第七話 遭遇 前編
お詫びのつもりで投稿
前編です。
後編は明日投稿予定
お楽しみに。
---とある場所----
「彼もこの世界に馴染めたようだね。」
テオトルは安心したように紅茶を飲む。
「うん、美味しい。やっぱり紅茶が一番だよ。コトネと仲良くしていてよかった。だが、カズマは大丈夫か?そろそろ記憶を戻してもいいのかもしれないけど……」
彼にまだ壊れてもらうわけにはいかない。
この世界の管理者として彼にはやってもらうことがたくさんある。
何かきっかけがあればいいんだが……
何か無いかな……
ちょっと覗いてみようかな……
そのための準備もしなくては
「頼んだよ。綱手一馬くん」
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剣術を習うため、体力作りを初めてから半年経過した。
特に何も起こらず、静かに暮らしていたので時間の流れがはやく感じる。
「カズマ、掃除当番忘れてるぞ。」
「あっわりぃ。すぐやるわ」
ルークに言われ、俺は掃除用具をとりにいく。
掃除当番が決められ、俺も仲間の中に入ることができたようだ。
「カズマ!忘れてたんでしょう!全くもう…はやくやりなさいよね!」
「すまん、シア。今からやるって…」
「カズマと一緒の担当なんだからやるのは当たり前!さあ、やるわよ」
俺は部屋を掃除する 。
掃除を終え、もうすぐ夕食時だ。
みんな楽しみに待っている。
「あら?薪の数が足りないわ。」
リリィ先生が集めておくのを忘れていたようだ。
薪は裏の森の木を使っている。
そこにいけばいいのだが夜になるとモンスターがたまに湧くのだ。
なので子供達だけで入ることは禁止されている。
魔物は人を襲う。
これはこの世界での常識だ。
だから、子供だけで入ろうともしない。
だが……
「私がとってきます。」
手をあげたのはマイカだった。
「いけません。子供だけであの森にいくことは禁止のはずでしょ?」
「大丈夫……」
「ダメです。みんなも行ってはいけませんよ」
リリィ先生は周りにも注意をする。当然といえばそうだ。
そんな時フィー先生は反対の意見を出したのだ。
「いいじゃないか。魔物を直で見ないとわからない怖さもあるだろう。ましては、君たちはあまり外の世界を知らない。いい経験になるんじゃ無いか?」
「ちょっと、施設長!なにを言って…」
「先生ならわかってくれると思った……」
それを聞いた後、マイカは準備を始めてしまった。
「カズマ、マイカについて行ってあげなさい。ついでに君の力もみたい。」
なにか企んでいるようだ。まあ、のるしかないか…
「わかりました。」
「はぁ…わかりました。なにか考えがあってのことだと思いますので、気をつけて行ってください。くれぐれも無茶はしないでくれますか?」
「「了解です。」」
こうして森に出かけることにした。
森は以外と広い。
奥の方に行くと神秘的な場所に出るらしいがさすがに遠い。
「足手まといならついてこないでよね?……」
注意される。
なにか嫌われることでもしただろうか?
とりあえずついていくことにする。
足場は悪い。
ガタガタしているし、木が行く手をはばんでるなんてことはたくさんある。
だが、手前のところで薪を集めればいいのにマイカはどんどん奥へと進んでる。
「どこまで行くの?」
「この先……なにかが見えたの」
何をみたのだろうか
マイカはあたりを見渡している。
別に何も無いよな?
モンスターの気配もない。
「大丈夫だよな?まあ、進むか」
もう少し奥に進んだ。
するとガサゴソと音がしていた。
俺は焦って茂みに隠れる。
マイカもなにかに気がついたようで辺りを見渡している。
すると何か声が聞こえてきた。
誰かいるようだ。
「この先にいるらしいぜ。」
「あれだろ、貴族の隠し子だろ?」
「そうそう、そいつ使って脅せば金が入るだろ?」
クソみたいな会話が聞こえてくる。
だが、おかしい。この森は奥まで町なんかに繋がってなんていない。どこから来たんだ?
「どうする?マイカ?」
声をかけようとしたが、マイカの手は震えていた。
あの盗賊に怯えるように顔も青くなっていき…息も荒くなっている。
「わたしを…狙ってるの………嫌だ……」
「おい、大丈夫か?」
このままだとやばい。
この場所から動けないとなると見つかる可能性がたかい。
かといって戦う力があるわけでは無い。
剣術はまだ習っていない。
ここ半年は体力作りしかしていない……
能力もよくわかっていない。
ここは不意打ちをして倒すしかないのか……
そう考えていた時
マイカが盗賊に向けて魔法を放っていた。
「消えなさい!『炎の火球』!!」
手のひらから火球が飛び出す。
勢いよくでたその技は盗賊の1人に直撃する。
だが、あまり効いていないようだ。
盗賊の1人が倒れるが、すぐ立ち上がる。
「くっ…誰だ!こんなへっぽこ魔法を放った野郎は!」
「兄貴!このガキです!くそ、捕まえて奴隷にでも売り飛ばしてやる。」
盗賊の手がマイカに近ずく。
マイカは怯えていて動けず泣いていた。
非常にまずい状況だ……。
俺も盗賊の後ろから体当たりをする。
だが、10歳そこらの子供が大人を倒せるわけがなかった。
「まだ、ガキがいやがったのか!ふん、そんなんで倒せると思ったのか…」
「男ならいい金になりますね。貴族のガキなんて無視してこの2人を売っちまいましょうよ。」
「それもいいな」
俺らはなにか固いもので殴られ気絶した。
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「おっ気絶してくれたのか?ちょうどよかった!」
だれかの声がする。
でも、聞いたことがあるような声だ。
「君に一部記憶を返そう。だが、一部だ。まだ、君は強くない。もう少ししたらまたかえしてあげる。」
「おまえがおれから記憶を?」
「そうだよ?まあ、理由はあるんだけどね。そんなのはいいよ。」
俺は迷いなんてなく、答える。
「わかった。」
「知識は充分。技術は......まだまだみたいだけど、これから伸びるか。なら君に名前と君の好きだったものを返そう。これで守れるよね?」
なにかが俺に返ってくる。
そうか...
これなら勝てる。
確信が持てるくらい勝利しかみえなくなった。