第十一話 仲間たちの1日
「あの……」
「はい?マイカさんどうしましたか?」
この日、マイカはリリィ先生を訪ねていた。
「魔法を教えて欲しいの……」
「魔法ですか……でも、マイカさんなら初級くらいは使えましたよね?」
魔法にはレベルが存在する。
初級、中級、上級、聖級
この四つに分類されるが、人間が使えるのはせいぜい中級までだ。
これ以上の魔法が使いたいなら杖や媒体となるものを消費しなくてはいけない。
「もっと使えるように……守られるだけじゃなくて、隣に立ちたい。」
「隣……それはカズマくんですか?」
マイカの顔が赤くなる。
言われるとは思ってなかったのだろうか、当然この施設のメンバー…特にあのクラスの仲間はほとんど知っている。だが、マイカは否定する。
「ちっ…違います……」
「別に隠さなくてもいいですよ。若いっていいですね…私もまだ若いけど…」
今年21だが…まだ大丈夫。
「それなら、魔法専門の学校に行きますか?シアさんやロイドくんも行きますし、どうですか?」
答えは決まっている。
「はい…」
静かに頷いた。
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シアは他の孤児院のメンバーと遊んでいた。
彼女は人間ではなく『獣王族』その兎族に属している。
なので、他の獣族と仲がいい。
虎族や狼族は他種族と群れるのを嫌うらしいが他の獣王族のメンバーは気にしてはいない。
「こうやってみんな仲良くやれればいいのに……」
そんなことを呟くシアだった。
そんな彼女をいま見つめる人物がいる。
デアトリウス……デアだ。
彼は人間だが、彼女に恋をしている。
昔いじめられていたところを助けられ、叱られたことが理由らしい。
それ以来、人よりたくさん食ってはやく成長しようと頑張ってることは裏の話だ。
「ああ、なにかたすけられないかなぁ……」
特に何も思いつかず、見つめているだけでその日は終わったらしい。
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ロイドは弓を構える。
泣き虫な彼だが、弓を握ると人が変わったように気迫がにじみ出る。
「矢は己の魂。1矢の軌跡を予測しろ」
そう言って放つ矢は的のど真ん中に吸い込まれていく。
「ふぅ…今日も調子いいな!」
汗を拭い、矢を片付け始める。
そこに一匹の小型魔物が迷い込んでくる。
『ケルビム』というシカの魔物だ。
比較的大人しく、あまり襲っても来ない。
「まっ…ままままま魔物だぁぁぁあああああ」
ロイドは一目散に逃げて行った。
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ファウカーは寝ている。
基本彼が起きている方が珍しい。
授業中ですら寝ている姿があるくらいだ。
こうして彼は夢を見ている。
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ルークは剣術の稽古をしていた。
理由はもちろんカズマに勝つためだ。
その太刀筋は見事と言わざるを得ないほど美しかった。
「君には譲れないよ。剣術の腕も、彼女も」
次回は明日投稿予定




