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迷い子  作者: 竜胆
8/10

昼食会

両親を招いて昼食を一緒に摂る事にした瑠璃。少しずつ人間関係が変化します。

両親は30分もしない内に我が家に来てくれた。彼氏とみぃと私は玄関で両親を出迎えた。みぃを抱っこする私からみぃは身体を捩って降りて、みぃは母の足にすり寄っていた。母はみぃに「みぃちゃんおはよう」と声を掛けて撫でてあげていた。父は野菜を沢山入れた袋を両手に持ち、「おはよう」と私たちに言った。


みぃの餌を用意してあげると、みぃはグルグル鳴きながら食べていた。食べ終わってソファーのみぃのお気に入りの場所に寝転び、毛づくろいをしていた。

母と私が作った朝食を両親とみなで食べた。母が彼氏に「瑠璃が変わったのは誰のおかげでしょうね」と笑いながら彼氏の方を向いた。「私なら良いのですが、今のところみぃのおかげというのが優っているでしょうね」と、私にはよく分からない会話をしていた。父は私に「花木や果樹はいまが手入れ時だ。一緒にやるか」と言ってくれた。


後片付けをし終えて、私たちは昼食の買い出しをしに出掛けた。母から「ゆっくりでいいわよ」と見送られた。

彼氏の車に乗り、私は「少しドライブしようか」と言う彼氏の言葉に頷いた。「どこか行きたいところある?」と彼氏に聞かれて「あの公園に行きたい」と答えた。その公園は少し離れた場所を流れる川の河川敷にあるのだった。私が好んで行く公園だった。「車に釣竿載せているよ。瑠璃釣りをやってみる?もしかしたら、みぃが食べるかも知れないよ」と彼氏に言われた。私は「した事無いけどやってみる」と答えた。

釣竿を水面に垂らしてみたが、一向に釣れなかった。だけれど朝の空気や太陽の光、川のせせらぎの音に私の心は凪ぐのだった。

「楽しかった。そろそろ買い出しをしに行かなきゃ」と彼氏に言った。彼氏から「楽しかった?俺は瑠璃の楽しんでる表情をずっと見ていたよ」と言われて、私は居心地が悪い感じがして顔をしかめた。「瑠璃は変わって来ているよ」と彼氏から言われても私には、その私自身の変化が実感出来ないのだった。


私たちは家の近所まで戻って、車を商店街のパーキングに入れてから、目的の魚屋さんに立ち寄った。「みぃに白身魚を食べさせてみたいんだけど、食べるかな?」と私は彼氏に手作りの餌を白身魚をもちいて作る方法を調べた話をした。「ものの試しに作ってあげたらいいんじゃないの」と彼氏は面白がっていた。

みぃ用の白身魚の切り身は選び、次は私たちの昼飯用のお魚選びに移った。「何にしようか」と彼氏が聞いてきた。「両親は何が好きなのか分からないから困ってる」と私は困っていた。「お父さんはね鰤の照り焼き食べたい」と言っていたよ、と彼氏が言うので私は驚いた。「いつ聞いたの?」と私は彼氏を見上げて顔を凝視した。「ふふ、目が落ちそうになっているよ」とクスクスと笑われてしまった。

鰤の切り身を父の分と彼氏の分は二つにしようと思い、お店のおじちゃんに「鰤の切り身を六切れください。それと鯛のお刺身を一パック」と頼んだ。


私たちは商店街をゆっくり歩きながら、「季節の変わり目だね」、「お父さんに花木と果樹の手入れに必要な物を聞いておけばよかった」と二人で話しながらパーキングに停めた車に向かった。


家に帰るとみぃが玄関のたたきにいて、みぃは私を見上げてミィーミィー鳴きながら私の足に立ちかかり、よじ登って来た。「みぃ、ただいま。お昼ご飯買って来たよ」と私はみぃを抱き上げて話しかけた。彼氏は横で私たちの様子を微笑みながら見ていた。


「ただいま。遅くなってごめんね、みぃはどうしてた?」と私は両親に尋ねた。すると母が父に目配せをした。「みぃちゃんね、ずっと玄関から離れなかったのよ」と母が困り顔で言った。私は動揺してしまって、みぃを抱きしめた。みぃに「ごめんね」と声を掛けながら、みぃの目を覗きこんで、みぃの水色の目を私は一心に見つめた。両親と彼氏は私たちを見守っていた。母が「あの瑠璃がねぇ」と言っていた。「私がに調理するから、瑠璃はみぃちゃんの相手をしていなさいよ」と母が笑いながら私に言った。

