表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ある小間使いの独白  作者: 七転び
22/35

〜真実一路編〜 1/8

なんて清々しい朝だ…太陽が黄色いけど。


結局、変態部下のよく判らない“もえばなし”を夜が明けるまで聞かされた。所々で変態殿下が喰ってかかって、ご主人曰く不毛なディベードに展開、最後には二人は泣きながら握手してた。夕日をバックに喧嘩して「やるなお前」「お前こそ」を想像してほしい。そこまで爽やかじゃない。残念です。

更に残念な事が二つある。一つが拘置所には戻れないって事。そりゃそうだ、無罪放免だもの。さよなら拘置所ライフ。最高の日々だった…ご飯は本気で不味かったけど。

もう一つがご主人の退官。ご主人は性格は悪いけど優秀で、それに変わる人材はなかなかいない。退官はこの騒動の幕引きのため貴族院が出した駆け引きの一環で、ほとぼりが冷めたら恩着せがましく復職させる腹づもりなのがバレバレ。

「爺様から数えて在任30年だ。もういいだろ」とご主人、爵位を返上した。これで復職どころか宮仕えもできません。意趣返しもあるけど最初から辞める気満々でした。じゃぁなんで残念なのかって?退職金が出ない。残念だ。ヒジョーに残念だ。でももこちゃんの中に為替手形がある。再就職まで凌げるので無問題。

とまぁ、多少の想定外や紆余曲折はあったものの「ご主人お迎え大作戦改め、ご主人救出大作戦 with 変態殿下 〜spcial thanks 変態部下&軍部〜(作戦名確定。その内コードネーム考えよう)」はご主人が無罪放免という最高の結末を迎えた。立案者は表彰されていいと思う。俺の事な。


そして俺とご主人は変態殿下が用立ててくれた馬車(王家の紋章付!)で、意気揚々とお屋敷へ帰ったのであった。めでたしめでた…あ、爵位返上したからお屋敷は閉門されたままだ。どっかの宿にでも向かってるのかな?さっそくもこちゃんの中に為替手形の出番…あ、両替商の開店は正午からだ。

暫定無一文。

…こうなったら仕方がない。正午まで城下を徘徊してもらおう。ダメならこの座り心地抜群のクッションをうっかり持ち出そう、そしてしっかり売り払おう。宿賃になる。クッションをがっちり抱きしめた俺に、近年稀に見る真剣な顔つきなご主人が、離宮での事は忘れろと言ってきた。

忘れろって、なかった事にするの?せっかくの王家との繋がりを?もったない。宮仕えをしないにしても「王家のコネ」って履歴書の資格欄に書いとけば、いい条件で雇用されるのに。あ、それとも事業興すん…ここかっ!飴ちゃん屋さんフラグ回収場所!だったら余計繋がっておきましょう!王家御用達にしましょう!今だったら俺が1週間くらい小姓になれば、変態殿下はホイホイ言う事きいてくれそうだし。今から悪口考えておけば、口が曲がるから言っちゃいけませんよって言ってた言葉言わないで済む。こないだはすっごいヤだったけど変態殿下が絶対ご主人助けるからって言うから、我慢していっぱい言っちゃったけど…口曲がってる?ところでご主人「この豚野郎」って悪口、俺どうも納得できない。もこちゃんこんなに可愛いのに。


いつの間にかご主人に可哀想な子を見る目で見られてた。デジャブ。


どうやらご主人は俺が変態殿下にセクハラをされたと思ってたらしい。でも言いたくない悪口言わされて、ヤな思いしたから立派なセクハラだと思う。待てよ、立場を利用して嫌な事させられたから寧ろパワハラ?我慢させられたからモラハラな可能性も…ご主人はどう思う?ってかどんなセクハラされたとおも…ちょっ、痛い痛いっ米神グリグリやめて!

どんなセクハラをされたと思っていたかは(かたく)なに教えてくれなかったけど、きっとすっごいセクハラを想像したんだと思う。なんか、こう…すっごいの。でなきゃ諸々の面倒事を変態殿下に押し付けない。ご主人の言う面倒事ってホントに面倒事だ。解決策あるのかってレベルの。…頑張れ変態殿下。


米神の痛みが和らいだ頃、そこそこ豪華なお屋敷に馬車は入った。(おとな)いを入れていたのか王家の紋章の威力か、待たされる事なく門扉が開き、飛び出してきたのはクレアちゃん。って事はパツキン家か。真っすぐここに来たって事はパツキンは裏事情を知ってたんだな。すまんパツキン。ご主人を見捨てたと思ってた。希少なご友人に俺はなんて事を…確定しているから作戦名に入れられないけど、コードネームに必ず“金”って入れるから勘弁な。

玄関から出てきたパツキンがヨレヨレのご主人見て腹抱えて大笑いしてて、ご主人とクレアちゃんに虫けらを見る目で見られてスライディング土下座してて…あぁパツキンだなぁって、ボーッとしてたらクレアちゃんがそっと手を握ってきた。「おかえりなさい」の声がちょっと震えてた。


…土下座したまま睨むなパツキン。せっかくのいい話が台無しだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