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058 いつか人間だって空を飛べます

 



 三つ首の竜(ランスロー)が宙を舞う。


 ゴーレムを繰るペリアは、それを見ているだけではなかった。


 リミッター解除の制限時間は二分。


 できればその間に、相手を倒してしまいたい。


 幸い、脚部に搭載した加速装置は排熱の問題が発生するような代物ではない。


 消費する魔力も少なく、連続使用が可能であった。


 ペリアの指が特定の動きを取ると、再び脚部の術式が光る。


 足裏に空気の塊を作り出し、それが爆ぜるとゴーレムは急加速して空中のランスローに迫る。




「づぅああぁあああッ!」




 この際、ペリアは自らの体にかかる負荷により、自然と低いうめき声のようなものを出す。


 さらにそれを跳ね返すように叫ぶため、可愛らしい銀髪の乙女に似合わぬ雄々しい哮りを響かせるのだ。


 そしてゴーレムの膝がランスローの腹部に突き刺さった。




『グゴアァァアッ!』




 苦悶の声が三つの口でユニゾンする。


 粘度のある涎が吐き出され、敵の体は空中でさらに弾き飛ばされた。




「まだまだあぁぁあッ!」




 ペリアは目を血走らせながら、重力に逆らい空中で再加速。


 ゴーレムを宙返りさせて、そのかかとを紫竜の脇腹に叩き込んだ。


 一方、ランスローは前後不覚の状態になりながらも、ぎょろりとした瞳で相手の脚部を捉え、攻撃を腕で防ぐ。


 しかし、腕部は人だった頃よりも退化している。


 無論、体が巨大化しているため人間のものよりは遥かに巨大だが、しかしゴーレムの強烈な一撃を防御できるものではない。


 結果、アジ・ダハーカの体は急降下し、強く地面に叩きつけられた。


 少し遅れて着地するゴーレム。




(舐めてたわけじゃないけど、さすがに頑丈だ)




 並のモンスターなら、最初の拳で決着しているはずだ。


 それがどうだ、ランスローは多少の血を口から吐き出し、「グガァ……」とうめく程度で致死傷には程遠い。




(リミッター解除時間内に決着を付けるのは難しそう……)




 ひとまずペリアは、相手が体勢を持ち直す前にもう一撃入れるべく駆け出した。


 そして足を振り上げると、三つある首の真ん中――本体(・・)と思われるランスローの頭部を踏みつける。


 しかし、視界の端に黒い影が入ってきたため、それを中断して後ろに飛んだ。


 鼻先をかすめたのは、竜の長い尻尾だ。


 打撃どころか、触れればミスリル装甲を引き裂かれそうな鋭さだった。




(物理的な攻撃手段として警戒すべきは尻尾。あとは竜ならブレスもあるだろうし、ランスロー様の意識が安定したら風魔術を使われることも考えておかないと)




 現に、すでにランスローが振り回した尻尾には、風の魔術が込められていた。


 命中はしなかったが、強烈な風がゴーレムに吹き付ける。


 もっとも、それはゴーレムの重量さえあれば特に踏ん張る必要もない程度の風量。


 そう高をくくっていたのだが――ふわりと機体が浮かぶ。




「これは……浮遊の魔術!?」




 しかし相手には触れられていないし、装甲に傷が付いた様子もない。


 いつ、どこでゴーレムを対象に魔術を発動したというのか。


 戸惑っている間にもペリアは一気に吹き飛ばされ、そして町から離れた丘の上に肩から落下した。


 空中でバランスを持ち直そうとしたが、どれだけペリアが魔糸を操っても不可能だったのだ。


 異変はさらに続く。


 これだけ重たいゴーレムだ、地面に叩きつけられればかなりの衝撃があるはず。


 操縦席も揺れることを覚悟したペリアだが、予想に反して地面と衝突しても何も起きない。


 それどころか、機体はボールのように何度かバウンドした。


 ペリアは直感する。




(違う、浮いてるんじゃない。これは、機体が軽くなっている――)




