080 決着の時です!
フルーグは左手でゴーレムの右肩を掴むと、関節部を握りつぶして引きちぎった。
ペリアはすぐさまファクトリーから新たな腕を呼び出し、装着――そのままパンチを放つ。
すると彼のもう一方の腕が覆いかぶさるように絡みつき、ホールドされる。
そのまま投げられるか――と思いきや、ガコンッ、と音が鳴り、ゴーレムは自ら腕をパージした。
そして崩されかけた体勢を逆に利用し、回し蹴りを放つ。
フルーグは顔面でそれを受け止め、ニィッと笑いながら口を大きく開き、その足を噛み砕く。
とはいえ衝撃は完全に殺せず、わずかに彼はよろめくと、ペリアは即座に破壊された脚部を換装。
足が地面に付くと同時に構えを取り、フルーグに対し反撃の隙を見せない。
「俺は幸せ者だな」
彼はしみじみつぶやくと、すぐには攻め込まずに間を置いた。
「他人から幸せを吸い上げておいて!」
ペリアはそれを嫌い、自ら踏み込む。
ゴーレムは至近距離から連続して放つ拳は、ことごとくはたき落とされる。
それだけならまだしも、ついでと言わんばかりに拳を潰され、装甲も破壊され、その度にペリアは腕部の換装を余儀なくされた。
とはいえ交換可能なパーツも無限ではない。
なのでペリアは戦闘中に破損したパーツを回収し、再加工し、それをストックに加える作業も並行して行っていた。
「そういう考え方もあるか。確かに、俺も帝国のやり方が善だとは思わねえ」
それどころか、悪そのものだ。
戦争において善悪は存在しない。
しかし、時代を超え、過去の世界を徹底的に踏み潰したハイメン帝国は限りなく黒である。
「しかし――仄暗い感情を、常に燃え上がる喜びが吹き飛ばす。ペリア・アレークト、お前との戦いは俺にとってそういうものだ!」
「気持ち悪いことを言うなああぁッ!」
互いに繰り出した拳と拳がぶつかり合う。
力負けするのは、当たり前のようにゴーレムの方だ。
ぐしゃりとひしゃげた拳だったが、内部に仕込まれた魔石が炸裂し、光を放つ。
「同じ目潰しが二度も通じるわけねえだろ!」
フルーグは目を閉じても、正確にゴーレムの位置を捉えていた。
光に紛れて迫る拳も、視界があろうがなかろうが関係なく、掴み、握りつぶす。
そして本体に手をのばすが――ゴーレムは後退し、その指先は空を切る。
間合いを取り、両者共に息を吐き出す。
「ふうぅ……」
「仕切り直し、か」
突如として現れた光の柱がオルクスを貫いたのは、ちょうどそのときだった。
少し前から空が騒がしくなっていた。
大地が破壊される揺れも認識していたが、さほど興味はなかった。
しかしフルーグは頭のどこかで、オルクスの勝利を確信していたのだが――逆に墜とされる巨鳥の姿を見て、顎に手を当て「ほう」と感嘆する。
「勝ち目のない戦いを挑む者たちではないと思っていたが、想像以上だな」
「ラティナ様とペルレス様がオルクスを倒した。フィーネちゃんとエリスちゃんだって、すぐにスリーヴァを倒すよ!」
ペリアの言葉から少し間を空けて、フルーグは「ふっ」と微笑む。
どうやらスリーヴァの死を感じ取ったらしい。
「あの女は帝国に巣食う病原体のようなものだ、寿命以外で死なないものだと思っていたんだがな」
「あとは、みんなで協力してお前を倒せば、この戦いは終わる!」
「最初から合流前提か。時間稼ぎのためのその手足というわけだな」
彼は少し寂しそうな表情で、右脚を下げ、左手を前にして、構えを取る。
「三対一の戦いもそそるが――俺はまだ機王の限界を見ちゃいねえ。合流前に殺してでも、それを見せてもらう。あんたが傷つけば、一緒に剣王と聖王も全力で俺を殺しにくるだろうからな」
「三人で生きるって決めたの。何があっても私は死んだりしない!」
「なら逃げるか? 避けるか? それとも防ぐか? それが無理だってことぐらい、ここまでの戦いでわかってるはずだがな。俺は次の攻撃で、確実に操縦席を潰す。お前にできることは、己の限界を越える力を引き出し、迎え撃つことだけだ」
確かに――これまでフルーグは、あまりに不自然なほどにゴーレムの操縦席を狙ってこなかった。
それは彼が戦いを楽しんでいるという何よりの証拠である。
できることなら、永遠に英雄との戦いに浸っていたい。
しかし現実は非情である、必ず終わりがやってくる。
ならばその結末は、華々しくあってほしい――そんな、あまりに純粋で、それゆえに忌避されるべきその願望。
当然、ペリアは真正面から受けてやるつもりなどなかった。
フルーグの撃破は、フィーネやエリスと合流してから考えればよい。
ならばそのために必要なのは何か。
「がははは! 退かねえか、さすが機王。わかってるねェ、ロマンってやつを」
両手を握り、構えを取る。
迎え撃つのだ。
ただし、決してそれは正面からの真っ向勝負などではない。
「行くぜ――傀神掌!」
フルーグの姿が消える。
ペリアが反応できないほどの神速。
その速さを乗せた掌底を操縦席にぶつければ、ゴーレムは成すすべもなくひしゃげ、潰れ、中にいるペリアも無惨な姿で命を落とすだろう。
だが考えてみてほしい。
今のゴーレムは、手足や頭を潰してもファクトリーによってすぐに再生される状態だ。
そんな相手の弱点は、操縦席の中にいる操縦者しかいない。
つまり、誰もがそこを狙おうとするはずなのだ。
(あの構えからガードは間に合わねえ。いいのかよ機王、その生命を貰っちまっても!)
