フフフのフ
「ユーコ、思い切り転んでたが大丈夫か?頭を打ってないか?」
「うん…大丈夫…」
ちょっとじんじんしてるけど大丈夫そうかな…
顔を上げるとそこには知らない男性が。
あれ…この人ってあのゲームのベルモンドに似てるな。
「大丈夫ですか!?隊長!すごい音しましたけど!」
若い男の子が駆け寄ってきた。
「俺は大丈夫だが…ユーコが思い切り転んでしまってな。」
「隊長の奥さんがですか!?ユーコさん、大丈夫ですか!?」
「うん、大丈夫だよ。」
この子は…あのゲームのトーマにそっくりだ。
「いやぁ隊長に何かあったのかと心配しましたよ〜」
隊長にやたら近いトーマ。
「俺は何も問題ないぞ。それよりユーコの心配をしてやってくれ。」
仲良さそうに話す二人、距離が近いぞ!まぁそこがいいんですけどね、フフフ
いや待て、まずここはどこなんだ?
まさかゲームの中の世界?夢でも見てるのかな?
外の様子でも見てこよう…
窓から外の世界を覗いてみる。
そこには…なんて言うんだろうか、中世?な世界が広がっていた。
一見中世な雰囲気だけど何故か日本屋敷とかマンションとかあるし…
というかこれってゲームのスチルに使ったフリーの背景じゃん!
完全にゲームの世界だわ!
「どうしよう…」
と窓の外を覗いていると同じように驚いて窓の外を見てる子が…ってあれしーちゃん!?なっちゃん!?
外見は大人になってるけど雰囲気でわかる。
「ベルモンド!ちょっと外に出てくるね!」
「転んだばかりだが大丈夫なのか?」
「奥さん、無理しない方がいいですよ。」
止める二人を無視して慌てて家を飛び出した。
しーちゃんとなっちゃんも来て三人揃って緊急会議スタート。
「ねぇここってあのゲームの世界だよね?旦那が居てあの騎士団長ベルモンドだったし相手のトーマも居た。」
「うん…私にも旦那が居て…あのゲームの教師のマークスだった…生徒のシンジも居た…」
「ボクも一緒だったな、大工のジェラルドにそれと付き合う後輩のシンゴも居た。これって完全にあのゲームの世界だよ。」
どうやら皆同じ様子みたい、ひょっとしなくても…
「あの夢が…」
「現実に!」
「現実に…」
「現実化か…!」
やばい、超幸せなんですけど。
「あの二人をずっと眺めて居られるんだよね…」
「うん…幸せ…」
「そうだね…でもボクたちの奥さんっていう立場が問題じゃないか?」
どういう意味なんだろ?
「どういう…意味…?」
しーちゃんが聴いてくれた。
「だって奥さんって結局は男に旦那を取られて独り身になってそのあとは…」
「「あっ…」」
やばい、ゲームでは捨てられてその後とくに描かれることもなくバットエンド迎えると思ってた…
「このままだと旦那を寝取られて、この異世界で右も左もわからないまま独りぼっちに…?」
「「「それはマズイよ!」」」
皆家にダッシュし旦那の元へ、このままだと確かゲーム内では…
抱きつかれて頬を赤らめているベルモンドどベルモンドにギュッと抱きついてるトーマが居た。