第八話 遭遇 後編
「んっ...」
気がつくとそこはまだ森だった。
どうやら盗賊たちはここで休憩しているようだ。
隣にマイカもいる。
まだ気絶しているけど意識はあるみたいだ。
さあ、お仕置きの時間だ。
「お?おい兄貴!ガキが目覚めやがった。」
「縄で縛ってあるんだ。抜け出せるわけがねぇ。気にするな。」
「そうっすよね。妙な真似はするなよな。」
盗賊たちは警戒しているが、縄があることで安心してるみたいだ。
なら、後ろを向いている間に、
「召還『小さな刀』」
短いナイフを取り出し、縄をばれないように切る。
よし、あいつらにはおれらを怯えさせた
その罪を償わせる。
「召還!『化血神刀』」
この刀は毒を使って鍛えた刃を持つ剣。
生身の人間に使えば......即死する。
「あのガキ!なにしようとしてる!」
盗賊たちが気づいたようだ。
もう遅いよ。
「君たちは俺を敵にした。それが敗因だ。」
『化血神刀』はもともと中国の刀。
化には「かわる」以外に「わざわい」「魔法」という意味もあり、そのような神刀、又は不思議な剣と言われている。
どこに逃げたって、隠れたって無駄だ。
「切り裂け」
盗賊たちは一瞬にして肉塊に変わる。
辺り一面に血が広がる。
生き残っていても毒で苦しむ。
これで終わりだ。
.......それにしてもすごい疲れた。
いきなり記憶が戻ったこともあるだろう。
すこし、休む...か...
眠気が強い....
視界が暗転する。
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気がつくとそこは見慣れた天井
見下ろしている仲間たち。
「あれ……」
「おっ起きたか。あんま心配かけるなよな。」
ルークがニヤニヤしている。
なにか面白いことでもあったのだろうか。
「それと、お幸せにっと」
えっ……どういう意味だ?
扉が開く。だれかが入ってきたみたいだ。
「カズマ……」
向こうに誰かいる。
あっ!マイカだ。
「あっあの......ごめんなさい。危険なところにつれていってしまって。」
「別に大丈夫だよ。それより、ケガはなかった?」
「えっ?あっ!うん。大丈夫...」
よかった。安心した。
記憶が少し戻らなかったらやばかったかもしれない。
あのときであったひと...誰だったかな...
思い出せない。
だが、今回で違和感が増えた。
俺は誰かが死んだところを見たことがあるのか?
焦っていたのもあるが冷静に対処できた。
耐性ができたみたいに...
そこも考えるべきか...
「あの...カズマくん?」
「えっ!おっおう。どうした?」
「私、最近夢に出たことが現実になるの。」
夢で見たことが現実に...
「それで、あの場所にいったら幸せになってる夢を見たの。だから、あの場所に...」
まあ、必ずそうなるわけではないのだろう。あくまで予知夢的な感じか?
「でも、当たってた......」
「ん?幸せなことってあったか?」
「ひみつだよ....」
顔を赤らめ、恥ずかしそうにしているマイカがそこにはいた。