16 ガランスベルク
見つけてくださり有難うございます。
そろそろちゃんとしたあらすじへの変更や、ここまでの話の校正、毎度適当な前・後書きを丁寧になどなど行っていきますので、どうぞこれからもよしなに。
「んで…お前、じゃなかったグレゴール、なんでお前はついてきた」
あの言いがかり野郎、もとい長い赤髪の女性と豊胸を持ったガリシアが、訝しげに俺に問いかける。
そう。俺はあのあと呆れられながらザリニラの馬車に乗らせてもらったのだ。
幸い、この馬車には少しスペースがあり、俺も乗ることができた。
少し狭いが。
「勿論、理由がある。」
それを説明するためにもここに乗っているんだしな。
「…聞かせてもらおうか。」
ザリニラさんから少し暗めの催促が飛んでくる。
「単刀直入に言おうか。
恐らく、あんたらが身代金を払っても、子供は帰ってこないだろう。」
目に見えて眉を顰める2人。
これは顰蹙を買ったか?
「グレゴール、お前は何を言っているんだ?
普通、その対価を払っているんだから返してくるだろ。」
こいつ、アホなんだろうか。
いや、この世界の常識がこういうものなのかもしれない。
ここまでお人好しな世界なら騙さる心配はあんまりなさそうだが。
「そうですか。あなたはそう考えるかもしれん。
でも、よく考えてみてくれ。
奴らは人を誘拐するような卑怯な手を使ったんだ、それくらいすると思わないか?」
実際そうだ。
普通、誘拐するようなやつなら身代金だけ貰って人質も殺すだろう。
「た、確かに言われてみるとそうだが…。」
俺の指摘がうまい具合に刺さったのか、口籠るザリニラ。
「だから、身代金を払うふりをして、誘拐犯ごと殺るかとっ捕まえるんだ。」
前世だと流石に力不足過ぎてできなかった選択肢だったが、今は銃という圧倒的なアドバンテージを持っている。
その証拠に、あの盗賊を簡単に撃破することができたんだしな。
「だがお前…グレゴールだったか、さっき盗賊を殺ってたから多少は強いんだろうが、流石に戦力が足りなくないか?」
あのガルシアが馬車の揺れと共に胸当てを揺らして問いかけてきた。
いかんいかん。
「いや、大丈夫だ。」
勿論、先程のこと以外にも根拠がある。
それは、銃だからずっと外から攻撃し続けて疲労を狙う事ができる点だ。
なんなら身代金の受け渡しの時に後ろから撃つことも可能だしな。
「実はこれ…mp40という武器なんだが、これはかなり速く撃ててな。
速く撃てて威力が強い弓みたいなもんなんだ。
だから、遠くからいくらでも調理できるわけだ。」
未だ少し疑うような目を向けつつ、なら…と2人は顔を見合わせた。
少ししてから、ザリニラさんの方が言ってくる。
「わかった、グレゴールの手に乗ろうじゃないか。
さて、じゃあこれからの話をしよう。」
案外切り替えが早い。
普通もっと悩むと思うんだが…。
「これから、といいますと?」
普通に気になる。
そりゃ、予定は知っておくべきだろう?
「もう殆ど日が沈みかけているが、今晩寝て朝になれば目的地のガランスベルクに着く。
そこで普通に商品を売ったら、身代金と人質の交換、といったところだ。」
ふむ。中々のスケジュール。
やはり商売人なんだなぁ、と思う。
1つ、疑問が湧いた。
「1つ、聞きたいことがある。」
素直に聞いたからか、ザリニラさんは素直に聞き返してくる。
「なんだ?」
それは…
「夜でもこの馬、歩くのか?」
そう聞くとザリニラさんは、は?と言わんばかりの表情をしつつ、
「そりゃそうだろ。
ザーゼルイのやつらは睡眠が必要無いじゃないか。
だから普通の馬より高いんだろうが。」
まるで当たり前のことのように言われたが、俺はこの世界の人でも無いから知らないのだ。
許してくれ、ザリニラ。
それからは殆ど会話もせず、俺は眠りについた。
翌朝。まだ目が重い時に、ザリニラに起こされた。
正直眠い。
「ほら見ろ、これがガラスの街と言われる、ガランスベルクだ。」
何気に初耳のことを聞きつつ、重い瞼と顔を上げた。
刹那、爽やかな朝日を目一杯吸い込んだ美しいステンドグラスで作られた大きな壁が目に入る。
そのあまりにも美しい、もはや芸術品と言って差し支えない程の城壁に俺は眠気も忘れて魅入ってしまうのだった。
読んでくださり、有難う御座います。
感想、ブックマーク頂けると有難いです。
さて、関係ない話ですが、本日、8月6日は広島市に原爆が投下された日でした。
読んでくださっている方の中には知らない方もいらっしゃると思います。
そもそも読んでくださっている方が殆ど居ませんけどね。
この今日という日、この後書きを見て原爆についての知識を深め、1度平和について考えてくださってもらえれば幸いです。
あれ…あとがきの方が内容の一部より長くない…?
流石にここまで来ると1話が短すぎるので、少しずつでも長くしていきたいかなぁと思っております。
やるとは言ってません。
さて、どこかの校長並みにクソ長い文もここまでです。
ではまた。