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Devil Slave  作者: をと
エギュン
8/42

エギュンー7ー

ーーー数分前に遡るーーー




「人を不幸にする…?お前に俺たちの何が分かる」


ディテはガッカリした顔で大きなため息をついた。


「バルク、先にモーガンたちと合流して爆弾の設置に向かって」


ディテはバルクを睨んで「早く行って」というと、バルクは冷や汗を流しながら苦笑いし、そそくさとどこかに向かっていった。



「ごめんなさい。彼は感情的になり過ぎることがあるの」


「わざわざ嫌味を言いに来たのか?もういい、放っておいてくれ」



女の兵士は去るどころか、その場に座り話を続けた。



「この研究所で何が行われているのか知ってる?」


「いや…」


「悪魔との契約の自由化。つまり貴方たち一族以外にも悪魔との契約を可能にさせる実験」


「は?あり得ない。そもそも悪魔は俺たち王族だけが悪魔と契約できるんだ。血族でない者が悪魔を呼び出すことすら不可能だ」


「現に悪魔と契約した兵士たちが戦争に加担しているの。そして、暴走した兵士は降伏した国を占領し、無抵抗な一般人を虐殺している…」


「そんな…」


「このままじゃ、人間は悪魔に支配される。なのに…悪魔の力を利用しようと実験を続けている」


「俺には…関係ない」


「悪魔と戦うには、貴方の力が必要になる。お願い、私たちに協力して」


「…悪いが、俺には戦う理由がない。協力は出来ない」


「え?どういう…?」


「いいから放っておいてくれ。俺に出来ることは何もないんだ!」


震える拳を壁に叩きつけた。痛みを感じるのに、震えはまだ止まらない。


「もし、貴方の妹が犠牲になってるとしても…?」


「何を言って…?」


「この実験には貴方の妹の悪魔が使われている」


「何を言っている…んだ」


「もしこのまま彼女が悪魔を呼び出し続ければ…」


「やめろ…それ以上言うな…」


「私は彼女も助けたいの…ウィル王子」


『モーガンだ。いつまで時間かけてんだ?実験体として捕まっていたやつらは逃して、今は研究室の近くにいる』


腕につけていた通信機からモーガンの声がした。


『おっさん!バルクだ。今ちょうど俺も研究室の近くまで来てるぜ』


「ディテよ。私たちもすぐに向かうわ。みんな、気をつけてね」


『『了解』』



「俺はお前たちを信じない。お前と行く気はない」


「ここに居ても爆発に巻き込まれて死ぬだけよ」


「…それが何だ?」


「貴方の妹は今以上に残酷なことをされるかもしれない」


「………」


「お願い。今は協力するかは考えなくていい。ただ貴方には知る義務がある。この場所で何が行われているのか。そして、この世界で何が起こっているのか」


「………」


「死ぬのも、戦うのも、それからでも遅くないはずよ」


ウィルは(うつむ)くように(うなず)き、立ち上がると、コンクリートの冷たさが素足に伝わった。


「時間がない。急ぎましょう。ついてきて」


おぼつかない足を一生懸命動かし、ディテの後を追った。


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