第0章 0-01話 綺麗な景色は死の香り
初投稿です。
よろしくお願いします。
月曜日、それは憂鬱な週のはじまり。だいたいの人はそう思う日の朝。
そして、それは四季家の四季セツナにも例外ではない。なぜかというと、日曜日の夜は録り貯めたアニメを見るために深夜まで起きているため月曜日の朝はもの凄く眠いのである。
「お兄ちゃーん、朝だよー。学校遅れちゃうよー。」
「ん~、あと3時間・・・」
そんな朝妹に起こされるもお決まりの文句で起きるのを拒否しようと布団の中でもぞもぞしていると
「長い!寝るな!寝たら死ぬぞ!」
そんなことを言いながらノリの良い妹に布団がとられる。今日は雪が降っていて布団から出るのも辛いが、もう布団の中という幸せな空間は取られてしまった。
「寒っ!寒い寒い寒い!こんな寒い日にそれはやっちゃいかんことだぞ!そんな風に育てた覚えはないぞ。」
「もう、またそんな事言って。私はお兄ちゃんを見て育ったよ。昨日の朝もだいたい同じこと言って一緒にプリ○ュア見たでしょ!」
「それもそうか。」
毎度のやりとりをしながら起きる。カーテンを開けると雪が積っていて車のタイヤの2本のラインと踏み固められた歩道が見えた。
「うわ~。今日風邪引いたことにして学校お休みにしない?今日はだめだ、外に出ると死ぬような気がする。」
「だ~め!今日授業で大事な小テストがあるって言ってたでしょ。成績に関係するからってちゃんと勉強したんだから。」
そうだったと思いながら溜息を吐き学校の準備を始めるセツナ。顔を洗い、寝癖を直し、歯を磨いてリビングに行くと母と妹が朝食を食べていた。
「おはよう、セツナ。早く朝食食べて早めに家を出たほうがいいわよ。雪降ってるからいつもより登校に時間掛かっちゃうから。」
「おはよう、母さん。それもそうだね。ちゃっちゃと食べて学校に行くよ。」
「そうだよお兄ちゃん。今日は早く出たほうがいいよ。私はもう行くからね。あと今日はカメラは学校に行くまで出さないほうがいいよ。危ないからね。それじゃ、いってきます。」
「あぁできるだけそうする。絶対とは言えないけどな!いってらっしゃい。」
セツナの趣味は今は写真を撮ることだ。最初はコンパクトデジカメを使っていたが今はフィルム式の一眼レフ[PENTAX Mz-3]を使っている。それもまだ買って1週間だ。なのでまだカメラをいじるのが楽しくて仕方ない。
「ごちそうさま。母さん俺ももう学校行くよ。遅刻はしたくないしね。」
「お粗末様。雪道に気を付けて行くのよ。いってらっしゃい。」
「転んでせっかく買ったカメラを壊さないようにするよw」
「怪我にも気を付けるのよ。」
「それも気を付けるよ。んじゃ行ってきまーす。」
家を出るときには雪が止んでいた。ラッキーと思いながら高校に向かう。高校は家から近いからと選んだ。偏差値は平均より少し上くらいで普通科と外国語科と芸術科があってセツナは普通科3年生だ。しばらく歩いているとまた雪が降り始めたかと思うと雲の間から日差しが差した。こんな天気もあるんだなと思い急いで鞄からカメラを取り出してファインダーを覗く。キレイだなと思いシャッターを押す瞬間。
「「「キキーッ!!!」」」
「「「「「ドンッ!!!!!!」」」」」
あれ?なんだこれ?なにが起きた?いい写真が撮れたと思ったら車にひかれた?あれ?俺シャッター押せた?というか死ぬ?あぁー、やばい。痛いとか全然感じないが身体が動かん。カメラ買ったばっかりなのになー。あの世にカメラ持って行けないかなー。ってか朝に妹に死ぬとか冗談で言っちゃったなー。気にしなければいいけど。あいつ優しいからなー。母さんにも気を付けろって言われてたなー。あ、意識保ってらんなくなってきた。やばいな。これが[死]ってやつか。最後になんかできねーかな。そうだ、シャッター押そう。
「カシャッ」
最後の力を振り絞ってシャッターを押す。その時間は車にひかれるまで1秒も経っていなかった。
四季セツナ
車にひかれて
即死。