だが――ペリアがそんなことを考えないはずもない。
だからゴーレムの胸部には、結界用のチャージストーンのさらに奥――表面からは見えない位置に、小型コアが埋め込まれていた。
フルーグの手が、そのコアにまで到達する。
ペリアが反応できるかどうかは関係ない。
その瞬間、コアの暴走は自動的に始まるのだから。
(これは――まさか人形の中に、地雷を埋め込んでいたのか!?)
あふれる光に、フルーグの表情が驚愕に歪んだ。
「吹き飛んじゃえぇええええッ!」
待ってましたと言わんばかりにペリアが叫ぶ。
暴走コアから発せられた魔力に与えられたのは、“向き”だけだ。
それがカレトヴルフの放った光の柱のように、フルーグを貫く。
「ぬ……ぐ……おぉぉおおおおおおッ!」
彼はとっさに両腕でガードしたが、強固な皮膚、肉、骨を焼き尽くし、その体に大きな穴を空ける。
衝撃で後ろに何十メートルも吹き飛ばされた彼は、地面に叩きつけられた。
ごっそりとえぐられた青い体は、横たわったまま痙攣を繰り返す。
「はぁ……はぁ……はぁ……」
ペリアの額を冷や汗が伝い落ちた。
いくら狙い通りとはいえ、自分を確実に殺す攻撃が目の前にまで迫ったのだ。
“死”という単語が脳裏を横切る程度の恐怖は感じる。
そのまま呼吸を整えていると、がこんっ、がこんっ、と金属がぶつかるような音が近づいてくる。
紅と白の人形――フィーネとエリスだ。
「ペリア、無事?」
「大丈夫か!? こっちは片付いたぞ!」
距離が近づき、通信が届くようになる。
二人の声を聞いて、ペリアはようやく心に余裕ができ、笑みを浮かべた。
「フィーネちゃん、エリスちゃん……なんとか、暴走した小型コアは使えたよ」
「オルクスは落ちて、スリーヴァは一撃だったんだ。さすがに死んだと思いたいがな」
「……でも、レーダーの反応はまだ残ってる」
スリーヴァのときは、反応は完全に消えた。
しかしフルーグの生存を示す光はまだそこで存在を誇示している。
「とどめ、刺しに行くか?」
死んでいないのなら、速やかに殺せばいい。
だが――もし相手に、余力が残っていたとしたら?
うかつに近づいて、反撃を受ければ、下手をすれば一撃で操縦席を潰されるかもしれない。
だからこそ迷いのない速さが必要――普段のフィーネだったらそう考えるだろう。
そんな彼女がわざわざ確認して、自ら前に踏み出さないのは、薄々気配で感づいているからだ。
「フィーネちゃんはどう思う?」
「……」
沈黙が何よりの肯定である。
つまり――フルーグはなおも健在。
体に大穴を空けられても、まだ戦意を失わず、立ち上がろうとしている。
「がははは……地雷には地雷を、ってことでやり返してやろうと思ったんだがなァ」
なかなか近づいてこない三人に根負けし、フルーグはむくっと上体を起こす。
そして血を流しながらも普通に立ち上がると、
「ふんッ!」
腹に力を入れ、一瞬で傷口を埋めた。
「鬼神聖儡と言ってな」
さらに、彼の体を何らかの力場が覆った。
周囲の景色が、まるで蜃気楼のように揺らめく。
「剣王の操る気、聖王の操る結界と回復魔術、そして機王の操る人形魔術――これまでは個別にしか使っていなかった。これはその全てを同時に使用する、俺が編み出した奥義だ。これを発動した俺は、身体能力も自己治癒力も桁違いになる」
馬鹿らしい――ペリアはそう思った。
この期に及んで、まだ“上”があるというのか。
己の体を鍛え上げた武人が、モンスターの肉体を手に入れる恐ろしさを思い知らされた気分だ。
だが、それゆえに帝国は敗北したともいえる。
一般兵でも扱える装甲機動兵と、どうしても質にムラが出てしまうモンスター。
どちらが戦略を立てやすいかと言えば、断然前者だ。
「お前たち三人が、将来的にいつかたどり着くかもしれない場所――そこに俺はいる」
「うらやましい、って言うとでも思った?」
ペリアは負け惜しみなどではなく、心の底からそう思っていた。
エリスとフィーネも彼女に続く。
「要するにパクリ。自慢するようなことではない」
「つか一人で三人分やるのかよ、寂しくねえのか?」
「辛辣だな」
思わず苦笑するフルーグ。
だが、彼女たちは真理に気づいている。
たとえ三人分の力を束ねたとしても、一人では意味が無いのだ。
「どんなに強くても、一番大事なことがわかってないお前に私たちは負けないっ!」
「ほう、俺に足りないものとは何だ?」
「そんなもの――」
ゴーレムとブレイドオーガが同時に駆け出す。
先陣を切るのは、速さに優れるゴーレムだ。
たとえ相手がどれだけ強かろうと、恐れず、躊躇わず、前へと突き進む。
「愛に決まってるっ!」
大好きな二人と生きる、未来のために。
「がはははは! 愛、愛か! それさえあれば、俺を倒せるというのか!?」
ゴーレムの拳は笑いながら砕かれた。
もはや触れる必要すらない。