 百分の一、あるいはもっとゴーレムの重量が失われている。


 これではどんなに勢いを付けて殴っても、相手に大したダメージは与えられない。


 ペリアが困惑する中、ランスローは一気に攻めに出た。




「ペェリアァァァァアアアッ!」




 人間らしさを感じる咆哮をあげながら、翼をはためかせ、高くジャンプして襲いかかってくる。


 ゴーレムはまだ起き上がれていない。


 ペリアは転がってそれを回避した。


 鋭い竜の牙が目の前でガチンと音を立てる。


 どうにか避けられたが、ペリアの表情は苦しげだ。




(こうも機体重量が変わっては操縦がままならない!)




 慣れれば操れる。


 だがこの刹那の攻防の中で、“慣れ”を期待するのはナンセンスだ。




(うまく操れないなりにやるしかない……!)




 糸の絡まる手に汗がにじむ。


 一方、ランスローは爪を立てた腕をその場で振り払った。




「引ィき裂ケェェェエッ!」




 風をまとった爪が空を裂くと、無数の刃が放たれる。


 ゴーレムが腕の力だけで飛び上がると、刃は地面を深く引き裂いた。


 なおもランスローの爪による攻撃は続く。


 もう一方の腕を振るい、空中のゴーレムに向かって切れ味鋭い風の刃が飛翔する。




「結界で防御をッ!」




 人形の胸部に埋め込まれたチャージストーンが光を放ち、体を結界が包んだ。


 避けられないと判断した上での苦渋の選択である。


 風は結界とぶつかり合うと、激しい光を放ちながら魔力を相殺しあう。


 だがランスローは、並のモンスターを遥かに凌駕する力を持っている。


 真正面から攻撃を受けては、ゴーレムの結界だけで防ぎきれるものではない。


 そこでペリアは両拳を前に突き出し、その手の甲に装着されたチャージストーンのエネルギーを解放した。


 同時に、胸部チャージストーンによる結界のモード(・・・)も切り替える。




「あとは破綻結界(ブレイカー)で打ち消すッ!」




 バチィッ! とひときわ大きな音が鳴り響き、まばゆい光が視界を埋め尽くす。


 それを目前で受けたペリアは顔をしかめ、ランスローもわずかに後ずさった。


 結界との競り合いで力を削がれた風の刃は、破綻結界の威力で消し飛ぶ。


 光が消え、再び互いの姿が見えるようになると、ゴーレムは脚部の加速装置を起動させ、相手と距離を取った。


 だが機体重量は相変わらず軽いままだ。


 足裏付近で空気が爆ぜると、想定以上の初速が出る。




「づ、ぐうぅうっ――」




 以降は空気抵抗により急激に減速していくが、最初の衝撃は一瞬だけペリアの意識が飛ぶほどであった。


 それはせいぜい一秒ほどの出来事だ。


 覚醒すると、ゴーレムは地面に倒れており、数百メートル離れた場所に三つ首の竜の姿があった。


 幸い、わずかに失神した隙に距離を詰められることはなかったらしい。


 遠く離れているうちにリミッターを解除、冷却を開始し次の攻防に備える。


 一方ランスローは、三つ首のうち、左右の口が大きく開いていた。


 口の端が裂けて、顔の上半分が後ろに倒れるほど大きく。


 そしてむき出しになった喉から、まるで女子供のような高いソプラノボイスが発された。




『アアァァァァァ――』




 左右で音程がわずかに異なる不協和音。


 音そのものも不快ながら、真に不快なのはその“振動”であった。


 ペリアは目を見開き、頭に手を当てる。




「あ、が……何、これ……っ、頭が、いた……い……っ!」




 内側から脳が溢れて頭が割れてしまいそうな痛みだった。


 猛烈な吐き気がこみ上げ、足元がふらつく。


 視界が歪み、咳き込むと口から微量の血が吐き出された。




「この音が、攻撃……ゴーレム、ちゃん、は……」




 機体に一切の問題は発生していない。


 つまり――この攻撃は、人間を殺すためだけのもの。


 もし町を狙って使えば、瞬く間に死体だらけになるだろう。


 一般的に、竜の姿をした魔獣は“ブレス”と呼ばれる口から放たれる魔術を使用するが、これもその一種と考えられる。


 アジ・ダハーカのブレス能力、そこにランスローの風魔術が合わさっているのだ。




『アアァァアア――』




 その声が響くたびに、空気の振動が耳から体内へと入り込み、脳や内臓をぐちゃぐちゃにかき混ぜていく。


 “揺れ”、そして生じる“熱”が体を内側から破壊し、退避手段を思考する能力すらも奪ってしまう。




(まずい、これ、見た目以上に……ダメージが……)




