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亡国兵士は永遠に  作者: 窓際の箪笥
2章 アール世界
15/34

15 悲しい商人

見つけてくださり有難うございます。

8/2は100近くPV頂いたので、本日も書きました。

予約投稿になっていますが、何分慣れておりませんのでミス等ありましたら私にメッセージを送るか、誤字報告お願い致します。

「誰が盗賊だって?」


半分茶化したような口調で軽く問うたつもりだったが、それが相手を逆撫でしたらしく、先程よりもっと厳しい口調で言い換えしてきた。


「だまれ盗賊風情が!

お前も、盗賊から助けたふりをしてこの後私達の貨物を取るつもりなんだろう!」


どう考えても言い掛かりだろう。そのまま言い返してやろうじゃないか。


「どう考えても言いがかりだろ。それ。

それに、俺が盗賊だっていう証拠はあるのか?

いかにも犯人だとかが言いそうなセリフを吐くと、奴は露骨にほぞを噛むような表情を見せてきた。


「し、しかし、お前が盗賊でないという証拠も!」


「やめろ、ガリシア。

そのままでは埒が開かん。俺が話す。」


ガリシアと言われた奴は不満を顔に現しつつ、大人しく黙る。


しっかし、新しく出てきた奴は話が分かりそうだな。


「まずは礼を言う。…名は何だ?」


どうも相手の考えている事が読めないが、名前位は教えてもいいだろう。


「グレゴール・オーレンドルフだ。

グレゴールと呼んでくれ。」


「そうか、グレゴールか…」


と言いつつ、ゴツゴツの手で目頭を抑えている彼。


流石にそんなことをされては気になるな…


「何かあったのか?」



間が開く。


かなり気まずい。


「つ、つらいことなら言わなくたっていいんだぞ」


流石にそう言わなくてはいけない雰囲気なので言う。


「…いや、いいさ。

どうせ受け入れなきゃ行けない事だ。」


そう前置きを置いて、彼は語り始めた。


ちなみにここまで、あの言いがかり野郎は全く口出ししていない。


節度は弁えているようだ。


「さて、これはほんの4日前のことだ。」


早速語りが始まった。是非とも聞くのに集中させてもらおう。


「俺の住んでいた都市…ラルグブルグというんだが、そこで連続誘拐事件が起きてな。

それで、情けない事に丁度ガルシアと俺が商業ギルドに用があって行ってた時に俺の娘と、そこのガルシアの息子…お前と同じグレゴールという名前の11のガキが攫われちまったんだ。

これでも俺等は商人でな、そこそこ金はあるんだ。

それを狙ったのか、誘拐犯は身代金を要求しやがった。

いくらだと思う?

1人200万ルベアだぜ?お前も知ってると思うが、そんなにあれば半年は暮らせる額だ。」


知らねぇよ。俺。


しかし、かなりの身代金を要求されたのは分かった。


「俺達なら払えなくは無いんだ。それくらいなら。

だが、生活が中々に苦しくなるもんでな…

だから、その身代金の為にも毎日商売の毎日さ。」


そこまで言うと、首を項垂れるこの男。


「えっと…名前は?」


名前が分からなければ話しにくいからな。


「ザリニラだ。ザリニラ・セールティ。」


セールティ…珍しい名前だな。


いや、異世界だから当たり前か。


「なぁザリニラ…」


その言葉を紡ぐ事無く、ザリニラは太陽を見上げて慌てたように言う。


「おっと、もう日が暮れ始めてやがる…

すまんが、この荷物、明日の昼には届けなくてはならなくてな。

そろそろいかせてもらう。

おいガルシア、突っ立ってないで行くぞ〜。」


二方は暗い顔をしてまた馬車を走らせ始めた。


少しモヤモヤする。


この世界の事はわからないが、恐らく彼らが身代金を払ったとして子供は帰ってこないだろう。


そんな、騙されかけている人達を誰が放って置けるだろうか。


「おいザリニラ!」


ザリニラは振り向かない。


「俺も、ついていかせてくれないか?」


ザリニラは、驚愕の表情と共にこちらに振り向いた。

読んでくださり、有難う御座います。

感想、ブックマーク頂けると有難いです。

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