階段を降りていく。
しかし裏市というのは予想に反して、実に賑やかなものだった。
眩い程の光、騒々しく煩い歓声。
裏市と聞く限り、何か暗く色褪せたイメージだったのだが、全く逆だ。
「おいグレゴール。裏市も初めてなのかもしれんが、今回の目的はあくまで誘拐犯との交渉だ。」
自分では気付かないうちにキョロキョロしていたのか、ザリニラが苦言を呈してきた。
「へい、タクシー!」
ガルシアがそう叫ぶと何処からともなく湧き出てくる馬車。
「どこまでだい?あんちゃん。」
馬車の中から乗り出しながら聞くおっちゃん。
「ザルクネルのとこだ。」
とザリニラが答えると同時に銀貨を差し出すと、馬車にのり、がたがた揺られながら座ることになった。
少しすると馬車は止まり、ザルクネルの奴隷館だよとおっちゃんに言われて降りる。
やってることにそぐわない白美で遊雅な建物。
闇市の空気には合わない豪邸だ。
「行くぞ」
というザリニラの掛け声と共に俺達は扉を開けた。
読んでくださり、有難う御座います。
感想、ブックマーク頂けると有難いです。
いやはや、いつの間にか20話になり、PVも1000くらいになったようで。
10000行ったらあらすじに載せようかな。
これからもよろしく。