 見開かれた瞳から、血がひとしずく落ちた。


 鼻血がツゥと流れ、蒸せるように咳き込めば血の塊が吐き出される。


 ついにペリアは膝をつき、ゴーレムの操縦すらままならなくなってしまった。




「ぐ、ああぁあっ……!」


「君たちハ、僕を愚かだと笑うだろウねだけど。僕にはこれしカ残っていないんだ」




 ランスローは、妻と子供に似た両首から音波を放ちながら、ゆっくりとゴーレムに歩み寄る。


 発音に若干不自然な部分はあるものの、もはやそれはモンスターが放つ鳴き声などではなく、明白に人間の言葉となっていた。


 不完全だったヴェインとは違うのだ。


 スリーヴァは小型コア経由で、彼のデータを収集していたのだろう。


 それを利用して新たなコアを作り出し、今度は“完成品”としてランスローに使用した。


 つまり、人格を残すのみならず、その肉体の性能はヴェインとは比べ物にならない。


 ゆえに“竜”というはっきりとした形を得た。




「死んだ人間の魂はあらゆる苦しみから解放される――以前、レスからそう聞いたことがあってね」




 無論、思考能力も高く、頭を使えるということは人間だった頃の魔術だって扱える。




「恐ろしい話だと思わないか」




 彼はペリアに何やら語りかけながら、じわじわと距離を積めた。


 しかし彼女に聞いている余裕などない。


 聞けばあの“振動”も同時に脳内に侵入してくるからだ。


 襟元を血で汚し、顔にびっしりと汗を浮かべ、肩で呼吸しながら、辛うじて両手で耳を塞ぐのが精一杯だった。




「死ねば人は浄化されるんだ。善も悪も、愛も夢も全てを忘却して、解放されて、だからこそ幸せになれる。そんなもの……」




 ランスローは、ゴーレムを風の刃で確実に仕留められる距離まで近づいた。




「認められるはずがないだろう!」




 直に爪で引く裂くのが最も確実だが、拳の射程圏内に入れば何をされるかわからない。


 だからその場で腕を振り上げ、風をまとわせる。




「苦しみは生の象徴だ。人格の証明だ! だから僕は、それが天国から引きずり下ろす行為だったとしても、妻と子供を諦められないんだよォオオオ!」


「はぁ……ぁ、ううぅ……く、ふ……あは」




 そしてぐっと力を込め――その瞬間、ペリアは血まみれの口で笑った。


 ランスローも殺気を感じたのか、わずかに体を震わせ、腕を振り下ろすタイミングがワンテンポ遅れる。


 その間に、ゴーレムの脚部装甲がガゴンッと外れた。


 見えていた装甲は“ミスリル製”である。


 一方、内側から現れたのはミスリルによく似た、しかし光沢や白みの強い金属。


 その正体が何なのか――当然ランスローも気になったが、それ以上に目立っていたのは脚部側面に取り付けられた“砲門”である。




「アダマスストーンのっ、砲弾を食らえぇっ!」


「させるものカあぁぁッ!」




 ランスローは爪を振り下ろす。


 しかし、ペリアの砲撃のほうがわずかに早かった。


 両脚から放たれたアダマスストーンの赤い砲弾は、相手の腹部と肩に直撃する。




「グオォオオッ!」




 左右の竜の首が、唾液を撒き散らしながら苦しむ。


 衝撃で斬撃はぶれ、不完全な風の刃がゴーレムに迫った――とはいえ、威力は相当なものである。