フルーグの体から発せられる見えない力が、その突進力を押し返し、装甲を破壊したのだ。
だが、ゴーレムの相手をしている間に、ブレイドオーガが時間差で接近する。
「フィーネちゃん、これを!」
ペリアはファクトリーから、スペアの紅纏鬼を投げ渡した。
フィーネは空中でそれを受け取ると、大きく振り上げ、頭上より斬りかかる。
「素手で止められると思うなよッ!」
「思うさ、俺ならば!」
宣言通り、フルーグは手の甲で刃を受け止めた。
さらに空いた手に気を溜め込み、ブレイドオーガめがけて放とうとする。
するとその腕をゴーレムが掴んだ。
一瞬だが両腕を封じられるフルーグ。
その瞬間を狙って、ガーディアンが肩にかついだ結晶砲を二発同時に放つ。
「確かに息は合っているな、しかァし! カァッ!」
フルーグが吼えると、体から発せられた衝撃波がゴーレムとブレイドオーガを吹き飛ばす。
そして眼前から迫る結晶を、彼は両手で一発ずつ受け止めた。
「結晶が命中したのに、爆発しない……」
本来、衝撃を受けた魔力結晶は不安定になり自壊するはずである。
それをフルーグがなぜ受け止められたのかと言えば――強引に、自らの力で結晶の形状を維持させたからだ。
彼はさらに、そのまま二つの結晶を一つにまとめ、ボールのように丸める。
そして右手を上に引き、左脚を上げ、ピッチングフォームを取る。
エリスは寒気を感じた。
間違いなく、狙われているのは彼女だったからだ。
「お返しするぜ……聖王エリスよッ!」
美しい姿勢から投げ放たれた結晶球は、砲撃をはるかに超える速度でガーディアンに迫る。
エリスは慌てて多重の結界を展開した。
するとそんな彼女にペリアが呼びかける。
「エリスちゃん、撃ってッ!」
結界だけでは防げない。
だから少しでも威力を減らすために、ぶつける必要があったのだ。
ペリアの言葉に反射的に反応したエリスは、すぐさま結晶砲を放った。
もちろんフィーネとペリアも動く。
ゴーレムは拳を、ブレイドオーガは剣気を飛ばし、球体の側面から当てることで軌道をそらそうとしたのだ。
しかし、タチの悪いことに結晶砲にフルーグの力を上乗せさせたその球体は、ゴーレムたちの攻撃を直撃させても爆発するどころか、わずかにしか動かない。
そして――着弾。
真正面からの直撃は避けた。
しかし軸のズレはあまりにわずか。
結界の丸みでも受け流すことはできず、肩を掠めただけで片方の結晶砲は完全に破壊され、操縦席を強い衝撃が襲った。
「ぐうぅぅ……っ」
「エリスちゃんっ!」
「エリスぅッ!」
慌てて救援に向かうフィーネとペリア。
「俺は強くなりすぎた」
二人が一歩目を踏み出したのほぼ同時に動き出したフルーグは、その一歩目が地面に付く前に、ガーディアンの目の前に現れる。
「近づくのはうかつ。胸部拡散結晶砲、発射!」
至近距離で放たれた無数の結晶の欠片。
フルーグはそれらを全て、己に当たる前に指と指の間に挟んで止めた。
「……ふざけてる」
「そう、俺はふざけた強さだったんだ」
彼は軽く腕を振り払い、手の甲でガーディアンの頬を叩いた。
重量級の大型人形は、軽々と側方に吹き飛ぶ。
同じ方向にいたゴーレムが受け止めるも、その勢いを殺すのに数十メートルも後方に滑っていく。
「エリスちゃん、大丈夫? エリスちゃんっ!」
「く、うぅ……なん、とか……」
「フルーグ、てめえよくもエリスをぉおっ!」
「人間だった頃、一人でモンスターを殺したこともある」
続けて襲いかかってきたブレイドオーガの刃を片手で握り止めると、そのまま横に投げ飛ばす。
「があぁああっ!」
「フィーネちゃんっ!」
「こ、こいつ……何だよこの力は!」
ブレイドオーガは起き上がるが、すぐに次の攻撃を仕掛けることはできなかった。
あまりに隙がなさすぎるからだ。
どこから仕掛けても、防がれ、反撃される未来しか見えない。
「そして今、俺はついに子供の頃の憧れすら越えようとしているッ!」
「何を言ってんのかわかんねえが、てめえの強さの先には何もねえんだよッ!」
それでも攻撃の手を緩めないのが彼女たちだ。
今度は左右、そして背後から三体同時に殴りかかる。
「強さにッ!」
その三体が相手にたどり着くより速く――フルーグは各人形の目の前に現れ、
「先などッ!」
目にも留まらぬ速さで打ち砕き、叩き落とし、蹴り飛ばし――
「あるものか!」
あまりに一方的に、力を見せつける。
「ちぃッ、クソッタレが……速すぎるだろ」
「正直、私には動きが見えてない」
「それでも、あいつを許すわけにはいかないよ!」
何度吹き飛ばされても、三人は立ち上がる。
しかし修復可能なゴーレムはともかく、ブレイドオーガとガーディアンの装甲はもうボロボロだ。
スリーヴァとの戦いもあったのだ、魔力の消耗も大きいはずである。
「強さこそが答えであり到達点ではないか! 強ければ強いほどに、戦いの世界は広がっていく。俺が今、こうしてお前たちと戦う幸福に浸れているのも、俺が強いからだ。違うか?」
