11 特殊聖地①
見つけてくださり有難うございます。
しかし。
残念ながら、撃たれて気付かない生物なんてこの世には存在しない…はず。
暗視だからこそくっきりと分かる。
今、撃ったあいつとその仲間はブチギレて、キョロキョロと周りを見回している。
と思えば、俺を見つけたのかジロッと睨んできた。
「マジかよ…見えるのか…」
つまりこの視覚では互角、もしくは劣勢。
その他は知らないが、まずはリロード。
千発の発射もリロードから、だ。
いやなんだそれ。自分で言っといてなんだけど。
そしてもう一度。さっきから睨んで来ているやつを撃つ。
効果音が聞こえてきそうな位、意味がなかった。
そのお返しとばかりに、あいつは目の煌めきと共に炎弾を飛ばしてくる。
よし決めた。今からあいつはフランメと呼ぶことにしよう。
避け方なんぞ俺は知らないので、とにかく横に走る。
周りに遮蔽物が無いのが悔やまれるが、走る。
1分ほど走り、息が切れてきたころ、炎弾も消えた。
ずっと撃ち続けることはできないのだろうか。
今のうちに、状況を整理しよう。
まず、敵は4匹。その内1人が炎弾を扱う。
次に、敵に銃は効かない。つまり、接近戦に持ち込まないといけない。
最後に、炎弾は追尾してこないが、1分間は連射できる。
要するに、まずは炎弾を防げる遮蔽物が必要ということだ。
否。周りには何も無いから作らなければならない。
そこで俺は、この間に創り上げた。
そう、グリップや銃弾でできた壁を。
決して、バランスが良いわけではないし、強度も弱い。
だが、最低限1回は防ぐ簡易の壁となるだろう。
そして次、攻撃策だ。
これに関しては、一つ試したいことがある。
空のグリップを一つ生成し、フランメに投げつける。
予想通り、少し痛そうにしていた。
そう。投擲なら通じるのだ。
であれば、とにかくグリップを投げて、少しずつでもダメージを与えるのみ。
20個ほど一気に出し、次々と投げつける。
勿論雑に投げたから当たっていないものも普通にあるが。
そろそろ装填も終ったのだろうか。また目を光らせるという攻撃の姿勢になっている。
ここで、予想外の出来事が起きた。
他の3体もこちらを睨んでいるのだ。
その刹那、4体同時に攻撃してきた。
水球、炎弾、土塊、そして氷の礫。
この猛攻に脆い壁が耐えられるはずが無く、呆気なく崩壊してしまった。
こうなるとさらに戦況は厳しいものとなる。
まさに、末期ドイツのように。
取り敢えず、グリップを大量に出し、山を作る。
この山もかなり脆弱とはいえ、1秒程度は耐えてくれるだろう。
考えてみると、敵が攻撃する時は、必ず眼が光っている。
つまり、眼が攻撃を出しているのかもしれない。
では、1つ賭けをしよう。
今から俺は、フランメの眼を狙って撃つ。
それで効果があれば戦況派打開でき、効果が無ければそれこそ本当に諦めなければならない。
もっとも、死んだ時どうなるかもわからないが。
「最後のカード、食らってみろや!」
そう叫び、俺は山に隠れていた顔を出して銃を構えた。
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