 砲撃の反動を利用して立ち上がったゴーレムは、刃を防ぐべく膝をすっと上げた。


 そして見せつけるように、脛の新たな装甲で魔術を受け止める。


 金属をひっかくような甲高い音が響き、風の刃は装甲を引き裂こうとするが、叶わず弾かれ消えていった。




「グオ、ウォォオ……!」




 砲弾の直撃を受けたランスローは、呻きながら体勢を立て直す。




「ダメージで解除されるんですね、ランスロー様の固有魔術(・・・・)




 ゴーレムの足が地面を叩くと、ずしんと大地が揺れる。


 アジ・ダハーカの顔がわずかに悔しげに歪んだ。


 そんな彼を挑発するように、ペリアは言葉を続ける。




「“触れた物体の重さを奪う”。そうですよね?」




 そしてその魔術の発動条件を満たせる部位は限られている。


 仮に全身のあらゆる部位に触れただけで発動できるのなら、最初のパンチも、先ほどの砲撃だってまともにダメージを与えられないはずだ。




「フウゥ……ハイメン帝国が警戒するわケだ。その推察力に、この短期間で人形をそこまで強化できる技術力。末恐ろしいよ、その若さで」




 ランスローはマニングで作られたものと思っているようだが、実際は違う。


 ゴーレムの装甲に利用したこの金属は“強化ミスリル”と名付けられたが、未だにその製造方法はおろか、金属の特製すら詳しくはわかっていない。


 なにせ、埋まっていた装甲機動兵から剥ぎ取ったものなのだから。


 加工はブルックに無理を言って頼んだ。


 だがその甲斐あって、ミスリルよりずっと強度で優れているというのに、重さはほとんど変わらない。


 さすがにアダマスストーンほどの強度ではないが、機動性を重視したいゴーレムにとってはうってつけの素材だったわけだ。




「おだてたって砲弾ぐらいしか出てきませんよ」


「ははっ、ジョークを言う余裕もあるのかい。しかも、しかもだ。いつの間にやら音波にまで対応している。ああ、わかるよ、どういう方法を使ったのかは。これでも風の魔術師だからね。だけど――」


「おかげさまで風魔術を学ぶ機会がありましたから」


「逆の振動をぶつけて音を相殺した、か。はは……スリーヴァは自慢げに語っていたんだけどな、このコアを使ってモンスターになれば、人形程度になら簡単に勝てるってさ」


「読み違えた……いえ、所詮は遊びに過ぎないということでしょうか」




 手の甲で顔に付着した血を拭い、呼吸を整えるペリア。




「彼女たちは不老不死に近い体を手に入れたんだ、退屈で仕方なかったんだろう」


「その果てに、人間がおもちゃにしか見えなくなるぐらい、体だけでなく心も人間離れしてしまった」


「……」




 黙り込むランスロー。


 己もまた、同じく人の身を捨ててしまった。


 彼とてわかっているはずだ、今の自分が家族と再会したところで、元の関係に戻ることなど望めない、と。


 ペリアは彼に対して、少し冷めた声で言い放つ。




「別に私はランスロー様の選択を否定()しませんよ。フィーネちゃんやエリスちゃんがいなくなったら、そうなったかもしれません。同情だってします。でもそれ以上に、ハイメン帝国やモンスターの力に頼ったことを心から軽蔑します」


