12 特殊聖地②
見つけてくださり有難うございます。
バババババ、という空気を破る音と共に飛び出した無数の弾丸は、まっすぐフランメの紅い眼球目指して飛んでいく。
そしてその弾丸は勢いそのままに、フランメの眼球を通り抜けた。
刹那、間欠泉のように吹き出す鈍い血と共に。
勝った。
俺は、生存のための賭けに勝ったのだ。
賭けには勝ったとはいえ、決してフランメが死んだわけでは無い。
しかし、眼がかなり弱点であることが分かった以上、流石に攻略難易度は一気に下がったと言えるのでは無いだろうか。
そしてこのまま眼を撃ち続ければ、フランメを撃破することも夢ではないだろう。
なんなら、それをもう3回繰り返せば、特殊聖地は突破、ということになる。
と、そんな事を思っていると、忘れて無いだろうなと問いかけるようにあの4匹はまたもや眼の煌めきと共に攻撃を放つ。
なんだろう、気持ち、前回より火力、速度共に強力になっている気がする。
ただの気の所為だと良いのだが。
氷の礫と土塊はなんとかグリップで作った山で防げるものの、炎弾と水球はもうグリップと弾丸では防ぎようが無い。
つまり…走って走ってとにかく避ける。
全力疾走、とはいかないが肩で息をする位には走り、炎は至近弾、水球は端のほうが少し肩に当たって濡れた程度の被害で敵はリロードに入った。
そのタイミングで立ち止まり、またグリップの山を創り上げる。
そして、再度フランメの眼めがけて銃を乱射する。
そんな事を4回ほど繰り返していると、遂に変化が現れた。
フランメの動きが目に見えて遅くなったのだ。
勿論、ここまでに幾つか被弾したし、かなり走り疲れて足が棒になりそうだ。
あと、足元に少しばかり生えていた雑草に火がついたときはかなり焦った。なけなしの酒瓶の水を使って消したが。
まぁ、この勢いでやっていこうじゃないか。
…ん?
フランメの体から、何か赤い湯気のような気体が湧き出てきている。
とてつもなく嫌な予感と共に悪寒が押し寄せる。
と、また眼が光り始めたのでできるだけ落ち着いて身を屈め、少しだけでも被弾面積を小さくする。
もはや慣れた。うん。
しかし、グリップの山は軽々と吹き飛ばされた。
「は?」
バッと顔を上げると、今迄とは遥かに大きい火球が数え切れないほど大量に飛翔してきていた。
「おいおいおいおい…嘘だろ…聞いてないぞ…」
グリップの壁を軽く蹴散らした炎弾が次に向かうのは何処か。
そう俺だ。
激しい熱と共に、俺の意識及び視界は黒い世界に包まれていった。
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