父と彼氏は何やら私には理解が出来ない内容の話をしていた。


「みぃ、お腹も気持ちがいいねぇ」と私はみぃの全身を撫でてあげた。みぃは喉をゴロゴロ言わせながら、私の指を舐めて来た。「くすぐったいよ、みぃ」と私が笑うと、彼氏の視線が私に向いているのを感じた。私はみぃから目を離さないでみぃだけを見つめていた。内心ではひたすら彼氏の視線から逃げていた。


「さぁ、食べましょう」と母が居間にいる私たちに向かって言った。私はみぃのお昼ご飯を作っていない事を思い出して、「先に食べていてくれる?みぃのお昼ご飯を作らなきゃ」と言った。「すぐに出来るだろう?待つよ」と彼氏が言うのだった。私は居心地の悪さを感じつつも、みぃに調べたレシピの餌をなるべく早く作ろうとみなに背を向けた。

みぃは私が初めて作った鯛のお刺身を使った餌をがっつくように食べてしまった。満足してまた私の足に立ちかかり、よじ登って来たけれど、「みぃダメよ、私たちはお昼ご飯を食べるから、みぃはソファーの上で待っていなさい」と言って、居間のソファーの上にみぃを置いた。しばらくなでていたら、みぃは毛繕いを始めて寝てしまった。


「ごめんなさい、お待たせしました」と私は手を洗ってから食卓についた。「いいわよ、面白かったわ」と母が言った。それから皆で手を合わせて昼食を摂った。母が作った鰤の照り焼きは、身がふっくらとしていてとても美味しかった。彼氏はご飯をおかわりしていた。「みんなで食べるのってなんだかいいね。美味しいな」と私が言うと、母は一瞬顔を歪めた後に、私の顔を見つめてにっこりと笑った。父は私に「食べ終わったら、一緒に庭を見て回るか」と聞いて来た。「ありがとう。困っていたの」と私は答えた。彼氏は「後片付けは俺がします」と申し出てくれて、母は「その後にお茶を私たちは飲みましょう」と彼氏に言っていた。


庭を一通り見た父は「瑠璃、いい家を選んだな。花木も果樹も良いものばかりだぞ」と、父は表情を緩めていた。「でも手入れの仕方が分からないの。お父さん、教えてくれる?」と私は父に頼んだ。「瑠璃は私を手伝いながら覚えて行けばいい。植物も生きているという事を学びなさい」と私に言った。「ありがとう」と私が言うと父はまた表情を緩めた。


「二人とも、手を洗ってからお茶を飲みなさいよ。準備して待っていたのよ」と母が笑いながら私たちに言った。

「この前に頂いたお菓子を一緒に食べようと思って持って来たのよ」と母が、彼氏が母にこの前渡したお菓子の詰め合わせの箱を開けていた。「私たち二人じゃ食べきれないし、瑠璃がさっき言ったようにみんなで食べるともっと美味しいわよ」と母は冗談めかして言った。

彼氏が母に選んだお菓子の詰め合わせはみな美味しそうで、私は選びきれないでいた。「瑠璃、二つ選んで。それを半分こして食べよう」と彼氏が私に提案して来た。私は頷いて真剣にお菓子たちを見比べて二つのお菓子を選んだ。「この二つ」と彼氏に言うと彼氏はにっこりと笑ってくれて私は嬉しくなった。両親も優しい目をして私たちの様子を見てくれていた。


お茶を飲んでしばらくしてから、両親は帰って言った。帰り際に父が彼氏に何か語り掛けていた。気にはなったが、彼氏に内容は聞かなかった。


みぃはソファーのお気に入りの場所で眠っていた。「みぃは良く寝るね。まだ子猫だから?」と私は彼氏に聞いた。「どうだろうね、耳がさっきから動いているから、寝たふりかも知れないよ」と彼氏に言われて私はギョッとしてみぃを見つめた。彼氏は笑っていた。抓ろうとしたら、彼氏は身をよじって逃げてしまった。私はふくれっ面をして彼氏を睨んだ。

みぃを撫でているうちに、私もソファーで寝てしまっていた。彼氏がブランケットを私たちに掛けてくれていた。

私は起きて彼氏の姿を探したが彼氏は家に居なかった。




みぃの彼氏に対する態度は変わりませんでした。

まだ続きます。よろしくお願いいたしますm(_ _)m

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