「だろうね、それが正しい考えだ」


「正しさなんて関係ありません。私がモンスターを憎んでいるからそう思うんです」


「あくまで、個人の意志だと……ああ、道理で強いわけだ。君は危ういほどに真っ直ぐだ」


「自覚はあります」




 別にペリアは正義や人道のために戦っているわけではない。


 そんなもののために命を懸けて戦えるのは、よほどの変人か狂人ぐらいのものだ。


 そこに己の欲望があるからこそ、ペリアたちの歩みは早い。




「そしてあなたは中途半端です」


「それなりに容赦ないつもりだったけど、そう思った理由を聞いてもいいかい?」


「ラティナ様たちと対峙したあなたが、そう簡単に小型コアを使用できるとは思えません。私の予想ですが、ランスロー様は複数のコアを持っていたんじゃないですか? それらをブラフで使ったからこそ、その肉体を手に入れられた」




 続けて、二人は言葉を交わす。


 ペリアは口元の血を手の甲で拭き立ち上がった。




「だとしたら?」


「スリーヴァがわざわざ複数個のコアをランスロー様に渡す必要はない。つまり、それは一緒に逃げてきた魔術師たち分だったんです。そして、あなたは部下に気づかれずにコアを埋め込む手段も持っていた。もし何体も同時にモンスターが現れていたら、私だけじゃ相手できません」


「なるほど、君が言いたいのは――」




 わずかに目を伏せるランスロー。


 構わずに、ペリアは言い切る。




「ええ、ランスロー様には迷いがあります」




 ランスローの竜の眼が、わずかに揺らぐ。




「だから迷いのない君には勝てないと?」


「負けるわけにはいきません、そんな半端で迷惑な人に」


「言ってくれるなぁ……まだ、僕だって力を出し切っちゃいないのに」




 ばさぁっ、とアジ・ダハーカが翼を展開する。


 両翼合わせて100メートルに達しようかというほどの大きさだ。


 紫で毒々しいその翼を羽ばたかせ、巨大な竜はふわりと飛び上がる。


 ゴーレムは両足で踏ん張ってその風に耐えた。


 もし重さが失われたままなら、そこらで吹き飛んでいる樹木と同じ運命をたどっていただろう。




「竜の力と風の魔術、この二つが合わされば、僕は到達できる! 人の手では届かない新たな領域へ!」




 空――それは人間にとって未知の世界だ。


 だが、ペリアは思う。


 決して手の届かぬ場所などではない、と。




「よし、冷却も十分。リミッター解除――さあ飛ぼう、ゴーレムちゃん!」




 機体冷却の完了を確認しリミッターを解除。


 加速装置を起動させ、ゴーレムは高くジャンプする。


 狙うはもちろん、ランスローだ。


 ペリアは一直線で相手に向かい、拳を握る。


 ランスローはそれに対して、防御せずにあえて手を伸ばした。


 まるでその手で触れることに何らかの意味があるかのように。


 ゴーレムは空中で再び脚部の術式を発動し、空を蹴って(・・・・・)軌道を変える。


 その頭上をかすめるように飛び、すれ違いざまの砲撃を放った。




「君ほどの人間が何と愚かな、竜に空中戦を挑むなどと!」


「今後のためにっ……ぐ、経験しておきたいんです!」




 空中での軌道変更は、ペリアの肉体に多大な負荷をかける。


 彼女はやっと止まった鼻血を再び流しながらも、それを止めようとはしなかった。




「僕を踏み台にするなどとッ!」




 真横を通り抜けるゴーレムに爪を振るうが、虚しく空を切る。


 その間に後ろに回ったペリアは、チャージストーンの魔力を解放してゴーレム・ブレイカーを放った。


 それを風をまとったランスローの尻尾が受け止める。




「私にとって、ランスロー様は通過点でなくてはならない! 踏まれてください、半端者らしくッ!」


「下手な挑発だな、その生意気さごと噛み砕いてみせよう!」




 互いの魔力がぶつかり合い、爆ぜる閃光。


 それはまるで花火のように、幾度となくマニングの町を照らした。




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― 新着の感想 ―
[良い点] ペリアさんは、コアと魔法の兵士を最初に発明した将来、多くのことを考えていたに違いありません! 見た目が戸惑っていたので、もっと早く見たかったのですが、これがねじれて戦いが変わるのが好きです…
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