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そもそも変態殿下にとって、俺はたまたま目に止まっただけの飽きたらポイの価値しかない。その程度の価値しかない俺がやっとの思いで漕ぎ着けた「取り引き」をなかった事にするなんて…ご主人は鬼かっ。
変態殿下も変態殿下だ。ちょっとご主人にやり込められたぐらいで、自分で言い出した条件引っ込めるなんて…そりゃ二人の会話を聞いてた変態殿下の供の人と案内してくれた看守の人は硬直してたけど。蒼褪める通り越して顔色土気色だったけど。途中で飽きた俺は手に力を込めたり抜いたりして、耳をほわんほわんさせてたから、何を話してたか最後の方は聞いてなかったけど。
でも俺はご主人に文句なんて言わない。だって今のご主人、菩薩顔。
説明しよう!普段、無表情と思われがちなご主人だが、感情がはっきりと顔にでるタイプだ。特に人様をおちょくる時の笑顔は清々しい程の悪人顔。だがしかし!一度怒ると表情が削げ落ちて能面みたいになる。これ第一形態。そしてその怒りが頂点に達するとうっそりとした笑みを口元に湛えるアルカイックスマイルの第二形態となるのだ!まだ誰も見た事がないが第三形態もある。最終形態ではご主人に角と羽根が生えると思う。黒いヤツな。ヤダ…カッコイイ。
ご主人の頭と背中みてたけど、角も羽根も生えてこなかったから寝る事にした。ここ暫くちゃんと寝てなかったのでご主人の膝を枕にしたら、ご主人が背中をポンポンしちゃってくれるからこれはもう寝るしかない。おやすみなさい…
「馬鹿だなお前は…」
眠りに落ちる寸前、ご主人の漏らした言葉を俺は聞き…
(`ФωФ')カッ
逃さなかった。
ちょっとご主人!そこに座りなさい!座ってる?じゃあ聞きなさい!バカとはなんですかっバカとは!ここにもこちゃんがいます。もこちゃんの中には飴ちゃん以外に、どこでも換金可能な為替手形が入ってます。山吹色の菓子も金塊もその他諸々貰った金品を、ちゃんと鑑識して両替商に持って行ったからです!バカにできますか?できるんですかバカに!ご主人が教えた事でしょ!俺がバカならご主人もバカって事です!ご主人バカなんですか?バカじゃないでしょ!……判ればいいんです。判れば。じゃあもこちゃんあげます。ご主人一文無しだし。え?ポール爺達?知らない。皆逃げちゃったし、屋敷?閉門されてるってハル様言ってた…とにかく俺、も一度作戦練り直しますから今度は邪魔しちゃダメですからね、バカじゃないんだから。根に持ちます!当たり前です!「取り引き」のために変態殿下にいっぱいヤな事させられたの我慢したのに!俺の我慢を返せっバカ-!
言い切った直後、背中がゾワッとした。何?と思ってご主人の顔見たら般若だった。ホントに鬼だった。アカンこれヤバいヤツ…誰も見た事がない幻の第三形態だ。バカバカ言い過ぎた。すっごい痛い拳固が来ると思って身構えたけど「待ってろ」と言い捨てて、ご主人は部屋を出て行った。
え?閉じ込められてんじゃなかったの?あれ?出入り自由?




