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エギュンー8ー
ーー貴方には知る義務があるーー
ーー死ぬのも、戦うのも、それからでも遅くないーー
(俺に戦えというのか…無力な俺に…)
ーーウィル、来るんじゃない!ーー
ーー早く逃げて!貴方だけでもーー
ーー父上!母上!ーー
ーー……貴方がアルを守って…ーー
ーー父上!!母上!!ーー
ーーチクショウ、チクショウ!何で!?こんな時に俺の言うことを聞かないんだ!?ーー
ーーおやおや。【神に選ばれた存在】と言われても所詮はただのガキですねーー
ーー殺してやる…殺してやる…ーー
「………子?ウィル王子?」
「えっ?」
「大丈夫?顔色が悪いようだけど」
「あぁ…何でもない…」
「この先が研究室よ」
気づけば廊下に何人もの兵が横たわっていた。
「っ……」
ウィルを口元を押さえた。
「王子?」
「………」
ウィルは【あの日】を思い出していた。
あの日の景色と、今見えている景色が重なって見えた。
「先を急ぎましょう」
倒れている兵士を跨ぎながら研究室に向かう以外、道はない。
ウィルは大きく息を吐いてからその先へと進んだ。