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紳士淑女の諸君。今。俺が何処にいるかわかるかね?ハイッハズレ!そこじゃない!
聞いて驚け。俺、今、もこちゃんの中にいます!
驚いた?驚いた?俺も驚いた…何コレ、イリュージョン?でも順応性に優れてる俺はすぐ慣れた。俺の相棒すごい!大きくなることもできるなんて…しかも中、もっこもこ!もっこもこよ!もこちゃんの名は伊達じゃない!
ちょっと身動きとりにくいけど無問題。俺が右に行きたいな~って思うと右に、左に行きたいな~って思うと左に行ってくれる。意思の疎通バッチリだ。大体黒と白の境界線をふよふよとしてるだけだけど。そう、黒と白。最初は真っ黒か真っ白だったんだけど、今ではかっきりくっきり分かれている。
黒はイヤだ。寒くて痛くて何より怖い。
白もイヤだ。明るくて柔らかくて…でも怖い。
混じれば灰色になるのに混じらない。
そんな時はご主人のカッコいい言葉を思い出す。チョーカッコいいからって惚れちゃダメだよ!火傷するよ!Ⅲ度熱傷よ!
「怖いなら逃げろ。逃げたくねぇなら立ち向かえ。その術は教えてやる。お前を傷つけようとする奴に容赦はいらねぇ、それが俺でもだ。お前はお前を守るためにお前が出来る最善を尽くせ」
ね、ね、俺のご主人カッコいいこと言うでしょ?この後、もっとカッコいいこと言ってたんだけど忘れちゃった。でもこんなカッコいいこと言ってるのに性格は悪いんだぜぇ~…ワイルあ、小もこちゃん出てきた。
この小もこちゃんは時々現れる通常サイズのもこちゃんなんだけど、大きいもこちゃんの中にいるから小もこちゃん。頭にお花を飾ったお花小もこちゃんいる。これはレアキャラで2回しか見てない。
そして小もこちゃんは俺の口ん中に飴ちゃんを入れてくる。大体美味しい飴ちゃんなんだけど、たまに苦い飴ちゃんを入れる。ものっっっすごい苦いの、ポール爺の薬くらい苦いのをペッてしても入れてくる。何度ペッてしても何度も入れてくる。俺が食べるまで入れてくる。悪戯っ子め。今回の飴ちゃんは桃味。ウマです。
ただ一つ不満なのが、小もこちゃんは恥ずかしがり屋さんで俺が飴ちゃん食べるとすぐ消えちゃう。たまに俺の手をツンツンしてくるけど、捕まえようとしても手も思うように動かないから捕まえられない。最近ではこの小もこちゃんの捕獲が俺の任務となりつつある。身体は動かせないけど、ふよふよと漂うもこちゃんの中ではする事がないので、もっぱら手を動かして、やっとグーパーができるようになっているのだ。あとはどれだけ素早く動かせるかだ。今の小もこちゃんは俺に飴ちゃん入れたらすぐ消えちゃったけど、手をツンツンしてきたら必ず捕獲する!
フンフンと両手でグーパーの特訓する。最初は右手だけだったんだけど、左手をツンツンされて捕まえられず涙を飲んだ事があったからだ。同じ失敗をしないのが俺よ。あっ!レアキャラ・お花小もこちゃんが現れた!
左手の平をツンしてきた!今だ!唸れ!俺の手!
パーの手をグーにしたら、お花小もこちゃんの手をぎゅう~って掴めた!
とったどー!
意外と弾力と固さのあるお花小もこちゃんの手をにぎにぎしてたら、おや?お花小もこちゃんのようすが…
もこもことお花小もこちゃんに瘤ができたと思ったら、そこが小もこちゃんになった!増殖!
右見ても小もこちゃん、左見ても小もこちゃん、小もこちゃん達は俺の周りを囲んでワッショイワッショイと踊り始めた。きゃわわ!可愛いは正義です。ほんとにどうもry
小もこちゃん達に合わせて動けないなりに俺もワッショイワッショイしてたら、お花小もこちゃんが俺の口に飴ちゃんを入れた。
に・が・いっ!!
チョー苦い。今までの飴ちゃんも苦かったけど、遥かに上回る苦さだ。今ならきっとポール爺の薬を甘いと思う。
ペッてした、ペペッてした。案の定また入れてきたけど。
苦いっ苦いっ苦いっ苦いっ苦いっ…苦いってば!
ブホッてなった。吹き出した飴ちゃんがお花小もこちゃんの頭に当たったら、そこがドロって溶けた。ナニソレコワイ。今まで楽しそうに踊ってた小もこちゃん達も溶けた。薬草の匂いがする茶色だか緑色だかわからないドロドロのゲル状になって、お花小もこちゃんがそれを掬うとでっかい飴ちゃんになって…いやいやいやいやいや、突っ込みが追い付かないよ?嫌な予感しかしないよ?恥ずかしがり屋さんは何処いっちゃったの?その飴ちゃん絶対苦いよね?もう匂いから苦いよ?口に押し付けないで!苦いから!ホントに苦いから!ちょっと舐めてみて、舌痺れるくらい苦いから!
苦いっていってるでしょ!
お花小もこちゃんの額をぺちんと叩く。今まで動かなかった腕が動いた。余りの苦さに動いた。
おぉ~と思ってたらお花小もこちゃんの額にピって筋が入った。かと思ったら左右に2つに割れた。キレイにパッカーンって。
中からご主人出てきた。
おぉ~と思ってたらご主人の顔が近づいてきて、すっごい近づいてきて、口がくっついた途端ドロッとした苦いの入れてきた。
ご主人もかっ!
俺は俺を守るため、容赦なくご主人の手をぺちんと叩いた。




