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亡国兵士は永遠に  作者: 窓際の箪笥
2章 アール世界
18/34

18 認定試験

見つけてくださり有難うございます。

「ようこそ。グレゴール君。」


少し高い声で一歩踏み出して、半身を部屋に入れないうちに話し掛けられる。


部屋に入り、その声を主を見つめる。


綺麗な白髪…いや、あれは銀髪と言っても過言で無いだろう。


そんな髪を持った彼はまさに美男子というやつだった。


色鮮やかなガラスに溶け込まない、違和感を生まないどころか逆に良い意味で存在感を醸し出していて、ガラスの色や照明を生かして髪に美しい光沢さえも生んでいた。


「さっき書類を書いたのに、もうそっちに届いてるのか?」


そう、それは普通に疑問だ。


この僅かな間に書類の情報がそちらに行くのは、それこそ無線でも無いと不可能だと思うんだが。


「あぁ、そのことかい。君は見てなかったんだね。

あの受付のデア…じゃなかった、副支部長は世界でも有数の往復デルプライター使いの資格を持ってるからね、すぐに書類のコピーがこっちにくるんだよ。」


往復デルプライター…か。


もしかしたら、こういう機械技術はこっちにもあるのかもしれないな。


「さて、そんなことはさておいてグレゴール君、認定試験の条件を説明していいかね?」


断る理由なんてない。


「そりゃ勿論さ。」


「じゃあ、遠慮なく。

まず、この認定試験は、冒険者になるための試験として冒険者と戦い、実力が規定を満たしていたら認定となる。

ちなみに、今回グレゴール君に戦ってもらうのは私だ。

勿論、武器の使用は可能だ。

こんな条件だが、いいな?」


俺からすると、中々に良い条件だ。


まぁ、断るという選択肢は無いわけだが。


「勿論構わんさ。

逆にそれ以外の選択肢なんて無いだろ?」


さて、相手はどう答えてくる?


この返答で相手の性格が軽く分かる訳だが。


「ハハハ。良くわかってらっしゃるねぇ。」


確定。こいつかなり裏の方が強いタイプのやつだ。

これはできるだけ敵に回さないようにしないといけないな。


「ということで戦闘開始、だね。」


そう言って、何処からか剣を取り出し、真っ向切りを仕掛けてくる。


ギリギリ目で追えるものの、かなりのスピードだ。


こいつは常人じゃないだろう。


いや、異世界だから同種族じゃないのか。


全力で後ろに下り、なんとか回避する…つもりだったんだが、避けきれて無かったようで少し服が破れた。


この服、変え持ってないんだけどな…。


いやいや、そうじゃなくて、今殺され掛けてるんだから、反撃しないと。


急いで銃を取り出し、まともに狙いも付けずに乱れ撃ちしてみる。


俺は乱れ撃ちだとやはり弾が拡散して火力が出ないから使いたくないのだが、こうするしか無いのだから仕方ない。


2発ほど相手に当たった。


やっこさん、急にやられたかつ普通に血出してびっくりしてるな。


そりゃそうなんだけどな。ザリニラとかの態度を見るにこの世界に銃何てものは無さそうだし。


「良い武器持ってるねぇ。

なんて名前なんだい?それ?」


そう問い掛けつつも、答える隙を与えないよう斬り掛かってくる彼奴。


一応これでも頑張って避けているんだが、毎回ちょっと被害を受けている。


腹部はもう痛い。血もどんどん出てるしな。

待てよ?

今やつは俺に向かって斬り掛かってきている。


では、しゃがみがら撃てば案外なんとかなるのでは?


そう思い、ちょうど彼奴が剣で薙ぎ払おうとした時に避けるふりをしてしゃがんでみる。


少し目を見開いたが、顔などに変化は無い。


ここ、ここだ。また斬り掛かってくる前にやつの顔を確実に…撃った。


鼓膜を破りそうな響。


俺に降り掛かってくる、血。


これは殺ったな。この試験、勝ちだ。


「なぁあんた、名前おしえてく…」


俺がそう聞いている瞬間、足に激痛が走る。


「中々の実力だが、その実力の殆どはその武器だ。

恐らくお前の実力はあの武器無いと、かなり減るだろうな。

このままなら、所詮D程度で止まるだろうよ。」


Dの意味はわからんが、発言はかなり痛いところを突きに来ている。


かなりの実力者なんだろうな、こいつ。


だが、まだ勝ち目が無いわけでは…


そう考えた刹那、身体中に激痛が走る。


何だこの痛みは。


どんどん色んなところに広がって、前からある所の痛みもどんどん強くなってくる。


「ぃ…いた…」


声にならない声をなんとか上げる俺。


痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛イ痛イ痛イ痛イ痛イ痛イ痛イイたイイたイイたイイたイイたイイたイイイたイイたたイイイたイイイイたイたイイイたイたイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタ…


視界もどんどん無くなってくる。


痛みもどんどん消えていく。


俺を刺す音も、どんどん遠ざかっていく。


ただ最後、耳に入った声は1つ。


「何をしているんですかザグレス!」


あの受付嬢の怒鳴り声だった。

読んでくださり、有難う御座います。

感想、ブックマーク頂けると有難いです。

書き忘れておりましたので追記。

悲しい商人の話ですが、自分でも何か納得できないので近いうちに書き直しますが、ストーリーの主軸は変えないつもりですのでどうぞよしなに。(2023/8/13に一部改訂したものを投稿済み。)

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