「いいや、違うね」
フルーグからの問いかけに、フィーネは即答する。
「今のお前に、たどり着ける場所なんて一つもねえよ」
「あるさ。今、まさに俺はその一つにいる! 夢を叶えている!」
彼の頑なな主張に、エリスはため息をつく。
「はぁ……だったら黙って戦えばいい」
「高揚しているのだ、饒舌にもなるってもんだ!」
「そうやってぺらぺら喋ってしまうのは、不安だから。本当はわかってるから」
「何を――」
「自分が負けを認められない、惨めな敗者だということを」
それは今日の戦いの話ではない。
これまでの――未来のハイメン帝国と王国を取り巻く、一連の歴史についての話だ。
もちろんその歴史はまだ終わっていない。
ペリアたちとフルーグの戦いも、その一部といえる。
「ハイメン帝国は王国との戦争に完全に負けたんだよね」
「……」
ペリアがそう問うと、フルーグは肯定代わりに神妙な顔で沈黙した。
「でも負けたくせに負けが認められなくて、たくさんの住民を犠牲にしてまで過去に飛んだの。そしてまだ弱い王国を、そして世界の人々を殺して回った。こんなに卑怯なこと無いよ! そのくせ、王国に勝ったつもりなってるなんて惨めにもほどがある!」
「……ああ、まったくもってその通りだな。俺だってそれはわかっているさ」
「だったら!」
「しかし、起きてしまったことは変えられんだろう。民無き帝国において、もはや将軍という役職に意味などない。今の俺は、力の頂きを目指すただの武人としてここにいる」
「武人にもなれてねえんだよ、お前は」
吐き捨てるようにフィーネは言い切る。
「エリスがさっき言ってたろ、お前は“負けを認めない敗者”だって。それは永遠につきまとう呪いだ。あんたは武人を気取ってる、だったらそういう人間の末路ぐらい見たことあるんじゃねえのか」
「過去を変えろとでも言うのか?」
「止めてみせろよ、スリーヴァを、皇帝ガルザを! わけも分からず巻き込まれた人はともかく、軍人なら事情ぐらいはわかってたはずだっ!」
「理解したときにはすでに事は済んでいた」
「だとしてもだッ! あんたにはまだ、引き返せる道があったんだ! 呪いを消すことはできなくても、軽くする方法はあったんだよ! それを捨てて、惨めな負け犬虐殺者になる道を選んだのはほかでもねえ、てめえなんだよ。そんな人間が武人だと? 笑わせんじゃねえッ!」
己も武人の端くれとして――フルーグの在り方を、フィーネは認めることができなかった。
ただでさえ、故郷の仇でもあるのだ。
そんな人間が、最後の最後まで己の咎に向き合わず、戦いの中で満足して果てるなど、許容できるはずもない。
いや――正確には満足したと“思い込んで”果てる、と言うべきなのだろうが。
その片鱗は、ペリアとの戦いの中ですでに見せていた。
「どれだけ喜びで心を埋め尽くしても、一片の嘘は消えないんだよ。勝っても負けても虚しさがつきまとうの。きっと死ぬ瞬間だって。だから必死に口に出して自分に言い聞かせるんだ、『楽しい』、『楽しい』、『幸せだ』って」
まるで彼女に同意でも求めるように、彼はそう繰り返した。
それは不安の裏返しなのだ。
楽しんでいるのは嘘じゃない。
幸せなのも嘘じゃない。
しかし――
「お前たちの言葉は、おそらく正しい」
問答の末に、彼はついに認めた。
認めた上で――拳を握り直し、わずかに腰を落として構えを取る。
「だからこそ、だ。消えない虚しさがあるからこそ、俺は願望の成就を誰よりも強く望むッ! そしてこの戦いを勝利で終える!」
光のごとき疾さで駆け出した彼が、真っ先に狙ったのはガーディアンだった。
近接攻撃の手段を得たとはいえ、主な役目は後方からの砲撃。
エリスに最低限の武術の心得があろうとも、達人であるフルーグにとっては素人同然。
撃破の優先順位が高いのも当然である。
ゴーレムとブレイドオーガとの距離はまだ遠く、インターセプトも不可能。
エリスはとっさに結界を展開するも、眼前に現れたフルーグを認識してから、攻撃が命中するまでの間にできる防御行動はそれが限界。
すなわち、ほぼ無防備と同義である。
(仕留められるか)
ペリアたちの手に渡った小型コアは計7つ。
ヴェイン、ランスロー、ランスローの部下四人分、そしてリュムのものだ。
スリーヴァ曰く、ヴェインのものは試作段階のものなので、かなり出力が不安定なのだという。
それをマニングでも把握しているのなら、実戦で使えるのは6つか。
“地雷”はすでに一度踏んだ。
ブレイドオーガはスリーヴァに対して小型コアの暴走を一度使用している。
オルクスの撃破にも小型コアが使用された。
それでもなお、彼女たちの手には小型コアがまだ3つも残っている。
それはペリアたちがフルーグに対して有効打を与えられる回数に等しい。
(否、俺のこの行動を、王は予測できていたのか――!?)
