プロローグ
「なんであの人を選んだの?、おじいちゃん。」
「お前には悪いが、あの子しか私の周りにいなかったんだよ。」
「ふーん。まぁ、私の力不足でもあるのか。で、お願いしたいことって?」
「約1年、向こうで暮らして欲しいんだ。」
「ええ〜、やだよ。」
「お願いだ、頼むよ。」
「それでおじいちゃんの計画とやらが成功するの?」
「ああ、大事な任務だ。」
「本当に1年だけ?」
「約束する。1年だけだ。」
「失敗して、一生あっちでってならないでよね?」
「ならない。そもそも失敗はありえんよ。」
「じゃあいいわ。いつから向こうで暮らせばいいの?」
「今年は何年だ?」
「もぉ、しっかりして?今年は2019年。」
「2019年か〜、じゃあ今年の8月5日からだな。」
「もうすぐじゃないの!」
「ああ、ほんとだ。」
「そうゆう大事な日程は早めに言うものでしょ!」
「ははは、すまんすまん。」
「で?その日には準備は出来てる状態になんの?」
「ああバッチリだ。多分。」
「多分じゃダメでしょ!?」
「ははは、冗談冗談。私の力を信じなさい。」
「信じれるものですか、失敗ばっかり。」
「今回は本気を出さなきゃだしな。」
「毎回本気出しなさいよ。」
「あんなのは本気を出す必要はない。」
「そんなんだから政府からの依頼が来なくなったのよ。」
「ああ政府ってあれか。勘違いしてるぞ。あれは政治家だ。」
「政治家も政府も違いはそんなにないでしょ。大きな仕事に代わりないんだから。」
「あいつらは欲の塊だよ。与えられた仕事も全部『不倫をなかったことにしてくれ』だの、『汚職事件の矛先をあいつにしろ』だので参っちゃうわけさ。」
「そうだったの。確かに本気で取り組むような内容じゃないわね。」
「だから全員もっとひどい結果になるようにした。」
「だからか。依頼人全員辞職したもんね。」
「自分が悪いってことをわからせにゃいかん。」
「そうね。」
「じゃあとりあえずよろしく頼むぞ。」
「何が?」
「任務だよ。さっきまで話してた。しらばっくれようとしたってダメだからな。」
「はいはい、わかりました。日にちは…。」
「2019年8月5日だ。」
カウントダウンが始まる...。