第二十八話 可能性
数時間後
「うぅ。う~ん」
私はゆっくりと目を覚ます。
「あれ?ここは?」
私は辺りを見渡すと少し思い出した。ここは休憩所の病室みたいなものだ。
「あ、起きた。はるか大丈夫?」
マナちゃんが声をかける。
「マナちゃん。マナちゃんが言ってた部下、その中に知ってる人が居た。
「そう、誰?」
マナちゃんが聞いた。
「私のお姉ちゃん」
私はそう答える。
「・・・、ほんと?」
マナちゃんが聞いた。
「うん。お姉ちゃんは亡くなったってみんな言ってたのに。
みんなは嘘をついていたの?」
私がマナちゃんの方を見る。
「嘘じゃないよ。葵さんも、冬也さんも遥人さん、お兄ちゃんだって見ていたんだよ。
どうやら、あの厄野雅功には何かとんでもない技術か、それかはたまた何かやばいものでもあるような気がするの」
マナちゃんはそう答えた。
「でも、私見たんだよ。お姉ちゃんをあの、生きている頃のお姉ちゃんを」
私は涙目になる。
「知ってる。もしかしたら、クローンって可能性もあるよ」
マナちゃんはそう答える。
「クローン?」
私は知らない言葉にうん?となる。
「クローンっていうのは、自分をもう一人作って、そいつらをクローンっていうの。
まぁ、自分が二人いるってこと」
マナちゃんはそう答える。
「じゃあ、あのお姉ちゃんはクローンってこと?
え?じゃあ!マナはクローンってこと?」
私はそう答える。
「分からない、けどその線が一番可能性があると思う。
私は、クローンだとしてもお兄ちゃんの妹だから。
私は、またお兄ちゃんに会えて良かったと思ってるよ」
マナちゃんはそう言った。
「お姉ちゃんはそんな感じじゃなかった。あの目、怖かった。
あれは本当にお姉ちゃんなのかな?もし、また来たらどうしよう。
撃てる?殺れる?怖い・こわ・!」
マナちゃんが私を抱きしめた。
「怖いのは当たり前。私もお兄ちゃんと戦ったときは、怖かったよ。
お兄ちゃんを殺るの?倒せるの?って。
でもね、お兄ちゃんは私に本気を出さなかった。私を助けるために、大切な石も相手に渡すなんてね。
私の事をここまで思ってくれる人がいるんだなって。
私は、これからはお兄ちゃんと共にだから」
マナちゃんはそう答える。
戦いの中で考えが変わると良いけど。
「少し落ち着いたよ。ありがとマナちゃん」
私は笑顔で言った。
「一緒に寝ていい?」
マナちゃんが聞いてくる。
「いいよ。一緒に寝よう」
私はマナちゃんを布団の中に誘い、一緒に眠った。
マナちゃんの温かい肌とぬくもり。私もお姉ちゃんと寝たときはこんな感じだった。
あれがお姉ちゃんなら私は、お姉ちゃんを・・・。
数時間後
「あれ、二人共寝てる」
様子を見に来た遥人さんが言う。
「あれれ、二人共すやすや寝てる。
かわいい」
葵さんはニッコリと微笑む。
「それで、はるかは何に襲われたんだ?」
冬也さんが聞く。
「それは本人から聞いたら?私もこっそり聞いていたけど、あまり聞こえなかったわ。
本人から聞いたほうがもっと分かりやすいしね」
葵さんはそう答える。
「夜明けまで少しありますね。どうします?寝ますか?」
若い男の人が聞いた。
「正吾の様に寝てもいいが、いつ侵略ロボが来るか分からんから、わしは起きておく。お前も起きとくんだな」
冬也さんは若い男にいい部屋を出た。
「ちょっと、僕も少し眠たいのに」
若い男はそう答え冬也さんの後を追いかけた。
「私も起きておこうかな。朝ごはんを作らないといけないし」
葵さんはそう答えた。
「僕も、ハルカロボの修理があるから寝れないよ」
遥人さんはそう答え、部屋を出た。
「ゆっくり休んでね」
葵さんはそう言い、部屋の電気を消し、扉を閉めた。
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