破綻結界を纏った手刀が、ガーディアンの操縦席に迫る。
フルーグの中では、二つの感情がせめぎ合っていた。
まだ英雄たちとの戦いを続けたい渇望。
そしてもう一つが、一刻も速く殺して終わらせてしまいたい願望。
前者こそ彼の理想の武人として抱くべきもの。
後者は言うまでもなく――呪いが産んだ、忌むべき雑念である。
今までは目を背けてこられた。
しかし改めて指摘された今、思考の水底から呪いは浮上し、彼の集中力にわずかなほころびを生じさせる。
ゆえに、気づくのが遅れてしまった。
足元の“聖痕”に。
「ぬ……!」
彼の手は操縦席を貫く直前で、ぴたりと止まった。
意図的な寸止めではなく、動かなくなってしまったのだ。
足元に視線を落とす。
地面に刻まれた術式と、その中心に埋め込まれた小型コアが光を放っていた。
「これは自称武人の迷惑クソ野郎を閉じ込める“鎮魂の檻”」
ガーディアンは先ほどフルーグに倒されたとき、地面に術式を焼き付けていたのである。
ペリアがゴーレムの胸部に仕込んだ“地雷”同様に、踏んだ瞬間自動発動する罠だ。
「やはり、聖王も持っていたか――」
「動きは封じた、次はフィーネの番」
ガーディアンがバックステップで距離を取る。
その直後、フルーグの側方より紅の剣鬼が高速で突進してきた。
「うおおぉぉおおおおッ! バーサーク・ペネトレイションッ!」
「ちぃっ、体が……結界に縛られて動かん!」
「バーストォッ!」
暴走したコアを利用した刺突が彼の体を穿つ。
ペリアから受け取った二本目の紅纏鬼にも、小型コアは埋め込まれていたのである。
「ぐ、があぁあっ……!」
脇腹から逆方向まで貫通した刃。
だがそれ止まりだ。
「まだだァ……俺は、動ける……!」
スリーヴァ程度の相手なら、上半身だけが吹き飛んで消えているほどの威力なのだが――彼はすぐにでも傷を塞いで動き出しそうなほどだった。
「化物が! ペリアッ、後は任せた!」
だが最初からそれは織り込み済みだ。
ブレイドオーガは刃を引き抜くと、ガーディアン同様に後ろに下がる。
そして間髪を容れず、入れ替わりでゴーレムがフルーグに肉薄した。
「ゴーレムちゃんのぉっ、とっておきの一撃をぉ!」
振りかぶった拳が向かうのは、ブレートオーガが作った傷口だ。
狙うは、打撃ではなく、穿孔。
小型コアを埋め込んだ腕部に換装し、腕ごと吹き飛ぶような威力を、ゼロ距離で相手にぶち込む――!
