19 冒険者
見つけてくださり有難うございます。
「んん…」
少し眠い目を擦りつつ、身体を起す…
って、なんで俺生きてるの?
オーケーオーケー、1回落ち着いて物事を整理しよう。
1つ、俺は生きてる
2つ、俺は斬られて死んだはず
3つ、ギルド認定試験の結果は不明
「起きましたか。グレゴールさん。」
そこまで整理したところで、あの受付嬢が俺に話し掛ける。
「あぁ、受付嬢さん、なんでここに?」
受付嬢とは、普通受付をするべきなのだ。
なのに、何故1人の相手をしているのだろう。
「話せば長くなるかもしれないので掻い摘んで説明します。
私、受付嬢として働く傍ら、ここの支部長もやっておりますデアス・ラインハルトといいます。
で、今回の認定試験につきまして副支部長…オットー・ハルブルクの協定違反が確認され、グレゴールさんが死亡しかけた為、謝罪も兼ねてガランスベルクの治療院に来ているというわけです。」
ははぁ。
流石にあの痛めつけはアウトのものだったのか。
で、そんな謝罪はもういい。もう過ぎたことだからな。
そんなことより気になるのが…
「謝罪より試験の結果の方が気になる、という顔をしておりますね。
では、そちらを先に説明致します。」
なぬ…こいつ、俺の考えてることを読んだだと。
いやまて冷静に考えるんだ、ここ異世界。
別に心が読める人だって居てもおかしくない。
…怖い世界だな。ここ。
「まず結果から申し上げますと、認定試験は合格です。詳しいとこまで言うとするならば…5点中3点でギリギリというラインです。
やはり、武器とグレゴールさんが見合っていないという印象がありましたので。
とはいえ、合格されたのは事実です。ここからは、書類も交えつつ説明していきたいと思います。」
やはり痛いところをズバズバ言ってくる。
事実だから仕方ないんだがな。
さて、説明だな。耳かっぽじって聞こうじゃないか。
「まずは、冒険者の基本的なことについてです。
殆どの方はすでにご存知ですが、時偶知らないと言う方もいらっしゃるので。」
はい、その知らないという方が俺です。
丁寧な説明に感謝。
「冒険者というのは、言わば何でも屋です。
魔物討伐、ペットの捜索、傭兵家業、素材採取など、様々なことができます。
ちなみにその仲介をしているのが私達冒険者総合統括協会です。」
ふむ。つまり何で稼ぐかは自由だと。
「ただ、冒険者にもランクがありまして、冒険者の安全の為にも1つ上以上のランクの依頼には原則参加出来ないことになっています。
原則と申しましたのは、スタンピード…魔物の大量発生が起きて、街に侵入してきた場合にはその街の冒険者は全員駆り出されることなどがあるからです。」
ふむ。自由だが、ピンチの時は助けろよ、という感じか。
「そしてそのランクというのが、6に別れています。
1番下がインファントリーランク、そこからどんどんコーポラル、キャプテン、ジェネラル、キング、ゴッドとなります。」
英語か?これ。
歩兵、下士官、隊長、将軍、王、帝王、神。
なんかそれっぽいな。
「次、ランク昇進についてです。
ランク昇進はいつでも申し込むことができますが、それなりの実績が無いと弾かれます。
なので、しっかり実力、名声ともに上げることをお勧めします。」
だよなぁ。
誰でもすぐ昇進できたらランク制度には困らない。
「で、次が冒険者の詳しい用語で…」
長い。普通に長い。飽きてきたぞ。
と、その刹那受付嬢が立ち上がる。
「申し訳ありません、説明の途中ですが急用が入りましたので私はこれで失礼します。
冒険者カードは書類に挟まれてますからね!
説明できていない部分もその書類に記載されているので、そちらをご参照ください。
あ、あともう完全に治癒しているので帰ってもらって結構ですよ!」
と言いながら駆け出していった。
全く、この世界は面白い人ばかりだな。
治療院を後にし、向かうのはまたもや冒険者ギルド。
もう日が沈みかけているからな。
ザリニラを待たせないよう、急がないとな。
読んでくださり、有難う御座います。
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