表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ようこそ!MOBA部へ  作者: アメノコダチ
2/8

2.入学式

私立ネクシス学園


ここは県内でも有数の敷地面積と生徒数を誇る学校だ。


ゆえにいろいろな属性の人が集まりやすい場所でもあった。


ようするに頭脳が非情に優れているものやまったくそうでないもの、社交性のあるもの、内気すぎているもの。


高校というものはある程度自身の能力と似通った人が集まりやすいと聞いたことがあるがここは例外だろう。


もうすでに同じ道を歩く新入生らしき人々から似通ったものを感じることすらできない。


それだけでこの学校の雄大さが伝わってくるようであった。


生徒数にして約10000人。敷地面積約40万㎡

と、ほぼ大学並の広さだ。

ここで様々な活動や研究、授業や取り組みが行われる。


その中でもひときわ大きい建物の中へと僕たち新入生は案内される。


おそらくここが講堂だろう。

今からここで入学式が執り行われる。


「知ってはいたけど人たくさんだね・・・」


人の多さにおびえるように彼女はつぶやいた。


「そうだね。迷子にならないか不安だ。」


「怖いこと言わないでよー!ルー君私が迷子になったら探してくれる?」


「探しに行ったら僕まで遭難するって。その時は先生に頼るなり上級生に頼るなりしな。」


「うぅ・・・でも・・・」


彼女は昔からこうだ。僕の後ろをひっついて歩いて何かあるとすぐ僕に頼ってくる。頼られるのは悪い気はしないんだが、彼女ももう少し大人になる時期だろう。これからは僕もやりたいことがあるしあまり構ってはいられないのだが。


アリナが上目づかいでこちらを見てくる。その瞳の端には少し涙がたまっているだろうか。


「あーもう!わかったわかった。もしどうしようもなくなったら連絡して。頑張って迎えにいくようにするから」


そういうと彼女の顔はパァーっと明るくなった。


「ほんと?約束だからね!」


「あんまり期待するなよ。僕だって同じ新入生なんだから。」


「うん!わかった!」


あまりわかってなさそうである。

僕も昔からこうだった。困った子犬のような顔の彼女を見るとどうしても放っておけない。


どうしてものかと悩んでいるとあたりが静かになった。

どうやら式が始まるらしい。


偉そうな教員、おそらく教頭らしき人が開会の辞を述べ国歌斉唱をする。


これだけ大層な敷地と人口でもやることはそこらの高校と同じ入学式であった。

校長先生の式辞、新入生代表挨拶、在校生代表挨拶、来賓の祝辞等々


特に何事もなく入学式は終了となった。


「ふ~座りっぱなしで話を聞き続けるのも疲れるね。」


「そうだね。ルー君途中ウトウトしてたでしょ。」


「うっさい。」


そんな他愛ない会話をしつつ僕たちは各々の教室へと向かった。


「そういえばアリナって何組なんだ?」


ふと隣を歩く彼女が何組になったのか尋ねてみた。


「え・・・ルー君本気で言ってる?」


「え、ごめんわからない。」


「もう!同じクラスだよ!!普通クラスメイトに知ってる名前あれば気づくと思うけどなーー!!」


そうだったのか。全然気づかなかった。


「ごめん。あんまりクラスには興味ないんだ。」


「クラスに興味ないって・・・これから一緒に過ごす人たちなのに?」


「あぁ。第一名前だけみてもどんな人かなんてわからないだろう?」


「それもそうだけど・・・ってあそこじゃないかな」


「そうだね。なんとか迷子にならずに来られたな。」


「まぁ、人の流れに沿って歩いていただけだしね。」


そんなこんなで僕たちは自分の教室へとたどり着いたのであった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