「食らえぇぇええええッ!」
バチュッ、と血肉を撒き散らしながら、ゴーレムの腕がフルーグの体内に沈んだ。
「ご、おぉおおっ!」
傷口を開かれただけでなく、パンチの衝撃も体内からダイレクトに伝わり、彼は大量の血を吐き出す。
じゅわぁ――と、熱を帯びた腕部が肉を焼く音がした。
飛び散る血も、装甲に触れた瞬間に蒸発し、消える。
「あ……が、あ……」
身動きが取れない上体で、体を貫かれ、さらには体内に強い衝撃を受けた。
内臓はぐちゃぐちゃに押し潰され、口から破棄される血にはかき混ぜられたそれらの欠片も混ざるほどだ。
ぐったりとうつむくフルーグ。
しかし、その瞳が赤く光る。
口元がニィッと笑い、震える両腕で己を貫くゴーレムの腕に触れる。
「が、ははは……これで、全てか?」
生きている。
これだけやられても、フルーグの生命の炎は消えず。
生きている以上、どれだけ重傷でもここから再生し、また元の五体満足な状態に戻るだろう。
「善い、殺意だった。魂が震えたぞ、まさに王にふさわしい。しかし――」
「何を言ってるの」
「っ……」
歓喜か。
それとも絶望か。
ペリアの“まだ終わりではない”という宣告に、胸が高鳴った。
否――高鳴ったのは胸ではない、コアだ。
体内に埋め込まれた小型コアが、どくんどくんとうるさい心臓のように脈動して、さらに熱を放っている。
「ま、さか……それを……!」
「小型コアを体内で暴走させる! これでおしまいだよ、“虐殺者”フルーグッ!」
この場で小型コアを爆発させれば、もちろんゴーレムも巻き込まれる。
しかしそうでもしなければ、この生命力の塊を殺す方法が他に見つからなかったのだ。
小型コアの暴走の影響は、ついにフルーグの体全体にまで及びはじめる。
腕が、顔が、体が、足が、百数十年の鍛錬の結晶が、醜く、まるでヴェインのように膨らんでゆく。
「お、ごががっ、ぐがあぁぁあああああッ!」
全身を包み込む耐え難い苦痛の中、もはや意味のある言葉を発することすらできない。
「ペリア、早く離れろッ!」
「フィーネちゃんも危ないよ!」
「いや――もう間に合わない。二人とも、ガーディアンの近くに固まって」
爆発を前にして、身を寄せ合う三人。
「ぐぎゃっ、ぎゃぎっ、ぎゅぎゃあぁぁぁあああああッ!」
ぶくぶくに肥え太った肉の塊となったフルーグは、甲高い“鳴き声”を周囲に響かせた。
だがそんな姿になりながらも、人格はまともなまま残されている。
(まあ、いい。俺はあの天上の玉座と戦って死ねたんだ。死力を尽くして戦った。望みは叶った。呪いなんて気にしなければいい。後悔なんて微塵も――)
人生を振り返る。
この百年は、まさに虚無と言っていい日々だった。
オーガたちを力でねじ伏せ、お山の大将になってみても何も満たされない。
そんな日々だった。
だがペリアたちと遭遇し、その戦いを心待ちにして己を鍛えた日々――そして実際に戦ったこの瞬間は、紛れもなく、この百年のどこよりも満たされていたはずだ。
そこに、後悔などあるはずがない。
無い――のに。
(ああ……クソ、そんなこと考えてる時点で、逃げられねえってことじゃねえか。考えちまう、悔やんじまう。考えたくねえのに、“もしも”の光景が頭に浮かぶ……戦いに身を捧げてきたからこそ、これを“どうでもいい”の一言で片付けられねえ)
――卑怯者の呪いは、死の直前に最も大きく咲き誇る。
(もし、ここで戦っているのがまともな俺だったら。逃げていない俺だったら――もっと、楽しかったんじゃねえか? 胸を張って、夢が叶ったって、強くなれてよかったって思えたんじゃねえのか?)
そもそも帝国が負けていなければ、この世界に来ることはなかったのだ。
無理のある想像である。
しかし、未来の帝国には過去に遡る技術自体はすでに存在した。
誰よりも強さを求め続けたフルーグが、ペリアたちとの戦いを求めて、過去に飛ぶ――そんな可能性はゼロではなかったはずだ。
そう、あったかもしれない未来。
それはもう、遥か彼方。
負け犬には絶対にたどり着けない地平にある。
(ちくしょう……ちくしょう……何で俺は、こんな場所に――こんな惨めな死に場所に、来ちまったんだ……!)
敗北という現実から目を背けた者に、満ち足りた死など与えられるはずもない。
フルーグの体が爆発し、周囲に大量の魔力をぶちまける。
あたりは光に包まれ、彼の意識も共に消えていく。
いつか憧れた王にも認められず、武人にもなりきれず――そんな後悔の中で。
やがて視界が戻ると、そこには装甲がどろどろに溶かされた、三体の人形だけが残されていた。
操縦席の内側からガンガンと扉を蹴る音が鳴る。
一番最初にハッチを開けたのはフィーネだった。
続けてペリア、最後にエリス。
どうやら爆発の衝撃で通信装置も壊れたらしく、三人は互いの無事を確認し、はにかみ笑った。
「ったくよお、必要だったとはいえ作戦が無茶すぎるぜ」
「ガーディアンの結界がなかったら死んでた」
「えへへ……ごめんね。でも私、二人との愛を信じてたから」
両手でぎゅっと拳を握り、真顔で言い切るペリア。
少し気まずい間が空いて、フィーネは頭を抱えて苦笑した。
「おいおい、そんな言葉で納得するわけが――」
「あ、愛……でへ、でへへへへ……」
「……してたわ」
エリスは今にも溶けてしまいそうな、だらしない顔でデレデレしている。
「んふふふ、あとで言葉以外もお返しするからねっ」
「そんなこと言っちまっていいのかよ」
「ど、どんなことでもしていい?」
「いいよ」
「おいおい」
「ど、どこでも触っていい!?」
「いいよ」
「そんなこと軽々しくオーケーするなよ」
「フィーネちゃんも一緒にね」
「やっぱりそうなる!」
「もちろん逃さない」
「ほら逃さないとか言ってるじゃねえかぁ! 悪意あるじゃねーかよー!」
「悪意はない、欲望だけ」
「そっちのがタチ悪ぃよ!」
「私もエリスちゃんに負けないぐらい欲望すごいよ!」
「欲望シスターズいえーい」
「いえいえーい」
「嫌な予感しかしない盛り上がり方してやがるぅぅぅぅ!」
フィーネの突っ込みが高らかに響き渡った。
とはいえ、頬はほんのりと赤く染まっており、満更でもない様子である。
「お疲れ様、ゴーレムちゃん。戻ったら綺麗にしてあげるからね」
ペリアは焼けてしまったゴーレムの装甲を撫で、優しく呼びかけた。
そして空を見上げる。
フィーネとエリスも同様に、空の向こうにいる誰かに向かって呼びかけるように。
(みんな、私たちやったよ)
まだ全てが終わったわけではない。
だが一つの区切りは付いた。
王国はハイメン帝国から解放され、この時代の人類はようやく、自分たちの足で歩み始めるのだ――
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●名称
ゴーレム
●搭乗者
ペリア・アレークト
●装備
主材質:強化ミスリル(フレームは結界により強化)
副材質:アダマスストーン・チャージストーン
コア:40メートル級
●スペック
高さ:20.2
重量:155
装甲強度:1550
コア出力:500
最高速度:340
最高速度(加速術式使用時):1700
●武装
キック:
近接攻撃
威力90
アダマスストーンナイフ:
近接攻撃
威力110
パンチ:
近接攻撃
威力120
ミスリルスライサー改:
小範囲中距離攻撃
威力250
使用時にミスリルを消費(戦闘終了後に回収可能)
傀儡術式ゴーレム・ブロウ:
近接攻撃
威力270
スフィア・ブレイカー:
近接攻撃
威力300
使用時にチャージストーンの魔力消費・非戦闘状態なら30秒で再チャージ
傀儡術式ゴーレム・ストライク:
近接攻撃
威力420
傀儡術式ゴーレム・ブレイカー:
近接攻撃
威力520
傀儡術式ゴーレム・ブーステッド・ストライク:
中距離攻撃
威力550
拳を飛ばす
傀儡術式ゴーレム・ブラスト:
中距離攻撃
威力600
傀儡術式ゴーレム・メテオストライク:
特殊攻撃
威力650
傀儡術式ゴーレム・ブラストB:
中距離攻撃
威力700
脚部ブースターに加え、腕部ブースターの威力も乗せた一撃。
傀儡術式ゴーレム・ストライク・バースト:
遠距離攻撃
威力2300
小型コアの魔力を暴走させ、最大加速状態で拳を放つ。
●特殊能力
リミッター解除:
コアへ魔力信号を送り、普段は抑えている出力を引き上げる技術。
コアの発熱量も増加するため、冷却システムをフル稼働させる必要がある。
マリオネット・インターフェース:
人形魔術の仕組みを利用した操縦システム。
操作が非常に複雑、かつ繊細な力加減が要求されるため、現状ペリアにしか扱えない。
ゴーレム・プロテクション:
胸部チャージストーンの魔力を開放することで、ゴーレムの周囲に結界を展開する。
持続時間1分。非戦闘状態なら1分で再チャージ。
加速術式:
脚部に刻まれた風魔術を起動し、ゴーレムを高速移動させる。
レーダー
機体に取り付けられたアンテナが受信したデータを、操縦席全面右上に表示している。
モンスターのコアの大きさ、及び大まかな形状が表示される。
ミラーコーティング
粉末状のミラーストーンを塗布した状態。
ある程度まで魔術を反射する。
ファクトリー・リペアリング
ファクトリーを利用し、戦闘中にパーツ入れかえによる修繕を行う
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●名称
ブレイドオーガ
●搭乗者
フィーネ・ティシポルネ
●装備
主材質:アダマスストーン
腕部材質:アダマスストーン・チャージストーン
装甲:アダマスストーン
コア:40メートル級
武装:紅纏鬼改
刃渡り約17メートルの大剣。
切れ味は鋭いが、刃幅が広く、かなり重たいため、鈍器のような使い方もできる。
アダマスストーンで作られているため、刃は血のように赤い。
レスの協力により人間の魂を込めた小型コアが埋め込まれ、より強力な斬撃を放てるようになった。
●スペック
高さ:20.4
重量:170+83(剣を含んだ場合)
装甲強度:2000
コア出力:500
最高速度:270
●武装
剣鬼術式バーサーク・ファントム:
近接攻撃
威力100
剣を命中させた相手の内側に直に斬撃を送り込み、体内をズタズタにする。
剣鬼術式バーサーク・ムーン:
中距離攻撃
威力200
三日月形の剣気を飛ばす。
剣鬼術式バーサーク・ペネトレイション:
近接攻撃
威力300
素早く力強い刺突を連続して繰り出す。
剣鬼術式バーサーク・レイド:
近接攻撃
威力450
機体ごと急加速し、その勢いを乗せた一撃を繰り出す。
剣鬼術式バーサーク・レクイエム:
中距離攻撃
威力550
剣に埋め込まれた小型コアの魔力を利用し、三日月形の剣気を飛ばす。
剣鬼術式バーサーク・エクスキューション:
近接攻撃
威力650
限界まで極まったシンプルな横一文字斬り。
剣鬼術式バーサーク・レクイエム・バースト:
中距離攻撃
威力2000
剣に埋め込まれた小型コアの魔力を暴走させ、溢れ出した魔力を相手にぶつける。
剣鬼術式バーサーク・ペネトレイション・バースト:
近接攻撃
威力2500
剣に埋め込まれた小型コアの魔力を暴走させ、溢れ出した魔力を刺突に乗せて相手を刺し貫く。
●特殊能力
リミッター解除:
コアへ魔力信号を送り、普段は抑えている出力を引き上げる技術。
コアの発熱量も増加するため、冷却システムをフル稼働させる必要がある。
ドッペルゲンガー・インターフェース:
搭乗者の動きをダイレクトに人形の動きに反映させる技術。
コクピット内にて、搭乗者はまるで操り人形のように全身に魔糸を絡みつかせ、その糸を通して動きを人形に伝える。
ちなみにコクピットブロックの形状は球体で、取り付け、取り外しが簡単な設計となっている。
また、常にパイロットの正面が機体の前方となるよう回転するようになっている。
マリオネット・インターフェースと異なり、誰にでも人形の操縦ができる一方で、魔糸と肉体の接続の関係で人形から人体へと感覚がフィードバックしてくる。
さらに操縦者に高い身体能力が求められる他、操縦席に複数人乗ることができないという欠点もある。
ゴーレム・プロテクション:
胸部チャージストーンの魔力を開放することで、ゴーレムの周囲に結界を展開する。
持続時間1分。非戦闘状態なら1分で再チャージ。
レーダー
機体に取り付けられたアンテナが受信したデータを、操縦席全面右上に表示している。
モンスターのコアの大きさ、及び大まかな形状が表示される。
ミラーコーティング
粉末状のミラーストーンを塗布した状態。
ある程度まで魔術を反射する。
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●名称
ガーディアン
●搭乗者
エリス・メイラガイラ
●装備
主材質:アダマスストーン
装甲:アダマスストーン
コア:40メートル級
●スペック
高さ:20.0
重量:220
装甲強度:2300
コア出力:500
最高速度:220
●武装
封魔結界砲:
威力0
相手を閉じ込める結界術式を込めた砲弾を放つ。
結界術式・鎮魂の檻:
威力0
小型コアを暴走させ、超強固な結界を作り出す。
身を守るだけでなく、相手を閉じ込め拘束することもできる。
スティグマ:
威力100
触れた対象に任意の図形を焼き付ける。
足裏や拳に搭載されている。
結界術式・刺殺聖域
設置型攻撃
威力250
結界を切り取り、先端を鋭利にした状態で突き刺す魔術。
スティグマにより任意の場所に設置可能。
結界術式・刺殺神殿
設置型攻撃
威力400
対象物の“内側”に先端を鋭利にした結界を無数に突き刺す魔術。
威力の高さもさることながら、ガーディアンが離れない限り攻撃が止まることのない“持続性”が脅威である。
結界術式・ガーディアンブレイカー:
近接攻撃
威力400
相手を殴りつけ、破綻結界で焼く技。
どうしてもペリアの真似をしたかったエリスの希望で搭載された。
胸部拡散結晶砲:
近接攻撃
威力700
胸部に搭載された近接攻撃ようの拡散型結晶砲を放つ。
近すぎると自身も爆発の巻き添えになるため、結界による防御が必要。
長距離精密砲撃用結晶砲:
遠距離攻撃
威力800
長く細い砲身を持つ特製結晶砲。
コアを搭載した大型人形なら誰でも使えるので、たまたまガーディアンが使用しただけで、専用の武装というわけではない。
魔力結晶砲:
広範囲遠距離攻撃
威力1000
発掘された装甲機動兵に搭載されていた兵器。
魔力を結晶化して発射、着弾と同時に炸裂し広範囲を焼き尽くす。
●特殊能力
リミッター解除:
コアへ魔力信号を送り、普段は抑えている出力を引き上げる技術。
コアの発熱量も増加するため、冷却システムをフル稼働させる必要がある。
ドッペルゲンガー・インターフェース:
搭乗者の動きをダイレクトに人形の動きに反映させる技術。
コクピット内にて、搭乗者はまるで操り人形のように全身に魔糸を絡みつかせ、その糸を通して動きを人形に伝える。
ちなみにコクピットブロックの形状は球体で、取り付け、取り外しが簡単な設計となっている。
また、常にパイロットの正面が機体の前方となるよう回転するようになっている。
マリオネット・インターフェースと異なり、誰にでも人形の操縦ができる一方で、魔糸と肉体の接続の関係で人形から人体へと感覚がフィードバックしてくる。
さらに操縦者に高い身体能力が求められる他、操縦席に複数人乗ることができないという欠点もある。
サンクチュアリ・プロテクション:
体の各部に搭載されたチャージストーンの魔力を解放し、複数の結界を展開する。
任意で刺殺結界や破綻結界への切り替えも可能。
ただし使いこなすには結界魔術への高度な知識が必要となる。
レーダー
機体に取り付けられたアンテナが受信したデータを、操縦席全面右上に表示している。
モンスターのコアの大きさ、及び大まかな形状が表示される。
ミラーコーティング
粉末状のミラーストーンを塗布した状態。
ある程度まで魔術を反射する。
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